この身にこもる熱を   後編 | 風紋

風紋

鋼の錬金術師ファンの雑文ブログ



  リンとランファンに愛が偏っています

性描写がありますので18歳未満の方、

こういうものを苦手とする方はお読みにならないようお願いします。








開けた目が焦点を結ぶ前に、目の前にあるものがランファンの心配そうな
表情を浮かべた顔だということがわかって、胸にあたたかいものが
ひろがった。
こんな顔でずっと見守られていたのかと思うと照れくさいような
またかえって面映ゆいような気がして何と言葉をかけたものか迷う。
「リン様、お目覚めになりました?ご気分はいかがです?」
「ああ、気分はいい」
その言葉に強がりがないかと確認するようにランファンはリンの顔を
間近に覗き込み、手を額にあてる。
「フーはどこに?」
「次の町にアメストリス入国の手引きをしてくれる人がいるので、そこへ
打ち合わせに行きました。国境の町ですから警備の目が厳しいらしくて
一人での行動のほうが都合がいいそうですので、リン様はお気になさら
ないでください、と言ってました。」
「そうか、それなら」
思わず笑みがこぼれるのは我ながら現金だ。

リンの笑顔を見て、やっとランファンの表情にも安堵の色が浮かぶ。
それでも額に当てた手はそのままで。

「熱はもう下がったみたいですけど、まだお休みになられたほうが・・」
リンは触れられた手をひきはがし、そのまま強く引き寄せてランファンの
肩を抱え込む。
「大丈夫、もう平気だよ。」
抱き寄せられたランファンは慌ててリンの胸を押し返すようにする。
「でもご無理をなさっては。」
「無理するって俺が何をすると思ったの?」
抱き込んだ腕をゆるめることなく、わざと声のトーンをひくく落としてリンは
ランファンに問い返した。
答えきれずに顔を赤くするランファンの顔を覗き込むように見つめ
挑戦的なセリフをぶつける。
「無理なんかじゃないよ。俺がどれだけ元気になったか試してみる?」
きっと俺は今意地の悪い顔をしているんだろうな、と考えながらも
言葉で弄ることはやめられない。病床での我慢の意趣返しとばかりに
余裕たっぷりに耳元で囁いてやる。
「病人なんだからおとなしく寝てろなんて言われちゃってさ。
治ったら絶対言ってやらなきゃと思ってた。」
「な、何をですか?」
「ランファンは無防備すぎる。こんなに体をくっつけるようにしたり
あちこち触られたりしたら俺も歯止めがきかなくなるって。」
「――っ!」
息を呑んだランファンの顔が更に紅潮する。


「もう病人じゃないからおとなしくなんかしないよ。」
不敵な笑みを浮かべながら、リンはランファンの腰をぐいと抱き寄せそのまま
体勢を入れ替えて彼女のやわらかい体を組み敷いた。
「や、待ってリン様」
「待たない」
うろたえる言葉を唇で塞ぎ、すくんで強張る背筋をなであげ、耳の横の髪に
指を入れて流す。
「ずっと、こうしたかった。欲しかった。」
渇きをいやす水を求めるようにランファンの唇を求めて何度も深く熱い
口づけを繰り返し、囁く。
「こんなにそばにいてやわらかくていい匂いがしてぎゅっとしたくなるのに
手を出せなくて、辛かった。」
熱にうかされたうわごとのようにかき口説くリンの言葉にランファンは
羞恥と喜悦で頬を染めている。
・・・もうこの衝動を抑える気にはなれない。


「こんな気持ちなのは俺だけなんてつれないこと、言わないよね?」

そこだけ妙に気弱な口調で問うリンに、ランファンは熱い頬を目の前の
しっかりとした厚い肩にすりつけるようにしてうなずいた。


そのまま耳元から首筋へと口づけを落としていくと、ランファンは息を
つめながらそれを受け止め、そっとあまい吐息を漏らした。
眉根を寄せて閉じられた目のふちは紅く染まり、苦しげにも見えるその
表情が陶酔のそれであることを物語っている。
眦から瞼へ口づけを散らし、かるく開いた唇をもう一度むさぼると
おずおずと震える舌先がリンの口内へと差し入れられた。
愛おしさがこみ上げて来て、一心にその舌と唾液を吸う。


いつもより性急な愛撫の手は襟を割って衣服のなかに這入りこみ、さらしを
ずらして胸のふくらみを押し包んでゆく。
すくい上げるように胸をもむと、ランファンはちいさく鼻にかかった切ない
声をあげ、リンの体に廻した腕に力をこめた。
「ん、はっ」
必死に息を殺し、声を堪えているランファンにリンは
「我慢しなくていい。声、きかせて」
開放する言葉をそっと囁く。
それでもランファンは自らを抑えようとして目をつむる。
手の中の乳房はこんなに張り詰めて快感を訴えているというのに。
乳首を吸い、舌で転がし、かるく歯をたて甘噛みすると「ああっ!」と
耐えかねたような甘い声が上がった。
一度堰を切った流れは止まらず、ランファンはリンの行為のひとつひとつに
呼吸を乱し、切ない声をあげ続ける。


上気したお互いの体温を求める二人にはもはや肌を覆うものは邪魔でしかなく
リンはもどかしげに衣服を脱ぎ捨て、はだけて脱げかけたランファンの衣服も
次々と取り去っていった。
すんなりとした白い裸身はどこもかしこもなめらかで、撫でるだけでは
飽き足らずそこかしこに口づけを散らし舌で味わってゆく。


そんな中でも下腹の淡い翳りにはどうしてこんなにもひきつけられるのだろう。
リンは堪らずランファンの脚を拡げさせるとそこに顔を寄せていった。
「やっ、そんなの、あっ」
思わず漏らすランファンの拒絶の声にもかまわず太腿の奥へと顔を埋めていく。
反射的に脚を閉じようとしてかえってリンの頭をかかえこむような体勢に
なり、余計にに焦り恥らうランファンの姿は本人はわかっていないのだろうが
かなり扇情的で更に興奮がかきたてられる。
むせ返るようなランファンの花の匂いにめまいのような陶酔を感じながら
太腿から奥へと舌を這わせていった。
舌先で蕾をなぶり、花弁をかきわけるように唇で押し広げて内奥へと舌を
さし入れると、あふれだした蜜が顎を濡らす。
しっとりとほころびた花芯に指を差し入れていくと、濡れてあたたかい
粘膜がからみつくように締め付けてくる。
ぬきさしを繰り返すとあふれる蜜がひそやかに音をたてた。
「聞こえる?」
指を手荒く動かし、わざと絡みつくような粘稠な水音を立てる。
「い・・や・・恥ずかしい」
「可愛いよランファン。もっと恥ずかしくなっていい。」


襞をかきわけて二本に増やした指を埋めてゆき、中を探るように刺激する。
そのまま親指の腹で花芽をこすりあげるとランファンは声にならない声を
あげ、背を反らせて身体をふるわせた。
かるく達してしまったのだろう。
眦に涙を滲ませてこちらを見る目は焦点を結んでいない。
半ば開いた口元に汗で濡れた髪が貼りついて、乱れた息をつくランファンの
姿はたまらなく艶やかで、リンの興奮は抑えきれないほど張り詰めていた。


「行くよ、いい?」
「・・・はい・・・」
消え入りそうな声で、それでも恥ずかしそうにうなずいたランファンの
くたりと脱力して投げ出された脚を折り曲げ、腰をかかえこんで
猛り立った自身をあてがい、ゆっくりと押し入れてゆく。
「ああっ・・・」
あたたかくぬめる感触に思わず吐く息と共に声が出てしまう。
充分すぎるほど潤っているのに、ランファンの中はそれでもきつく
動くたびに感じる圧迫感に息があがる。
突きいれるたびに快感に喘いで声を上げるランファンの乱れ方は激しく、
そんな風にしたのは他でもない自分だということになんともいえない
充足感を感じた。
「やっ、ああん!リン様、もう私っ・・・」
その声と痙攣するようにふるえる身体にランファンの絶頂が近いことを
感じ、さらに情欲が高まって突き上げてゆく。
リンは腰を激しく打ちつけ、ランファンの内奥に溜まった熱い衝動を
叩きつけるように吐き出した。


                                           


                                            

                                              

                                               

                                               

「すごい汗」
ランファンはリンの背に手を廻し、まだおさまりきらない熱っぽい声で言う。
「ああ、湯屋で汗を流さなきゃな。一緒に入ろうか?」
「いっ、いえそんなの!」
「そんなにいやがらなくてもいいじゃないか。
第一風呂に入れるのが楽しみって最初に言ったのランファンだろ?」
「あの、それは確かにそうですけど。」
「あの時はほんとに困ったよ。」
怪訝そうな表情のランファンにリンは顔を寄せて囁く。
「裸のランファン想像しちゃってさ。」
真っ赤になったランファンをもう一度抱き寄せてリンは
「こうして想像じゃないランファンを抱けたからいいけど、
あんまり無意識に俺を煽らないでくれよ。」
可愛くて仕方がない、というような顔でそう訴えた。

     






                                           

あとがき

純粋に自分の娯楽として書いてしまいました。王道風邪ネタエロ話。
娯楽作品なのでリンランである必然性はゼロです。(きっぱり。)
でも前編の無意識にリンを翻弄するランファンと、後編の作為的に
ランファンを翻弄するリンの対比はすごくありそうでしょう?
前編の悶々とする若を書くのがもう楽しくて楽しくて!
つい筆が走ってすごい分量に。今までの最長だよ。
後編は最初キス以降は書かないつもりだったのですが、前編とのバランス
があまりに悪くなったので、急遽濡れ場をがっつり書くことにしました。
手持ちの語彙だけで足りず、いろいろ参考にしながらやっとこ書きました
ので、これ以降またエロを書いたとしてもきっと同じような文章になる
ことでしょう。あはは・・・。