『バタフライ・エフェクト』
(「The Butterfly Effect」 114分  04年米  監督エリック・ブレス/J・マッキー・グラバー)

   時折、短時間の記憶が飛ぶことがあった少年エヴァン。医師のすすめで、毎日の日記を書き始めた。7年後、医大生となったエヴァン(アシュトン・カッチャー)。ある日、その日記を読み返してみると、(現在までの記憶を持ったまま)日記の書かれている過去の時点に戻れる能力があることを知り、さらに、現在に戻ってくると、それまでの自分の記憶(過去)も塗り替えられるという事実を知る。幼馴染みのケイリー(エイミー・スマート)の現在の不遇を知ったエヴァン。ケイリーの現在を変えようと、何度も日記を読み返すのだが、現在に戻ってくるたびに、自身も含め、母親、幼馴染みのレニー、ケイリーの兄トミー、そしてケイリー。誰かが不幸になっていた。エヴァンは最終的に、誰の幸福を選ぶのか。さて…。
   "The Butterfly Effect(バタフライ効果)"とは、蝶の羽ばたき一つで(力学的なわずかな変化で)、その後の系の状態が大きく異なってしまう現象。そう、ある人に対して発したささいな一言が、その人のその後の人生を大きく変えてしまう…。ケイリー役のエイミー・スマート。ちょっとセレブなエヴァンの彼女から、さえないウエイトレス、さらには場末のストリッパーまで演じます。
   タイムスリップ作品は、パラドックスというより突っ込みどころが多数ありますが、それはあえて触れないのが、鑑賞する側のルール。15年以上前の作品ですが、脚本もフラッシュバックする順番もよく練られた秀作です。
ちなみに…「現在の記憶を持ったまま過去に戻れる能力」「この能力が、父から息子に(男性だけに)遺伝する」「戻ってくると、現在が変わっている」。この3つを満たした作品は『アバウト・タイム』(13年英)でしょうか。そう、この作品もひとりの愛する女性のために、ひとりの男がタイムスリップを行うのですが…。