映画「土と兵隊」について | 乾パンのブログ

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この前の土曜日、神保町にて購入


日本名作映画集46「土と兵隊」

原作 火野葦平

監督 田坂具隆

出演 小杉勇/井染四郎/見明凡太郎

1936年(昭和14年)


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380円で購入!

安いなぁ・・・


あの当時の日本軍の軍装、戦闘の仕方、

少なくとも模範的(教本的)な戦闘の様式が分かって面白い。

役者もスタッフも兵役経験者・実戦経験者が多数いただろうし、

かなりの精確さだろうと推測する。

命令・号令の発し方など、現在では誰も分からないだろうからね。


日本軍の使用する小火器類の使用風景も貴重じゃないかな?


独特の形状の十一年式軽機関銃や、

ドッドッドッと遅い発射音の九二式重機関銃。

平ぺったい保弾板の装填の仕方が判ってなるほど!でした。

九二式重機関銃の威力は絶大で、

瓦葺土壁の民家を銃撃でなぎ倒していました。

三八式歩兵銃の安全装置のかけ方も始めてみました。



話の内容はドキュメンタリーに近いフィクションといった感じ。

主人公はいるけど、それほど内面に踏み込んで描かれていない。

この主人公の玉井伍長(小杉勇)は誠実で部下達に慕われているけど

体力的にむしろ弱くて、分隊員たちに負担をかけている。

要するに強い兵隊ではないんだよな。


戦闘風景は側面や後方からのやや俯瞰気味の遠撮が多くて、

個々の兵隊よりも分隊単位、小隊規模の戦闘全体を

ちょっと離れた位置から判りやすく描いている。

(逆に言えば個々をかなり突き放して描写していると言えるが・・・)


しかし、話の内容の大半は延々と続く泥まみれの行軍と

兵隊達の日常の生活。

実際の日本軍の行軍風景もかなり混じっていると思われる。

雨の中の夜間行軍とか長々と描写されていて辛そうだ。

ドキュメンタリータッチと兵隊達の日常がちょっとアンバランスな感じもするけど、

商業映画としてのエンターテイメント性も必要だし、

これがギリギリのバランスなんだろうと察する。



この映画を観て戦争に行きたいなんて誰も思わないだろう。

撮影された昭和14年と言えば、もう泥沼の日中戦争の真っ直中。

日本軍にももう兵隊達の辛苦を世間に隠す事態ではなかったんだろうよ。


もちろん「本当のこと」はもっと凄惨な状況であったろうことは

十分に想像できますが、

それを映像にできる「ギリギリのバランス」だったとも言えるのかもしれませんね。