百合には百合のうれいあり | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


百合

写真は山百合(別名鳳来寺百合)。

「山百合」の名の淡泊な、また即物的な名に比べ、別名「鳳来寺百合」のなんと厳かなことか。

山間の荒草の中に山百合(実は何を隠そう、鳳来寺百合の世を忍ぶ仮の名なり)を見かけたら、一瞥でその場を立ち去ることは許されませんぞ。
しばし足を止め「色即是空 空即是色」などと唱え、合掌、礼など致す雰囲気になるではありませんか。
愚老なども「愚老」などと、洟垂れ爺の名は捨て、「賢老」と名乗ることに致そうか、と思うのです。

かかる妄想に囚われるゆえに、「ボケ爺」だの「加齢爺」と評されるのであります。

でもね、山百合は美しい。
凛として
先日亡くなられた作詞家の横井弘氏は、

【高嶺の百合の それよりも
秘めたる夢を ひとすじに
くれない燃ゆる その姿
あざみに深き わが想い】

と書かれました。
「百合の夢よりあざみの夢」にわが想いは託したい」
とのことでありますが、愚老、訂正賢老はわが想いを百合にこそ託したいのです。
あざみはねえ、トゲが障壁になるのですよ。
我が家のあざみ嬢は3株あるのですが、いつの間にか「燃ゆる花」は散って、トゲ混じりの葉は健在ながら、今や競って白髪頭を振り立てています。
喩えると「タンポポおばあ」でしょうか。
「タンポポおばあ」はなかなか賢老の想いを聞いてくれそうにもありませんぜ。

山百合は美しい。
この山百合を改良親として様々な百合が作られたのですね。
オリエンタル・ハイブリッド(カサブランカも含む)というようです。
我が家の百合嬢は写真で御覧の通り、七難隠す美白の上に、雄蘂の赤が強烈。

ところで、高原からの誘いがありますので、明日からしばし休養におもむきます。
地ビールを頂き、地酒を思いっきり吞み、高原の生物を写真におさめ、あることないこと連想致しまして、駄文を弄するつもりです。

駄句6句と愚歌1首。


百合の花赤き雄蘂の舞ひ踊る
百合の花斑点無きは乙女かな
花見ての余韻は要らぬ百合の香や
山百合の夏ごとに花数見せて
書斎には山百合の香は要らぬなり
擬宝珠の花梅雨に傘させるごと

山百合は勿体なや鳳来寺なる寺号を持つ花は俯きぬ