『耳に残るは君の歌声』(「The Man Who Cried」100分 00年英仏合作 監督サリー・ポッター)


 1920年代後半のロシアの小さな村。ユダヤ人の血をひく幼い少女フィグレ(クローディア・ランダー・デューク)は父、祖母と3人暮らし。父は単身でアメリカへ出稼ぎに出る。ある日、村は焼き討ちに遭い、フィグレは祖母から父の写真と金貨を一枚渡され逃げることに。港で仲間とはぐれ船で渡った先はイギリス。養家に引き取られたフィグレはスージーと新しい名前をもらう。言葉は通じなかったが、教師が歌の才能を気づきレッスンを受けることとなる。時は流れて、成長したスージー(クリスティーナ・リッチ)、父のいるアメリカに渡る資金を稼ぐため、歌手として単身パリへ移住する。コーラスガールとして働き始めるスージー。同じ職場のロシア人ローラ(ケイト・ブランシェット)、ジプシーで同じ舞台に立つチェーザー(ジョニー・デップ)とも交流を深めていく。が、世界情勢は悪化し、オペラ座は閉館。パリから逃げなければならなくなったスージー。さて…。

 ラストで父との再会を果たすスージー。父の目から一筋の涙。ここが原題の意味でしょうか。白馬に乗って登場のジョニー・デップ、『シザー・ハンズ』(90年)から10年後の作品。『ショコラ』(00年)とともに、この人は寡黙な男が似合います。ちなみに、海賊船の船長になるのは3年後のこと。


ちなみに…女性、ユダヤ人、第二次世界大戦、パリ、ユダヤ人一斉検挙(ベルディブ事件)、アメリカへ渡る、ラストの一言が人名…。時代背景、ストーリーとも『サラの鍵』(10年)とかぶります。涙か止まらない…。