写真は猿梨(さるなし)。
先日もご報告致しましたように、「ベンキョウ嫌い」のコタ君が、突然算数に目覚めたのは昨年のことです。
写真でご覧頂いたように、コタ君の要塞?はサルナシのツルで囲われています。
庭に作られたベランダはまだ完成途中で、サルナシが覆い、今はコタ君の城。
サルナシもアケビも昔からその丈夫なツルは様々なカゴやザルの作られてまいりました。
物事の発想が尋常ではないコタ君は、サルナシの伸び放題のツルを見て、カゴを編みたい、などの嫋やかな女子の感想は持ちません。
なんと言っても我が実を守る強固な要塞作り。
ことに、わが部屋にノックもせずに立ち入る爺などは、あの苦手なカナブン以上に排斥せねばなりません。
侵入するやいなや電光の一撃を爺に見舞い、しかる後に問い質します、
「何か用かい?」
「エー!いてえな!用があるから来たんだろう。用を聞きもしないで『何か用かい?』があるかい、爺は妖怪ではない!」
「さっきもね、ママさんが愚痴ってたけれど、夏休みの宿題はどうなった?」
「え?」
「宿題だよ!夏休みの!」
「ああ、あれね。あれ終わったよ」
「終わった?終わったって何が?」
「ケイサン」
「ケイサンって何だ?」
「ほら、これ」
コタ君の手には新聞のチラシがしっかり握りしめてある。
「何だこれは」
サルナシがね、秋にはいくらになるのかケイサンしてたんだよ」
さようさよう、去年の秋、近所のスーパーでパック詰めのサルナシを教えたことがありました。
「ホラ見ろサルナシ。10個で400円だと」
「え!10個で400円?それ高いの?安いの?」
「ケイサンしてみろ」
コタ君がケイサンに目覚めたのはその時からです。
コタ君の要塞には、サルナシが自由に伸び、まだ青い実が撓わに実っているのです。
駄句1句。
マタタビ科猿梨の実が孫督励
腰折れ1首。
秋さらばかすかに甘き猿梨も枝に堅くして読み取り算に