Robot Dreams (English Edition)
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原題:Robot Dreams
2023/スペイン、フランス 上映時間102分
監督・製作・脚本:パブロ・ベルヘル
原作:サラ・バロン
アニメーション監督:ブノワ・フルーモン
編集:フェルナンド・フランコ
音楽:アルフォンソ・デ・ビラジョンガ
パンフレット:★★★★☆(1000円/A5サイズ。劇中の段ボール箱を模したデザインが可愛い。仁平綾さんによる「ニューヨークMAP(観音開き!)」とか西寺郷太さんのコラムとかキーワード解説とか、読み物も最高! 映画が好きな方はマストの一冊ですぞ)
(あらすじ)
ニューヨーク、マンハッタン。深い孤独を抱えるドッグは自分の友人にするためにロボットを作り、友情を深めていく。夏になるとドッグとロボットは海水浴へ出かけるが、ロボットが錆びついて動けなくなってしまう。どうにかロボットを修理しようとするドッグだったが、海水浴場はロボットを置いたままシーズンオフで閉鎖され、2人は離ればなれになってしまう。(以上、映画.comより)
95点
今年3月、「ポニーキャニオン映画部」の「緊急開催!第96回アカデミー賞振り返り座談会!!」に呼ばれましてね(微笑)。その時の私の体たらくにつきましては動画を見ていただければと思うのですが(汗)、それはそれとして。「せっかくアカデミー賞云々の配信に出演するのだから&出演したのだから」と、今年はアカデミー賞にノミネートされた作品を結構観るようになって。本作も「そういえばノミネートされてたよな」と思って、前売り券を購入。それなりに楽しみにしていたのです (´∀`) ウフフ
前売り特典はポストカードセットでしたよ。
で、今年11月8日に本作が公開されましてね。ただ、すでにそれなりに前評判が高くてロングラン上映しそうな雰囲気が漂ってるから(そりゃあアカデミー賞にノミネートされるくらいですから!)、他の「上映が終わりそうな映画」を優先して、「ロボット・ドリームズ」はもうちょっと後で良いかな…なんて思っていたんですけれども。愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション2」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題作品に選ばれたので、「じゃあ、観ておくか」と、11月11日(月)の仕事帰り、グランドシネマサンシャイン池袋で鑑賞いたしました。「見事な『セプテンバー』使いッ!(`Д´;) ヌゥ」と思ったり。
お話を超雑に書いておくと、一人暮らしで寂しいドッグはCMで見かけたロボットを購入→組み立て→「セプテンバー」をBGMに息が合ったダンスを披露できるほどの超(スーパー)仲良しになったんですが、しかし。海水浴に行ったらロボットが錆びて動けなくなり、さらに海岸が閉鎖されてしまって、ドッグはロボットを置き去りにせざるを得なくなるのです。で、ドッグは彼なりに日々を送り、ロボットは砂浜でいろいろな夢を見たりしているうちに海開きになるものの、ロボットは廃品回収→スクラップされてしまうというね… (´・ω・)(・ω・`) ヒドイネー
ところが、DIY精神あふれるアパート管理人のラスカルがたまたまロボットの部品をゲット→胴体部をラジカセに換装したサウンド戦士ラジカセロボとして復活ッ!(少しウソ) ロボットはラスカルの仕事を手伝いながら一緒に暮らし始めるんですが…。ふとアパートの窓の外を見たら、新たなロボットと歩くドッグの姿を目撃しましてね。ちょっと声をかけようかと夢想したけれど、とはいえ、お互い新しい生活がある…ということで! ラジカセを大音量にして、思い出の曲「セプテンバー」を再生ッ! 曲を聴いたドッグはロボットを思い出して踊り、ロボットもまた自室で踊り、そして2人は別々の道を行くのでした―― ヘ( ´∀`)人(゚∀゚*)ノ バーディヤー
ということで聴いてください。アース・ウィンド・アンド・ファイアーで、「セプテンバー」(ラジオパーソナリティ風に)
ザックリした感想を書くと、素晴らしい映画だと思いました。本作のパンフによると、「台詞のないグラフィックノベル」を収集するのが趣味のパブロ・ベルヘル監督は、2011年頃にサラ・バロンのコミック「Robot Dreams」を読んで感動→映画化を決意ッ!Σ(°д°) クワッ! 太さが均一でシンプルな輪郭線や陰影を排した均一でフラットな色使いが特徴の「リニュー・クレール」で描かれた世界をアニメで再現すべく、アニメーション監督にブノワ・フルーモンを迎えて、手前から奥まで広範囲にピントを合わせてシーン全体をクリアに見せる技法「ディープフォーカス」を駆使したりして作ったそうで(聞きかじり)。確かにコミックの世界が動いているようなビジュアルで、動物を擬人化したキャラクターたちが魅力的に描かれていただけでなく、彼らが存在する「世界」自体がとてもキュートだった印象。この世界を堪能するだけでも観る価値があるんじゃないかしらん。
なんとなくメイキング動画を貼っておきますね↓
「台詞ナシ」なのも良かったですね~(って、原作コミックがもともとそうなんですがー)。ドラマに無駄な雑音がなかった印象。まぁ、そういう演出自体は「珍しいけど、珍しくもない」というか。いわゆる「カートゥーン」ではよくあるし、劇場用映画でも「イリュージョニスト」とか「Away」とか、「音楽×台詞ナシ」なら「ファンタジア」もそうでしたっけ。要は、詳しい人ならもっといろいろ挙げられるくらい多く存在するわけですけど、アニメはキャラクターに誇張表現をさせても違和感がないから、実写よりは「台詞ナシ」が作りやすんでしょうな…なんて思ったり。
ブノワ監督の「台詞ナシ」の短編「Le lion et le Singe(ライオンと猿)」↓ パブロ監督はこれを観てオファーしたそうな。
ちなみに、鑑賞後にKindleで原作コミック(英語版)を読んでみたら、話の大筋や起きる出来事はほぼ一緒ながら、どの場面も情緒が特盛にされてたというか。例えば、「ロボットと鳥のお母さん&子どもたちとの触れあいシーン」とか(100点の可愛らしさ!)、原作だとアッサリ塩味であり、映画を観た人が読んだら「えっ、これだけ!? Σ(゚д゚;)」と驚くレベルだったりしてね。ドッグの孤独はより強調されているし、世界からもより意地悪をされているけれど、ドッグとロボットの「愛」はより感動的なものになっていて。もちろんコミック版はコミック版の良さがあるんですが(感情過多に描かれていない分、しんみりとした味わいがある)、とはいえ、見事な映画化だと感心いたしました。
例えば、アリクイの2人組は、原作コミックでは別に意地悪ではないのです(「Robot Dreams」より)。
つーか、私が一番胸を打たれたのは、「セプテンバー」の見事な使い方。この曲、タイトルは「9月」ながら、「愛する人と9月21日の夜に気持ちが通じ合って踊ったことを、12月に振り返っている」という内容じゃないですか。映画序盤、ドッグとロボットがローラースケートを履いて、「セプテンバー」をBGMに踊りだした時は「ほぅ、良いシーンですな (・∀・) ワルクナイ」程度の気持ちだったのに、クライマックスにあらためて「ドッグとロボットのこと」としてモロに歌詞の意味を重ねて流してくるから、もうね、催涙効果が半端ないのです (´;ω;`) ウゥ... 2人の関係が親友同士だったのか、恋人同士だったのかはわかりませんが、それなりに長く生きていると、誰もが大なり小なり「”愛を失うこと”を納得すること」を経験するわけで(そしてその経験を“次”に活かす)。私的には失ったかつての恋人や親友、映画では「ラ・ラ・ランド」、書籍では「拝啓 元トモ様」など連想したりして、帰りの電車でも思い出し泣きしそうなほどのダメージを食らった次第。
最後に音楽を流す展開はコミックにもあるんですが、かなり盛ってて見事な演出だなぁと(「Robot Dreams」より)。
正直、不満もあるんです。鑑賞後、簡単な感想をツイートしてみたら、相互フォローの方々から「犬は鉄製の機械を塩水に漬けるほどの知性」とか「ロボットは組み立てれても所詮は犬」など、ストレートに心ないリプがきて笑ったんですが、「海に行ったらロボットが錆びて動けなくなる」って展開、ズルくないですかね? 海に入ったロボットがスムースに水中対応してたから、錆びて動けなくなった時は本当に驚いたというか(新しいロボットには念入りに油を吹きかけてたから、ドッグがマニュアルをちゃんと読んでなかった可能性大。でも、ロボットも気づけよ)。ビーチの封鎖&締め出され方も強引だしさぁ。なんて言うんですかね、「2人を離れ離れにするために無理矢理作った困難」にしか見えなくて、かなりイライラしましたよ。あと、ロボットの足を切断したウサギたちは死んでほしかったし、ビーチでライフガードをしていたライオンが読んでいた「マッスル」誌(「大胸筋」特集をしてたっぽい)がとても気になったのにパンフの「キーワード解説」に載ってなくてガッカリした…って、これはどうでも良いですな (ノ∀`) ナンダソリャ
とても良い出来のパンフ。池袋では売り切れていたものの、桜木町で購入したというね。
その他、「ダックさんがカッコいい!」とか「この世界のロボットの人権はどうなってるんだ!」とか「ヒマワリの足は草だから、タップダンスで軽快な音を出すのは無理では?(まぁ、夢の中のことですがー)」とか「別に4人で仲良くすればいいんじゃないの?」とか「時代背景と舞台は『クルージング』と一緒なんだな…」とか「やはり今年は動物映画ブームだったな…」とか思うところはありますが、長くなるので割愛! つまらない文句を書いちゃいましたけど(苦笑)、とはいえ、さすがはアカデミー賞にノミネートされただけのことはあるというか、とても良い映画でしたヨ ( ;∀;) イイエイガダナー もしここまで読んで未見の方がいましたら、ぜひ劇場に足を運んでほしいし、私も妻子ともう一度観に行こうかと思っております。おしまいッ!ヘ(゚∀゚*)ノ バーディヤー!
サラ・バロンによる原作本。台詞がないので洋書でもそれなりに読めるけど、ちゃんとした装丁の日本語版がほしいッ!
映画を観たら高確率でほしくなるサントラですが、「セプテンバー」とかは入ってないので要注意だッ!
パブロ・ベルヘル監督による台詞ナシ映画。私の感想はこんな感じ…。今観たら面白いのかな…。
なんとなく思い出した映画。内容自体は悪くないけど、ハッキリ言って好きではないです。