『善き人のためのソナタ』(「Das Leben der Anderen」「The Lives of Others」137分 06年独 監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)


 全国民が国家保安省(シュタージ)の監視下にあった1984年の東ベルリン。保安省大尉のヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、反体制の疑いのある劇作家ドライマン(セバスチャン・コッホ)の監視を命ぜられ、彼の部屋に盗聴器を設置。徹底した監視を始める。が、ドライマンの言動、彼の弾くピアノの"善き人のためのソナタ"を聞き、次第に心が揺らぎ始める。さて…。

 ベルリンの壁崩壊5年前から崩壊後数年までの東ドイツを描いた作品。ヴィースラー、ドライマン、ドライマンと同棲している人気女優のクラスタ(マルティナ・ゲデック)、この3人の心情の描写が見事。歴史に詳しくなくても、たっぷりと感情移入できます。そして、3人がそれぞれ最後にとった行動…心打たれます。アカデミー賞外国語映画受賞納得です。


ちなみに…『希望の灯り』(18年独)もベルリンの壁崩壊後の旧東ドイツ人を描いた作品。この作品も"自殺"がキーワードのひとつでした。