写真は竜胆(りんどう)。志賀高原にて。
何度目かの志賀高原ですが、今回も野に満つる命の讃歌を感じ取ることができました。
ただね、滞在中はずっと雨、雨、雨。
この天気は拙老には好都合、酒をちびちび。
ぐびぐびでもいいのですが、他に用もないし、酒だけぐびぐびやったら、我が身はぐずぐずと相成るでしょうから、正体不明なほど酔わないようにちびちびやっておりました。
冬はスキー場の華やかさがあるのでしょうが、今はまだ8月。
ゆえに若者の影は絶えてなし。
宿の相客は、「西郷輝彦、舟木一夫、橋幸夫」諸氏が歌をうたい酒を飲み、年金の愚痴をこぼし、なかなか賑やかでありました。
女性陣は「吉永小百合、若尾文子、山本富士子」女史が妍を競い合い、その華やかさは筆舌に尽くしがたいものでしたよ。
今流れている時間が50年ほど逆流したら、いかがであろうか、と愚老はしみじみ思ったものでした。
さりとて、往年の映画俳優にも似た諸氏、諸嬢をぼんやり眺めてばかりもいられず、雨の小止みを窺っては、野の花を探索に出ました。
キスゲ、ススキ、マツヨイグサは酔いの回ったボケ爺の目にも鮮やかに見えるのですが、あとはなんじゃら粗脳には入り交じって見えるだけ。
でもね、「橋幸夫」センセの唄から解放され、「吉永小百合」嬢の「嫁の品評会」を聞かずに済むだけでも楽しかったですよ。
駄句6句と愚歌1首。
男郎花(おとこえし)片肌脱ぎて睨み居る
忘れ草独り立つ野に男郎花
男郎花笹竜胆(ささりんどう)に説き聞かす
月見草宵を待たずに咲きにけり
群れ立ちて一糸乱れぬ芒かな
竜胆(りんどう)は名は厳しくも優し花
女郎花紅さす間なく二三本荒野に立ちて談じ合ひけり