物は名前次第で春になり夏になり | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


紫酢漿草オキザリス

写真は酢漿草(かたばみ)。

品種は初夏に薄紫の可憐な花を咲かせる「紫カタバミ」で、園芸店では「オキザリス」の名で売られています。

ところで、鉢に生える雑草カタバミほどニックキものはございませんな。
抜いても抜いても太根が残ってすぐ回復芽吹き、間抜け爺をせせら笑うのです。
あれを、お上品にピンセットで摘んでそろりと抜く様ではカタバミ根絶の喜びは得られませんよ。

両足を大地にしっかり構え、草の首根っこを親指と人差し指でムズと掴んで、有無を言わせず抜き捨てる、かような「芸」を見せないと、あのお邪魔草は退治できませんな。
さように手間暇掛けても、カタバミ将軍もさるもので、抜け際に赤いタネを飛ばして最後の攻勢に転じるのです。

カタバミ抜きの、かかる作業の後に、爪に残る泥の気色の悪さ、こりゃ堪りませんぜ。
間抜け爺はカタバミを退治した喜びで、豆鉢を掌に乗せ記念撮影を致すのですが、バッチリ映った爪泥の汚さは、我が間抜けな作業の結果とはいえ、爺も恥ずかしさにうち震えますよ。

さて写真は、その悪たれ坊主のカタバミではございません。
その名は「紫酢漿草」として世に聞こえた品種であります。
洋名を「オキザリス」
和名、洋名のなんと雅やかなことか。
明治のころ「鹿鳴館」に集った紳士淑女を連想するではあ~りませんか。
え?連想しない?
まあまあ抑えて抑えて。

この紫酢漿草は今年の早春に、知人から透明ビニール袋入りの、大根状太根を5本頂いたものです。
「これはね、珍しい品種ですよ。5月になれば可愛い花が咲くわよ。あんまり可愛い花だからってあんた惚れちゃダメよ。名前はオキ、オキナ、オキザリ、え~と何だったかなあ」
爺の手にオキナをオキザリにして、かの人はシャレのつもりだったのだろうか。
爺もお愛想に笑っておけば良かった。
でもね、いくらオキザリスの花が可憐だからとて、誰が花に惚れますか。
まるで変態爺のあつかいですよ。
花の可憐さと小生の風体の不均衡を指摘するような言い様が癪に障ったのですが、ここは爺も大人、礼を申し述べていただいて帰りました。

さっそく持ち帰ってネットで検索しましたね。
「え!あの憎きカタバミの親族だと!」
正直に申し上げると、そのまま放置しておいたのです。

洋名「オキザリス」は春の季語。
和名「酢漿草」は夏の季語。
同一植物なのにねえ。


駄句5句。
珍しや酢漿草(かたばみ)鉢に座りけり
酢漿草の種弾いて抜かれけり
紫の酢漿草根分け鉢に植え
オキザリス大根連れて可憐花
オキザリス太根を分けて花待てり

腰折れ1首。
爪に泥酢漿草抜きて捨てされど弾き飛ばせる種目に痛き