僕らの世界が交わるまで(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

僕らの世界が交わるまで(ネタバレ)

僕らの世界が交わるまで

 
 
原題:When You Finish Saving the World
2022/アメリカ 上映時間88分

監督・脚本:ジェシー・アイゼンバーグ

製作:デイブ・マッカリー、エマ・ストーン、アリ・ハーティング

製作総指揮:ベッキー・グルプカンスキー

撮影:ベンジャミン・ローブ

美術:メレディス・リッピンコット

衣装:ジョシュア・J・マーシュ

編集:サラ・ショウ

音楽:エミール・モッセリ

出演:ジュリアン・ムーア、フィン・ウルフハード、アリーシャ・ボー、ジェイ・O・サンダース、ビリー・ブリック、エレオノール・ヘンドリックス

パンフレット:★★★★(880円/監督と主演の対談、各俳優のコメント、折田千鶴子さん大島育宙さんのレビューと、情報量多め。デザインもシンプルで素敵。写真のチョイスに品がある)

(あらすじ)
DV被害に遭った人々のためのシェルターを運営する母エブリンと、ネットのライブ配信で人気を集める高校生の息子ジギー。社会奉仕に身を捧げる母と自分のフォロワーのことで頭がいっぱいのZ世代の息子は、お互いのことを分かり合えず、すれ違ってばかり。そんな2人だったが、各々がないものねだりの相手にひかれて空回りするという、親子でそっくりなところもあり、そのことからそれぞれが少しずつ変化していく。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 

 

75点

 

 

俳優のジェシー・アイゼンバーグは好きだけど、その監督作を観たいと思う気持ちは特に強くなく。今年から劇的に鑑賞本数を減らそうと思っているのもあり、まったく観る気ナッシングだったんですが、しかし。愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション2」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったので、有休消化のために午後から休みにしていた1月31日(水)、kino cinema新宿にて、売店で売ってたドーナツを摂取しながら鑑賞いたしました(その後、渋谷で「ボーはおそれている」の試写に行きました)「やだ、才能ある〜 ( ´∀`)σ)Д`) コイツゥ」と思ったり。

 

 

当日のgif。神保町の会社を14時に出て、新宿の劇場に14時22分に到着したのは、自分を褒めてあげたい気持ち。

 


なんて言うんですかね、「頭が良くて才能があるリベラルの人が作った映画」って感じがしました。本作の脚本は、もともとアイゼンバーグ監督が書き下ろした5時間のラジオドラマを自身が映画用にいろいろと変えて作ったそうですが、社会活動を肯定的に描きつつも、決して押し付けがましくなく。むしろリベラルの人の悪いところ(他者を少し見下していて、自分の意見が正しいと思ってるとか)も映していたりするし、結局は思想とか関係なく、親だろうと子どもだろうと誰だろうと「自分を押し付けるのではなく他者を尊重することが大事」という普遍的なことを描いているのが本当に良かった。映像は、フィルム撮影によって柔らかくリアルな雰囲気だし(撮影監督は「アフター・ヤン」のベンジャミン・ローブ)、音楽のエミール・モッセリ&アイゼンバーグ監督&主演のフィン・ウルフハード(実際に音楽活動もしてる)の3人で協力して作った楽曲の数々も良かった…と、もう褒めるところだらけなのです (´・ω・)(・ω・`) スゴイネー


ストーリーは上記のあらすじの通りなんですが(手抜き)、私的にグッときたのは、息子ジギー(フィン・ウルフハード)が片想いしてるライラ(アリーシャ・ポー)マーシャル諸島が搾取されているという内容の詩にメロディをつけてプロテストソングに変える場面と(この時のライラの表情がイイ!)、その後、その曲を配信で歌ったら90ドル儲かったと自慢げに語って、「あなたは私とマーシャル諸島を搾取した!あなた自身も搾取した!川 ゚д゚) ブッコロス!」激怒される展開(この時のライラの表情もイイ!)。観客に当初は「ジギーは無理して知識を詰め込んでライラに合わせるのではなく、誠意を持って接すればいいんだよ ( ´_ゝ`) ヨカッタネー」と思わせといて、結局は「コイツ、全然わかってねぇ!Σ(゚д゚;)」というオチになるんだから、あまりに痛々しくてかなり笑っちゃいました。まぁ、ジギーというキャラクターは、バカっぽいものの、あの「好きな人(ライラ=母エブリン)に認められたい」という強い気持ちはわからないでもないし、私も近道して周囲に賢く見られたいと常々思っているのでね(周囲に賢く見られなさそうな一文)、とても微笑ましく観られました。フィン・ウルフハード、良い役者さんですな〜 

 

 

 

 

ただ、ジュリアン・ムーア演じる母エブリンには、ちょっと飲み込みづらい部分がありました。いや、「自分の息子と同世代で優秀かつ母想いな青年カイル(ビリー・ブリック)」を目の当たりにして、「自分の子もこうだったらナー (´・ω・`し イイナー」と思っちゃったりするくだりとかに文句はないし、「好きな子にフラれた息子は、職場を訪れてあらためて”母の偉大さ”に気付き、(無意識ながらも)権力勾配を利用してカイルに自分の考えを押し付けていたことに気付いて愕然とした母は、配信を観て”息子の本来の良さ”を思い出す=僕らの世界が交わった!(`Д´)人(`Д´し バロムクロス!」という着地も好きだったんですけれども。

 

ハッキリ言って、もし自分の子どもが配信をやってたら絶対毎回チェックしませんか? もちろんエブリンとジギーは価値観の相違が激しく、エブリン的には映画のラスト近辺まで「あんなティーン向けの音楽なんて ┐(´ー`し┌」と軽蔑して敬遠してたということなんでしょうけど、とはいえ、多少なりとも「子どもに思い入れがある親」が、子どもが自主的に発信している動画を「全然見ない」なんてこと、あり得ますかね? 「見ても楽しめない」なんてこと、ありますかね? 自分の娘の適当な歌を録音してウォークマンにブチ込んでプレイリストを作って日々聴いている私からすれば、まったく信じられないというか。あのラスト、そりゃあそれなりに感動して少し泣いちゃいましたけど、「おいおい、今さらかよ ( ゚д゚)、ペッ」と微妙に納得できない私もいた次第。

 

 

ということで聴いてください、マナ子(仮名/当時5歳)で、「あたしはおさるのお医者さん」↓(ラジオパーソナリティ風に)

 

 

 

な〜んて、あまり共感を得られなさそうなイチャモンを書いちゃいましたが、ジェシー・アイゼンバーグ、本当に見事な初監督作というか、「やだ、才能ある〜 ( ´∀`)σ)Д`) コイツゥ」と心から思いました。パンフを読むとね、DV被害者のシェルターでボランティアしてたりとか隙なく偉いし、2本目の監督作も好評みたいだし、これからの活躍も期待しております。おしまい。

 

 

 

 

本作のサントラ。ちょっとほしい。

 

 

役者としてのジェシー・アイゼンバーグを有名にした作品。でも私が一番好きなのは「恐怖のセンセイ」だったり。

 

 

ジュリアン・ムーア、最近はこの作品の「シングルマザーの看護士」役が好きでした。

 

 

本作のエブリンを見て、少し連想した映画。

 

 

「アイゼンバーグ」と聞くと思い出す特撮アニメ。すみませんでした。