神奈川県高体連剣道専門部様の要請で、夏のインターハイ個人予選の救護スタッフで来ています。
神奈川県は地方に比べて学校数が多く、各校2名しか出場出来ません。負けたら終わりのトーナメントで、当然ですが、出場選手、指導する先生、審判の先生、保護者も真剣そのものです。勝っても涙、負けても涙。見ていて胸が熱くなります。私の母校、東海大相模高校の生徒が、男子は2人残念ながら、ベスト16で負けてしまいました。私の息子も4年前、母校から出場し、同じベスト16で敗退でした。その時のなんとも言えない切ない気持ちが蘇ってきました。

 しかし、女子の部では、母校の生徒が、見事優勝し感動です。決勝で対戦した桐蔭学園の生徒も、私の息子と同じ道場のお子さんで、小学生時代、よく館長先生と一緒に元立ちをしていた子で当時から強かったですが、高校でも相変わらず強かったです。決勝進出した男子2名、女子2名は夏の大分インターハイに出場です。本戦での健闘を祈ってます。
 
 さて、熱戦の中、本日は2名のケガ人、1名の体調不良者の対応を致しました。体調不良の女子生徒は試合に負けた後、号泣していた後、呼吸が苦しいとの訴えでした。詳しい検査ができる状況ではないのですが、診察したところ、過換気症候群(過呼吸)が疑われました。過換気症候群とは、何らかのきっかけで急に呼吸過多となり、息苦しさや動悸、めまい、頭痛、手足のしびれ、吐き気、失神など、さまざまな症状が現れる病態を指します。“過呼吸症候群”とも呼ばれます。

 主な原因として精神的不安や極度の緊張などが挙げられ、性格的に几帳面な方や心配性な方に多いといわれています。また若者、特に10~20歳代の女性に多くみられます。まれに意識を失ったり、けいれんを起こしたりすることがありますが、過換気症候群によって命を落とすことはありません。一般的に予後は良好で、30分~1時間程度で症状が治まります。私が大学救命センターに20年前、在籍していた時、同じ症状の若い女性患者さんを数多く見ていたので、すぐに、これだと判断しました。

 過換気症候群は心臓や呼吸器の病気、パニック障害などによって起こることもあります。このような病気が背景にある場合には、その病気に対する治療が必要となります。特に病気がない場合には、発作を起こすきっかけを作らないよう、日頃から体調を整えておくことが大切です。不安が強い患者に対して抗不安薬などの投薬が行われる場合や、カウンセリング、リラクゼーションが効果的な場合もあります。

 発作時には不安や恐怖から悪循環に陥りがちですが、一般的には30分~1時間で症状が治まり、命に関わることはありません。そのため、発作が起こったときには周りの人は患者本人を落ち着かせ、ゆっくりと呼吸するように声をかけましょう。

 なお、発作時の対応として、以前は口に袋を当てて吐いた息を再度吸わせるペーパーバック法が有効だといわれていました。しかし、この方法では酸素が不足したり、二酸化炭素が増えすぎたりして窒息死の危険があるため、最近では推奨されていません。

とりあえず、すぐに回復したので良かったです。神奈川県高体連剣道専門部の先生方、お疲れ様でした。インターハイに出場する生徒の皆さん、本戦での健闘をお祈りしています。