「マイクロ波症候群とその発症メカニズムのコラムで紹介したPall博士の論文上の写真)は、マイクロ波以下の周波数の電磁界(EMF)に暴露されると、電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)が活性化されて神経伝達物質等の過剰分泌を促し、その結果、うつ病を含めた様々な精神・神経医学的影響をもたらすことを示唆した重要な論文です。

 論文は、上の写真のタイトルで検索すればどなたでも入手できますが、和訳しましたのでそれを掲載します。

 

 論文の著作情報および目次は、次のとおりです。

 

和訳タイトル:マイクロ波の電磁界(EMF)は、うつ病を含む広範な精神・神経医学的影響をもたらす

著者Martin L. Pall

掲載誌. (掲載年) 巻号,頁Journal of Chemical Neuroanatomy. (2016) 75, 43-51.

目次

0. 要旨

1. はじめに

2. マイクロ波以下の周波数の電磁界は電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)を活性化させる作用がある

3. 遺伝子多型研究

4. マイクロ波EMFに曝露された動物における中枢神経系(CNS)・末梢神経系(PNS)の組織学的・機能的変化 

5. 過去の疫学的知見のレビュ-と関連研究 

6. マイクロ波EMFの神経・精神医学的効果に関する特定の疫学的研究

7. 疫学研究における因果関係の評価基準

8. 考察と結論

9. 参考文献

 

 なお、原著には'EMF effects'という言葉が頻繁に登場します。EMFは'電磁界 electromagnetic fields'ですから、直訳すると「電磁界効果」となりますが、ここでは「EMF効果」と訳しました。

 「EMF効果」とは何か?については、現時点で明確な定義の記述を発見できていませんが、Pall(2013)60)に記述されている、「人間や高等動物に対する電磁界の影響」を指し、いわゆるマイクロ波症候群と呼ばれる神経・精神医学的効果もEMF効果に含まれると解釈しています。また、お肉を電子レンジでチンすると熱くなりますね。私は、これもEMF効果と解釈しています。原著では、非熱マイクロ波や低強度EMFという言葉が多用されています。これらは、本論では電子レンジのような加熱による細胞の熱変性等のEMF効果を研究の対象としていないことを強調するためだと考えています。もしこうした見解に誤りがあれば、ご指摘ください。

 

=========邦訳開始 =========

0.要旨

 非熱マイクロ波以下の周波数の電磁界(EMF)には、電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)を活性化させる効果があります。カルシウムチャネル阻害剤にはEMF効果を遮断する作用があり、様々な実験によってその遮断メカニズムが検証されています。

 低強度のマイクロ波EMFは、いわゆるマイクロ波症候群と呼ばれる神経・精神医学的効果を発生させると云われています。本レビュ-では、そのような神経効果が然るべき論文や公文書等にしっかり記述されているのか、そして、それらの記述がマイクロ波に関する既知のメカニズムと整合しているのかに着目しました。

 

 VGCCは、神経系全体に極めて高密度に発現しており、神経伝達物質や神経内分泌ホルモンの放出に普遍的な役割を果たしています。旧ソビエトや西洋の文献には、実験動物を非熱マイクロ波に暴露した際の、影響の多くが脳内や末梢神経系で発生すること、及び神経の組織や機能に多様な変化を発生させることが記載されています。

 

 こうした影響の発生や組織・機能的な変化は、神経伝達物質や神経内分泌物質の放出過多や、酸化・ニトロス的ストレス反応の発生などという、VGCCの過剰な活性化作用を介して発生すると考えられます。

 VGCC活性の過多については、ヒトの神経変化を起こす役割を把握するための遺伝子多型の研究分野で示されました。1970年代から1980年代に出版された米国政府の職業被爆に関する2つの研究報告書には、非熱マイクロ波EMFの神経・精神医学的効果に関する多くの物的証拠が掲載されています。

 また、直近の18件の疫学的研究では、携帯電話の基地局から放射されるマイクロ波EMFや、携帯電話を過剰に使用している際のマイクロ波EMF、及び無線式スマ-トメ-タ-から放射されるマイクロ波EMFに神経・精神医学的効果と似たパタ-ンを発生させる可能性があるという実質的な証拠が示されました。そして被曝量と反応量との間の明確な関係を示す多くの研究成果が示されています。

 

 より一般的に報告される変化については、①睡眠障害(or不眠症)、②頭痛、③うつ病(orうつ状態)、④疲労、⑤知覚異常、⑥集中力や注意力の機能障害、⑦記憶障害、⑧めまい、⑨癇癪、⑩食欲不振(or体重減少)、⑪焦燥感や不安、⑫吐き気、⑬皮膚の炎症やヒリヒリ感やみみず腫れ、及び⑭脳波変動があります。

 6件の追加研究から得られた知見は証拠としてやや劣りますが、短波やラジオ局、デジタルテレビアンテナへの暴露が、同様の神経・精神医学的効果を生み出す可能性があるとしています。

 

 結論として、マイクロ波EMFの作用メカニズムや脳におけるVGCCの役割、非熱EMFの脳への影響、過去50年間に行われた広範な疫学的研究、および因果関係に関する5つの基準試験のいずれもが、様々な非熱マイクロ波EMFへの暴露が、多様な神経・精神医学的効果(マイクロ波症候群)を生成することを示しています。

 

 

1.はじめに

 マイクロ波症候群34,35)は、元来、マイクロ波の周波数の電磁界に職業的に暴露される方々が述べてきた、様々な神経・精神医学的症状の組み合わせを指します。発症のメカニズムが不詳である等の理由から信憑性が長年議論されてきました。

 この症候群には、疲労や頭痛、不眠症、失調(感覚障害)、過敏症、集中力の欠如などの症状が含まれています34,35)。職業的に暴露される方々の神経・精神医学的症状の組み合わせ34,35)に続き、それと類似した、より広範囲な組み合わせの報告書が1971年と1981年に米国政府から出されました。54,67)さらに、新しいレビュ-が2件37,45)出されました。

 

 本論では、疫学上の知見をレビュ-するだけではなく、発症原因として考えられる生理学的メカニズムの問題についても検討します。Hennekens et al.3)は、「マイクロ波EMFへの暴露が疲労や頭痛、過敏症などの発症リスクをかなり変化させるとする生物学的メカニズム上の知見や仮説があれば、マイクロ波暴露と発症との因果関係が存在することの確信が強まるでしょう。」と述べています。

 疫学上のエビデンスを検討する際に、発症リスクを変化させる可能性のある生物学的メカニズムを評価することは極めて重要です。

 

 

 本論では、①低強度マイクロ波が我々の身体の細胞に影響を与えるメカニズム、②そのメカニズムが神経系に影響を与えると予測される方法、③その影響に関する動物実験のエビデンス、④身体内で神経・精神医学的効果を生み出すように振る舞うメカニズムに関係する遺伝学的多型研究のエビデンス、及び⑤低レベルマイクロ波EMFへの曝露を繰り返す人々に関する疫学的なエビデンス。の5点を検討します。5つのタイプのエビデンスを個別に検討することが、本論の総合的な解釈に影響を及ぼすと考えています。

2.マイクロ波以下の周波数の電磁界は電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)を活性化させる作用がある

 Pall60)がレビュ-した24件の研究や2件の追加研究46,47)によれば、マイクロ波以下の周波数の低強度EMF効果は、VGCCを特異的にブロックすると考えられるカルシウムチャネル阻害剤によって遮断されたり顕著に弱められたりします。

 これら26件の研究では、5タイプのチャネル阻害剤が使用されました。これらの阻害剤は、互いの構造や結合場所が異なるため、遺伝子多型が複数存在するVGCC類の活性を確実に遮断します。

 各々の反応が調査された結果、カルシウムチャネル阻害剤を用いるとEMF効果が抑制されることから、VGCC活性が多種多様なEMF効果を産生するように作用することが示唆されました。

 

 マイクロ波EMFへの暴露に伴うカルシウムイオン(Ca2+)の細胞内への流入や情報伝達の変化をまとめた知見2,87)があります。これらの変化は、Ca2+の排出状況の変化を含めてVGCCの活性化によるものとして説明できます。EMFに対する生物学的応答に、VGCCの活性化が幅広い役割を演じていることが改めて示唆されました。

 

 Pilla65)は、パルスマイクロ波の電磁界への暴露が、カルシウム/カルモジュリン依存性一酸化窒素(NO)シグナル伝達をほぼ瞬時に増加させ、それがVGCCをほぼ瞬時に活性化させるという強力な証拠を示しました。

パルスマイクロ波EMFは、VGCCの電圧センサに直接作用してVGCCを活性化させており62)、電圧センサは、その物理的特性や細胞膜のすぐ内側という位置的な関係から、パルスマイクロ波に対する高い感受性を持っていると推測されます。

 

 EMFは、VGCCの活性化を端緒とする効果60,61,62)を介して、細胞内カルシウムの上昇やカルシウム及び一酸化窒素シグナルの過剰な伝達、さらには過剰なペルオキシ硝酸やフリーラジカルおよび酸化ストレス等々、細胞内における多種多様な応答を生成するように振る舞うとされています。

 VGCCの活性化は、カルシウムシグナル伝達によって産生される脳内の神経伝達物質の放出や、神経内分泌細胞によるホルモンの放出に普遍的な役割を果たしていることが示されてきました。10,26,88) 

 VGCCは、神経系全体に高密度に発現しており、神経伝達物質や神経内分泌物質の放出に関わっています。このことは、神経系が低強度EMFに対して非常に敏感である可能性の高いことを示します。

 

3.遺伝子多型研究

 遺伝仔多型に関する研究は、ヒトにおける特定のタンパク質の役割を解明するための強力なツールです。Table 1(表1)に示すとおり、脳内の主なL型VGCCをコードする対立遺伝子の多型研究が行われ、L型VGCCの活性過多が多様な神経・精神医学的効果を引き起こす可能性があることが示されました。

 このことから、マイクロ波EMFによって産生されるVGCC活性の増加もまた、広範な神経・精神医学的効果を生み出す可能性があると予測されました。

 

【このエリアは、VGCCの遺伝子多型に関するkamome630からの補足説明です】

 VGCCは、形質膜の脱分極を感知して活性化開口し、細胞外から細胞内へCa2+を選択的に透過させるイオンチャネルです。細胞の電気的興奮をCa2+依存的な生理応答に変換する役割を担っています。開口する電位によりVGCCは、高電位で活性化する①L型 (Cav1)と②非L型3種 (Cav2)、及び低電位で活性化する③T型 (Cav3) に大別され、サブユニットの構成から①L型にCACNA1S、CACNA1C、CACNA1D、CACNA1F、②非L型にCACNA1A、CACNA1B、CACNA1E、③T型にCACNA1G、CACNA1H、CACNA1Iという、VGCCをコ-ドする合計10タイプの対立遺伝子が存在します。このような、いわゆる遺伝子多型は、目の色や髪の毛の色に影響を与える遺伝子にも認められているそうです。 以上、ウィキペヂア等を参考にさせていただきました。

----補足説明終了------------------

 

以下は、表1の和訳です。

 

表1.CACNA1C遺伝子多型における多様な精神・神経・精神医学的効果生成への影響

1) Bhat et al.11)  L型VGCCのCav1.2サブユニット遺伝子CACNA1Cは双極性障害(躁鬱病)、うつ病、統合失調症、自閉症スペクトラム障害、及び診断可能な精神疾患を持たない対照被験者の脳の機能と構造の変化に影響する。

2) Bigos et al.12) 同CACNA1C遺伝子は、双極性障害及び統合失調症の増加に関係する。

3) Krug et al.39) 同CACNA1C遺伝子は、言語生成に意味レベルで悪影響を及ぼす。

4) Krug et al.40) 同CACNA1C遺伝子は、エピソード記憶と検索に影響を与える。

5) Soeiro-de-Souza et al.78) 同CACNA1C遺伝子は、顔の感情認識に障害を与える。

6) Tesli et al. 80) 同CACNA1C遺伝子は、感情処理中に扁桃体の活性化を増加させる。

7) Thimm et al. 81) 同CACNA1C遺伝子は、注意喚起、集中力、実行調節機能などの注意欠陥に関連。

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4.マイクロ波EMFに曝露された動物における中枢・末梢神経系の組織学的・機能的変化

 実験動物の組織学的・機能的変化に関する文献は、1950~1960年代に主に旧ソ連や西欧諸国から出されています。ここでは、その英訳レビュ-86)にフォ-カスしました。以下はレビュ-86)から引用したもので、リストにあるページ番号はレビュ-のページ番号を示しています。全て実験動物(主にラット)の神経系における、非熱暴露によって生じる変化を扱っています。

 

 この説明は、【表2 非熱マイクロ波EMFに暴露後の動物における、脳機能の組織学的・機能的変化】の記載内容をスクロールします。

 これら、主に齧歯類を対象とした研究において認められた組織学的な変化の多くは、身体の2%に満たない神経系におけるものでした。中枢・末梢神経系は、非熱マイクロ波以下の周波数のEMFに対して最も敏感な組織であるといえます。

 

 心筋と精巣は、神経系の次に感受性の高い器官です。心筋細胞は、VGCCが極めて高密度に発現しており、特にペースメーカー細胞において顕著です。精巣では、T型VGCCが特に高密度に発現しています。

 

 パルスタイのEMF(便宜上、パルスマイクロ波と呼びます)は、非パルスマイクロ波よりも脳の組織学的変化を促しやすいことが2つの研究でレビューされており、62,63)さらにパルスマイクロ波が、ほぼ全ての例で高い生物学的活性を促すことが示された研究 9)があります。

 

 非熱マイクロ波暴露後には、脳・末梢神経系組織のいたるところで組織学的変化が示されています。インパクトを受ける重要な組織である視床下部と脳下垂体については、神経内分泌活動に同じパターンの変化が示されています。

 

 神経における内分泌活性は、初期に増加し、時間の経過とともに減少します。前者は、おそらくVGCCによる分泌刺激によって直接産生され、後者は細胞内カルシウムイオン濃度が長時間上昇することによる組織損傷によって発生すると考えられます。

 

 神経細胞組織と神経内分泌組織においては、組織学的変化が広範に認められています。それらはEMFへの暴露が止めば可逆的であることが繰り返し報告されていますが、暴露時間が長いと不可逆的になります。神経学的な損傷については脳波を測定すれば簡単にモニタ-できる筈です。

 

 Tolgskaya and Gordon84)は、要約の中で「マイクロ波の作用は熱作用だけである。という見解は、過去におけるソ連の調査官の間においても、現在の西側諸国においても特に持たれてはいない」と述べています。

 .非熱EMFが脳に与える影響に関する研究は、1950年代~1960年代に盛んに行われたものがTolgskaya and Gordon84)に多数掲載されました。最近においても実質的な文献が多数あります。 5,6,8,17,18, 23,24,28, 31,41,48,52,57,66,71,79)

 

5. 過去の疫学的知見のレビュ-と関連研究

 米国政府による2つの報告書は、いずれもマイクロ波/無線周波EMFの神経・精神医学分野への明らかな影響を多数列挙しています。第3の報告書は、我々の身体に対するマイクロ波の非熱的影響を認めてはいるものの、神経・精神医学的効果に関する検討は殆どなされていません。

 これらの中で最も早い報告書は、1971年に出された海軍医学研究所(NMRI)の研究報告書54)です。非熱EMF暴露によって生じる明瞭な神経・精神医学的変化が40件掲載されました。内訳は、中枢神経系/末梢神経系(NS)の変化が5件、CNS効果が9件、自律神経系の効果が4件、心理的障害17件、行動変化4件、その他2件となっています。

 また、同報告書54)には、マイクロ波暴露のヒトや動物への影響に関する2300件以上の文書リストが補足されています。

 

 1981年のNASAレポ-ト67)は、非熱マイクロ波EMFへの職業的暴露に関する米国、西ヨーロッパ及び東ヨーロッパの幅広い文献類をレビューしています。これらの研究は、地域が異なるものの、内容に明らかな相違が見当たりません。NASAレポ-ト67)は、複数の研究に基づいた、職業マイクロ波/無線周波EMFに関連する19の神経・精神医学的効果を報告しています。

 

 アメリカ空軍のローマ研究所が1994年に出したBolenレポ-ト14)は、マイクロ波EMFには人間に対して非熱的影響を及ぼす作用があることを認めました。レポ-トでは「低強度放射線への曝露が生物学的プロセスに大きな影響を及ぼす可能性が実験的に示され、RF/MW放射被ばくの非熱的影響が、EMFの生物学的相互作用に関する重要な尺度になりつつある。」と結論しています。

 Bolenレポ-ト14)は、電磁界が熱効果のみ発生させるという主張を明確に否定しており、頭部にマイクロ波EMFを照射すると麻酔された動物が目覚めるという、特定の非熱神経・精神医学的効果について議論しています。これは、マイクロ波EMFにヒトの不眠症を引き起こすメカニズムがあることを示唆します。

6.マイクロ波EMFの神経・精神医学的効果に関する特定の疫学的研究

 Table 3に示す26件の疫学的研究があります。4件は単一の神経・精神医学的効果に関する研究ですが、22件は様々な非熱マイクロ波周波数EMFへの暴露によって、広範囲の神経・精神医学的効果が生じるという、米国の過去の報告書の内容に対する実質的な証拠提供しています。

 こうした26件の中で、最も重要なのはおそらく携帯電話基地局の近くに住む人々に関する研究72)です。携帯電話の長話中や長話後の頭痛の発生に関する最近の研究が3件19,20,21)あります。

 頭痛が発生するタイミングと、携帯電話を耳に当てる側、すなわちより強いEMF暴露を受ける側で偏頭痛が起きるという発見は、頭痛が携帯電話の長話によって引き起こされることを強く示唆しています。このような因果関係は、以前の研究に基づいてFrey(1998)30)が最初に呈示しましたが、最近は、より明確に文書化されています。

 

7.疫学研究における因果関係評価基準

 原因と結果の関係が、表3にリストした研究1,3,4,15,16,19,20,21,24,27,29,35,36,38,43,55,56,58,59,68,70,72,75,77,83,86)やRaines67) に引用された研究によって支持されるのかを検討する際には、そのための様々な基準に配慮することが重要です。その判断を下す際に考慮すべき5つの基準があります(Hennekens and Buring 33)の39~43ペ-ジ参照)。以下に、それらを記載します。

 

1) 関連の強さ 暴露と神経・精神医学的症状との間に強い相関関係が認められるか? ・・・これについてはRaines67)で引用された、幾つかの研究があります。例えばDwyer and Leeper27) ( 表3参照)は、職業暴露時間に比例して症状が重篤化することを認めました。また、電子レンジ製造労働者1300人を対象に実施した研究44)では、比較的低レベルのEMFに暴露された労働者による神経・精神医学的な苦情件数が対照区の約2倍に対し、高レベルに暴露された労働者の苦情件数が約3倍に達しました。Sadcikova68)は、研究された8件の神経・精神医学的症状のうち7件において、職業的暴露時間と有病率との間に統計学上有意な相関を認めました(表3参照) 。Sadcikova68)はまた、電子レンジの製造労働者は、頭が重い感覚や疲労感、過敏性、眠気、記憶の部分的な喪失、および皮膚感受性の諸症状の訴えが、対照区の3~10倍に達することを認めました。

 重要かつ新型の暴露が発生する場面においても強い関連が認められます・・・これは明らかに携帯電話の基地局の近くに住んでいる人々を対象とした全ての研究19,20,58)(Table3にリスト)に該当しますし、スマートメーターからの放射線に暴露される人を対象とした2件の研究21,43)にも該当します。携帯電話で1時間以上長話する人々は、長話開始後の一定時間内に頭痛が発生することがありますから、ここでも強い関連があると判断できます。これらの研究の多くが高い関連を示していることには疑いの余地がありません。しかし、これらの研究を行うことが徐々に困難になっていることも明らかです。世界中の国々で暴露がほぼ普遍的になるにつれ、良い否定的なコントロールを見つけることが不可能ではないにしても困難になっています。動物実験を行う際にも同様の問題があり、至る所に存在するEMFによる恒常的な暴露を避けるために、ファラデーケージで動物を飼育する必要があるかもしれません。

2) 生物学的信頼性 は本研究では特に強く、低強度EMFが広範な神経・精神医学的影響を発生させることを生物学の3つの側面が予測しています。これは前述されており、次のセクションで再考されます。

3) 一貫性 種々の疫学研究、その他の研究における一貫性。表3に挙げた疫学的研究と、Raines67) に引用された神経・精神効果を示す研究は、西ヨーロッパ、東欧、中東、東アジア、米国、オーストラリアなど文化の異なる様々な国で行われています。1~2の文化的文脈に限定されていないことは、因果関係の重要な指標と見做されます。職業的暴露や携帯電話基地局・電話自体への暴露、スマートメーターへの暴露その他のEMFなど、種々の分野の神経・精神医学的影響にも驚くべき一貫性が認められます(表3参照)。脈拍のパタ-ンや拍動数及び拍動力は様々な生物学的応答を引き起こす可能性がありますから9,62,63)、暴露タイプに関わらず応答に一貫性が認められることには少々驚かされます。前のセクションで説明した生物学との一貫性もあります。遺伝的多型(表1)によって生じるVGCC活性の上昇は、多様な神経・精神医学的効果を生み出します。このためマイクロ波EMF曝露によって生じるVGCC活性の上昇が、多様な神経・精神医学効果を明らかに生み出していることについても驚くことではありません。 同様に、非熱EMF曝露は動物の脳構造と機能に広範な変化を発生させますから84)、脳機能障害の結果として生じる神経・精神医学的症状がEMFによって生み出されることについても驚くべきことではありません。

4) 時系列 既に公表された様々な研究において、全て暴露後に影響が発生しています。また、職業的暴露時間に比例して有病率の上昇が認められています。27,7)これらの観察はすべて、EMFへの暴露と神経精神症状の発症との因果関係を支持するものです。

5) 用量-反応関係 ここでは、生物学的影響とストレス要因の見かけ上の強さが正相関すると仮定します。EMF効果ではこの仮定が常に真であるとは限りません。実際、ある強さが、それ以上・以下の強さよりも生物学的影響が大きいとする、いわゆる「ウィンドウ効果」が認められています。9,62,63)しかし疫学研究においては、様々な強度が検討されるなかで、今回の仮定を含めた用量-反応関係が多く示されています。4,27,29,44,55,56,70,72,83)

 因果関係の特異的なエビデンスとしては、放送塔(からの電波の発信)が3日間休止した際に、住民のメラトニンのレベルがほぼ正常値にまで下がったという研究結果4)があります。携帯電話で(1時間以上の)長話をした際の頭痛の発生状況に関する研究でも、今回仮定した用量-反応関係が認められています。19,20,30,58)偏頭痛は多くの場合、電話を近づけた頭の側で起きています。EMFへの暴露をより強く受ける側で偏頭痛が起きる訳ですから、これもまた用量-反応関係の追加的なエビデンスと云えるでしょう。

 「マイクロ波EMFに暴露されることによる神経・精神医学的見地からの帰結は、実際にそのような暴露によって引き起こされるものである」というエビデンスは説得力あるものの、別のEMF-神経・精神医学的リンケージについてやや議論があるかもしれません。Havasら32)は、電磁波過敏症(EHS)患者における神経・精神医学的症状にマイクロ波症候群と類似した症状を報告しています。

 Havasら32)が認めた、電磁波過敏症の一般的症状は、①短期記憶力の低下、②集中力の困難、③目の問題、④睡眠障害、⑤不快感、⑥頭痛、⑦めまい、⑧耳鳴り、⑨慢性疲労、⑩震え、⑪体の痛み、⑫発語困難、⑬手足のヒリヒリ感、⑭執筆困難、⑮歩行困難、⑯偏頭痛です。

 これらの症状と非熱マイクロ波EMF曝露後の最も一般的に見られる症状との類似性(表3)は、電磁波過敏症がまさしくEMFに対する感受性であることを示唆しています。 この感受性については、非熱EMF暴露後のげっ歯類、つまり電磁波過敏症に関する研究が可能な実験動物を用いた研究において認められています(表2の最下行)。こうしたEHS関連の問題については実験的なフォローアップが必要です。

 

8. 議論と結論

 前項では、疫学的な関係性が因果関係であるのかを評価するための5基準について個別に検討しました。5点とは (1)関連の強さ、(2)生物学的信頼性、(3) 一貫性、(4) 時系列、(5)用量-反応関係で、33)因果関係が存在することに関する説得性の高い支持を提供します。

低強度マイクロ波周波数EMFは、多様な神経・精神医学的症状を引き起こします。勿論5点それぞれ重要ではありますが、最も重要なのは生物学的信頼性の基準です。以下に示す3つの関連する生物学的観察のセットは、いずれも低強度マイクロ波EMFが広範囲にわたる神経・精神医学的効果を生み出すことを予測させます。

 

1.  EMFは、EMFに極めて敏感に反応すると考えられるVGCC電圧センサーの機能を介してVGCCの活性化に作用します62)。VGCCは、神経系全体で高密度に発現し、神経伝達物質や神経内分泌ホルモンの分泌に普遍的な役割を担っています。したがって、低強度非熱マイクロ波EMFは神経系の広範な変化を引き起こし、多様な神経・精神医学的影響を引き起こすことが予測されます。

 

2. 脳内の主なL型VGCCチャネルをコードする対立遺伝子、つまりCACNA1C遺伝子によって産生されるVGCC活性の上昇は、様々な神経・精神医学的効果を生じさせます(表1)。これは、低強度の非熱マイクロ波周波数EMFがL型その他のVGCC活性を上昇させることにより、広範囲にわたる神経・精神医学的効果を生み出すためと考えられます。

 

3. Tolgskaya and Gordon84)がレビュ-した様々な研究では、哺乳類の神経細胞が様々な非熱マイクロ波や低周波EMFに対して高い感受性を持ち、げっ歯類では体内の他のどの器官よりも明らかに敏感であることが示されています(表2)。これらの研究は、ヒトの神経系も同様にEMFに対して敏感であり、広範な神経・精神医学的影響をもたらすことを予測させます。

我々は、生物学的信頼性を持っているだけでなく、より重要なこととして、これらの明確かつ相互に関連する生物学的考察のそれぞれが、低強度非熱マイクロ波EMFが広範囲にわたる神経・精神医学的効果を生み出すことを予測させます。

 

 その共通予測は、海軍医学研究所研究報告書(1971年6月)54)が提供する引用、Raines67)のNASA報告書が提供するデータ、および表3に要約された26の疫学的研究によって要約された広範なデータによって検証されます。

 これらの研究から最も一般的に報告された神経・精神医学的症状を表4にまとめました。表4には、表3に記載された合計22件の異なる研究データが使用されています。しかし、残りの4件は単一の検討項目だったので除外しました。

 また睡眠障害/メラトニン枯渇のみを評価したAltpeter4)らの研究と、表3に記載されている携帯電話の長電話後の頭痛の発生のみを評価した3件の研究19,20,58)も除外しました。研究の多くは、3~7の特定の症状しか評価されていないので、特定の症状を報告する研究の数が22をはるかに下回ることは驚くべきことではありません。失言症などのように、複数の症状の説明が1つの見出しになっており、かつ複数の研究内容である場合も件数は1件としました。表4に掲載した症状は、全てマイクロ波症候群の一部と考えるべきです34,35)

 各研究の統計的有意性が p < 0.05 の比較的低水準であったとしても、22件の研究からランダムに選ばれた1件は肯定的となるでしょう。多くの個々の研究では個々の症状が調査されなかったため、期待値は大幅に低くなっています。5件以上の研究は、必然では無く偶然起きたと考えられます。強い統計的有意性( p < 0.01 )は、Eger and Jahn29)やOto et al.59) で認められています (表3)。

 脳波の変化は、マイクロ波症候群の一部である可能性があります。表3に記載されている研究はいずれも脳波を測定しなかったが、Raines 67)に引用されたヒトの職業暴露に関する6件の研究7,13,25,44,76)では脳波の変化が示されました。Murbach et al.53) は、異なる研究所が行った様々な研究で最も一貫して報告された効果(携帯電話使用)が脳波(EEG)パワースペクトルの変化であるという声明を支持する10件の研究を引用しました。最近の3件の研究49,73,74)やWagnerら85)で引用された過去のいくつかの研究では、非熱パルスマイクロ波EMFに暴露された睡眠中のヒトの脳波変化が示されています。最近の2件の研究50,64)は、Wi-Fiに暴露された人の脳波の変化を示しました。Lai42)は、非熱EMFに曝露された動物の脳波の変化を示す動物研究8件を紹介し、その追加研究3件が Tolgskaya and Gordon 84) に掲載されました。この段落の2番目の文章に引用された6つの研究を除き、これらはすべて、疫学研究における因果関係の問題に影響されにくい直接的な実験研究です。

 これは著者の見解ですが、今後の研究では、脳生理学における客観的な測定・評価の手法として、脳波の変化を研究するべきであると考えます。また新しいEMFソ-ス(例:5G)を人間社会に導入する際は、EMF暴露量が増加する前と後の研究を検討すべきです。このような研究は脳波の複雑さを考えると慎重に実施する必要がありますが、適切な方法で実験すれば、少人数の被験者であっても、対応のあるt検定で高い有意結果が得られる可能性があります。

 前項でも引用されたBise13)は、低レベルマイクロ波に暴露された際のヒトへの影響に関する過去の知見をレビュ-ており、EMFが頭痛、疲労、過敏性、めまい、食欲不振、眠気、発汗、集中力の困難、記憶喪失、うつ(病)、情緒不安定性、皮膚描画症(ミミズ腫れ)、ふるえ、幻覚、不眠といった神経・精神効果を発生させると結論付けました。

 37年前のこのリスト13)と表4のリストとの強い類似性を指摘しておく必要があります。Bise 13) のリストは職業的に暴露される人々を対象とした研究に基づいているのに対し、表4のリストは現代の主に携帯電話やスマートメーター、携帯電話基地局からのEMF暴露に基づいており、1978年に存在しなかった3種類の暴露内容です。Bise13) のリストと37年後の現代のリスト(表4)との間の強い類似性が認められる事は、両リストに共通して見られる11の神経・精神医学的効果が、複数のタイプの低強度マイクロ波EMFへの暴露によって引き起こされるという説得力のある考察を提起しています。

 エビデンスのパタ-ンは、過去のLevitt and Lai 45) による次のような声明を支持して説得力があります。すなわち「苦情に関する質問内容は、具体的な暴露パラメ-タが含まれるようになっており、精神的なものや仮病、超常現象の信じ込みに起因していません」。

地球上の人類の大部分は増え続けるマイクロ波の強度と多様化に曝されており、表4の内容を含めた神経・精神医学的効果の組み合わせが、人間の行動や社会的相互作用にどのような影響を与えるかはほとんど想像できません。

  Raines 67) に引用された職業暴露研究のうちの3件 27,68,7) は、EMFに暴露された時間に伴って神経・精神医学的症状の有病率が増加することを想起させます。人々への暴露が増え続ける中で、それがどのような結果をもたらすのかを、誰も知らないのです。

 

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