写真は紅葉(もみじ)。
品種名はベニシエンと言います。
大変変わったモミジでありまして、春には秋より鮮やかな紅葉を見せてくれます。
もちろん秋の紅葉も見事
大きく切れ込んだ葉は繊細な美しさを持っています。
樹木に個性がある如く、人も自己を主張して当然。
「角を矯めて牛を殺す」とやら。
躾や教育が、ともすれば形式だけを追って、本質を見失うこともあるでしょう。
我が孫のコタ君は四月になって突然 変わりましたな。
三月までの集団登校の姿はまことに無惨でありました。
首うなだれ、かかとを潰した靴をずって歩く姿は、登校拒否寸前の暗い暗い子供に見えたのです。
きっかけは担任の先生との「行き違い」でありました。
帰りの会前に、校庭に咲いた美しいアサガオのタネを採取したのです。
「タネを持ち帰り、爺を喜ばせん」
とて、先生の話は上の空、夢中でアサガオのタネを数えていたのだそうです。
「コタ!何をしてるの。今大事な話をしているでしょう。アンタいつもどうしてそうなの!」
それから事あるごとに叱られ、しょげかえっていたのですね。
連絡用の家庭向けプリントはランドセルにぐちゃぐちゃ。
宿題のノートには滅茶苦茶な字で「わかりません」と書き殴るだけ。
それがね、四月から変わったのですよ。
家庭連絡プリントは綺麗にたたみ、宿題ノートには明るい字が躍る。
「おい、おいコタ君や、学校で何があったのさ。ずいぶん明るいな。好きな子ができたのか?」
「え?何もないよ。今度の先生さ、つまらないことでもいつもオレをほめてくれるんだよ。あいさつができるとか、膝に手を置いて話を聞いてくれるとかさ」
コタ君の頬は「紅しえん紅葉」のように赤らんで見えました。
駄句5句。
紅しえん春にあかるむ粗忽者
春紅葉春から秋へ異なる赤
眼に染むや若葉の紅葉深緑
紅葉狩り春の行事と思はざりき
赤く萌へ緑に輝く春紅葉
腰折れ1首。
汝が名こそ終日(ひねもす)赤き紅しえん春の盛りに紅葉狩りせん