東宝劇場で『エリザベート』を観る・・・の巻の続き | 乾パンのブログ

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昨夜の書き込みの続き・・・

 

今回の『エリザベート』観劇はじっくりと話の内容を確認致しましたが・・・やっぱしアレですな。

過去に述べたことがありますが、トート(死)とはシシィの脳内の幻想なんでしょうねぇ

 

シシィは少女期に頭部を激しく強打して脳を損傷。

それ以来、強度のストレスを感じると、トートなる妄想(吉本隆明風に言えば自己幻想)を

生み出すことになったと・・・

 

これはまた、オーストリア帝国の諸矛盾(いわゆる共同幻想)、

家庭(ハクスブルグ王朝)内の不和(対姑、対夫、対息子)の(いわゆる対幻想)裏返しであり、

まさに「共同幻想論」を体現した物語だったんだなぁ・・・ってね。

 

 

今度の日曜日が今回の『エリザ』の大千秋楽ですか。

主立った配役の皆さんは熟れた感があって、これはちょっと・・・と思わせる方はおりませんでした。

 

舞台を観終わった第一感は・・・『エリザベート』の主役は「エリザベート」だったんだなぁ・・・ってこと。

当たり前かビックリマーク

 

愛希れいかさんの演技と歌唱は他を制して圧倒的だったと感じました。

最近の宝塚でシシィ役を演じたのは・・・蘭乃はなさん、美咲凛音さん、ちゃぴ。

 

いずれも長期間トップ娘役を務めた娘役であり、宝塚歌劇における『エリザベート』は

特定の娘役に対する功労的意味合いが大きいのだと感じます。

 

まぁね・・・卑近な言い方で言えば「大人の事情」で『エリザベート』が演じられ、

主人公役が決定されるんでしょうねぇ

 

かちゃがシシィ役に抜擢された時の

娘役にシシィ役に相応しい人がいないので娘役男役問わずオーディションして決定した云々』の

どう考えても「大人の事情」だったんだろうなぁ・・・というイケコ発言が忘れられねぇメラメラ

 

ちゃぴのシシィはそりゃ良かったよ・・・でもねチョキ

 

 

一方の珠城りょうは・・・血色が良くて生き生きとしたトート閣下でした。

どう考えても「」とは真逆に感じたんだけど・・・

これで良いんかい叫び

 

フランツ・ヨーゼフ(美弥るりか)は落ち着いた演技が印象的でした。

モンクは・・・無い。

君の手紙何度も読んだよ~」のところでの少し苦しそうな歌声で、

あそっか・・・みやるり休演してたんだっけあせると初めて思い出しましたよ。

フィナーレでも柔やかでしたが、裏側では大変なのかもしれませんな。

 

ルキーニは95期の月城かなと。

気持ちよさそうにルキーニを演じていましたね。

正に狂言回しに相応しい役柄。

正気と狂気が曖昧と言いますか・・・表情が(目の色が)コロコロ変っていく様が素晴らしくて、

どうしてもルキーニが出てくるとガン見してしまいました。

 

ルドルフは風間柚乃

随分と大人っぽい落ち着いた雰囲気の男役さんですね。

 

今回は・・・エルマー役の暁千星が妙に印象に残りまして。

押し出しの強い演技でして・・・もしかしてアリって成長してるのかなはてなマーク

 

その他では・・・

ヘレネ役が叶羽時ちゃん。

ちゃぴと似ていて、姉妹として納得しました。

でも今回のヘレネとシシィだったら・・・フランツがシシィを選ぶのも当然ですかね汗

 

リヒテンシュタイン夫人の晴音あきちゃんの柔らかい演技も印象に残りました。

ヴィンディッシュ嬢は海乃美月ちゃん。

思いっきり狂気を前面に押し出すというよりも、正気と狂気の狭間の人ってな感じ。

 

ゾフィーは憧花ゆりの組長。

こちらも過去のゾフィーよりも柔らかめの出来映えですかねニコニコ

まぁフランツがマザコンになってしまったのもちょっと納得しました。

でも結局、何だかんだ言ってゾフィーとシシィって似たもの同士だったんだわな。

そこらはすーさんゾフィーとちゃぴシシィの悦妙なバランスです。

 

でも私感とすれば、今のタイミングで月組で『エリザベート』する必要があるのかどうか!!

ハテサテ

 

 

この物語の大きな根幹にあるのはオーストリアハクスブルグ王朝のハンガリー独立問題。

民族自決的なその主張は「」と捉え易いのですが、必ずしもそうとは言えない面もあったそうで。

 

多民族国家オーストリアからの独立はハンガリーの念願・・・との主張ですが、

実はハンガリーも様々な民族がそれぞれの地域に混在する「他民族国家」

 

仮にハンガリーがオーストリアから独立した瞬間、

次はハンガリー国から他民族の独立運動が激化するのが必至の状況だったようです。

 

自らが民族運動を起こして独立した国家が、次は自らの国家内の民族運動を弾圧する矛盾。

これは現在でもよくある風景でもあります。

 

それに当時のハンガリーには、オーストリアを遙かに凌駕する巨大国家ロシア帝国が指導する汎スラヴ主義と、ヨーロッパの新興国家プロシア王国が指導する汎ゲルマン主義の「草刈場」であり、

下手にハンガリーが独立してしまうと、激しい内部対立が生じる可能性もあったと。

 

従って、老大国オーストリアの勢力下に残りながら広大な自治権を獲得し

オーストリア=ハンガリー二重帝国が成立したのも絶妙なバランスに成り立つ必然だったようです。

 

当時はオーストリア=ハンガリー=ボスニア三重帝国(ドナウ連邦)構想があったのですが、

これにはハンガリー自身が難色を示した感があって、政治って綺麗事では進まないんだよなぁ

ってなことが分かる状況なんですよねぇ