パブリック 図書館の奇跡(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

パブリック 図書館の奇跡(ネタバレ)

パブリック 図書館の奇跡

 


原題:The Public
2018/アメリカ 上映時間119分
監督・製作・脚本:エミリオ・エステベス
製作:リサ・ニーデンタール、アレックス・ルボビッチ、スティーブ・ポンス
製作総指揮:クレイグ・フィリップス、リチャード・ハル、ジャネット・テンプレトン、レイ・ブデロー、ジョーダン・ブデロー、ボブ・ボンダー、ブライアン・グールディング、ドナル・オサリバン
撮影:フアン・ミゲル・アスピロス
美術:デビッド・J・ボンバ
衣装:クリストファー・ローレンス
編集:リチャード・チュウ
音楽:タイラー・ベイツ、ジョアン・ハイギンボトム

出演:エミリオ・エステベス、アレック・ボールドウィン、ジェナ・マローン、テイラー・シリング、クリスチャン・スレイター、ガブリエル・ユニオン、ジェフリー・ライト、マイケル・K・ウィリアムズ、チェ・“ライムフェスト”・スミス、ジェイコブ・バルガス 

パンフレット:★★★★☆(800円/人選がしっかりしていてタメになるコラムが4本収録(うち1本はイラストコラム)。表紙のデザインも素敵)

(あらすじ)
オハイオ州シンシナティの公共図書館のワンフロアが約70人のホームレスたちに占拠された。記録的な大寒波の影響により、市の緊急シェルターがいっぱいで彼らの行き場がなくなってしまったのだ。彼らの苦境を察した図書館員スチュアートは図書館の出入り口を封鎖するなどし、立てこもったホームレスたちと行動をともにする。スチュアートにとってそれは、避難場所を求める平和的なデモのつもりだった。しかし、政治的イメージアップをねらう検察官やメディアのセンセーショナルな報道により、スチュアートは心に問題を抱えた危険な容疑者に仕立てられてしまう。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


70点

 

※今回の記事は、本作に感動した方は頭に来る可能性があるので、読まない方が良いです。

※今回の記事は、我ながらなかなか偏差値が低めになってしまったので(汗)、本作のちゃんとした感想を読みたい方は、シネマンドレイクさんのレビューを読むと良いザンス。

本作の公開前、確かユナイテッド・シネマとしまえんで本作のポスターを見かけた時は「おっ、エミリオ・エステベス、懐かしいな (´∀`) アラアラ」ぐらいに思ったものの、それほど観る気は起きなかったんですよ。ただ、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」「ムービーウォッチメン」のリスナー枠に選ばれたし、さらに今週の課題映画になったということで、8月12日(水)、新宿バルト9「のぼる小寺さん」を観てから、新宿武蔵野館にて映画ファンサービスデー割引(1100円)を利用して鑑賞いたしました(その後、桂花ラーメンを食べてから職場に行って、夜は「水曜日が消えた」を観ました)。考えさせられましたな… (´・ω・`) ウーム

 

 

実は7月31日(金)に観ようとしたら時間を間違えてチケットを無駄にした…なんてこともありました。

 

劇場ロビーには記事の切り抜きがありましたよ。
 
スクリーン3、コロナ対応で座席数は半分ながらもほぼ満席だったんじゃないかな。
 
 
あらすじを超雑に書いておくと、オハイオ州シンシナティの公共図書館にはいつもホームレスたちがたむろしていて、図書館員スチュアート(エミリオ・エステベス)とキャッキャする日々を過ごしてたんですけれども。ある日、記録的な大寒波の影響で緊急シェルターに入れなくなった約70人のホームレスたちがフロアを占拠してしまうのですから、さぁ大変!Σ(゚д゚;) タイヘーン! 巻き込まれてしまったスチュアートは、最初はあまり乗り気ではなかったものの、あくまで「平和的なデモ」としてホームレス側につくことを決意すると、市長選を睨んでスタンドプレーに走ろうとする検察官デイヴィス(クリスチャン・スレイター)や、薬物依存症の息子を抱える交渉人ビル(アレック・ボールドウィン)と、対立するのです。
 
 
本編の占拠シーンを貼っておきますね↓

 

 

 
で、あーだこーだあって、「アルコール依存症で破滅的な生活を過ごしていた→逮捕歴があった!」「ホームレス経験もあった!」といったスチュワートの過去が明らかになってしまい、危険な容疑者&運動に仕立て上げられそうになるんですが、しかし。テレビのインタビューで「怒りの葡萄」の一節を暗唱することで、世間的には味方が増えまして。最後は、警官隊が突入するも、スチュアート&ホームレスたちは全裸でお出迎え。逮捕されるも「この抗議は歴史に残るぜ!ヘ(゚∀゚*)ノ」ってなムードで終わってたような気がします。
 

 

検察官やマスコミのフェイクニュースでイメージが悪化するも、主人公たちは全裸で乗り切ってましたよ(雑なまとめ)。

 

 


いや〜、なかなか面白かったです (・∀・) ヨカッタ! エミリオ・エステベスと言えば「フリージャック」「ブレックファスト・クラブ 」のイメージが強い役者さんですが、図書室に閉じ込められる映画に出ていた若者が中年になって図書館に閉じこもる映画を撮るとは…って、ああん、いろんな人が書いてる文章を書いちゃった!(*ノ▽ノ) キャッ もうね、図書館=公共施設の在り方、人種差別、貧困、フェイクニュース、依存症、前科者の立ち直りなどなど、様々な社会問題を盛り込んでいるだけでなく(パンフにも載っていましたが、「台東区の避難所がホームレスを受け入れ拒否した事件」とか「宮下公園のホームレス排除&富裕層化」とか「吉村洋文大阪府知事のイソジンデマ」とか、日本の状況を重ね合わせること多し。パンフの武田砂鉄さんのコラムがスゲー良かった)、普通に「ちょっと笑えてグッとくるヒューマンドラマ」に仕上がっていたからビックリした…ってのは失礼ですかね(汗)。久しぶりに劇場で観るエミリオ・エステベスは役者としても円熟味を増していたし、恥ずかしながら彼の監督作は1本も観たことがなかったんですが、着実にキャリアを積んできたんだなぁと、しみじみしつつ感心いたしました。

 

 

僕的に「エミリオ・エステベス」で1本選ぶなら、この映画でございます↓

 

 

 

ハッキリ言って、僕的に一番好きだったのは、最後の集団全裸オチ。映画序盤に“どうかしている全裸男性”が登場するんですが、まさかあれが伏線になっていたとは… (`Δ´;) ヌゥ 正直、僕はアキラ100%さんのDVDを購入するほどに全裸ギャグが大好きなのでね、あのラストだけでも十分、映画代の元は取れたと思いましたよ。つーか、現在公開中の「ぐらんぶる」といい、ややもすると、全裸の時代が来たのかもしれませんな…(例が少なすぎる分析)。それと、アレック・ボールドウィンやクリスチャン・スレイターといった、エミリオ・エステベスと同時代の俳優たちが活躍したのは、少しうれしかったですね〜。それにしてもクリスチャン・スレーターはなんで日本で評価されないんだろう…(底意地の悪い文章)。

 
 
序盤の全裸シーン。最後は大量の全裸(男性のみ)が堪能できますぞ。

 

 

 

ただ、正直なところ、鑑賞中は勝手に最近流行の「実話の映画化作品」だと思い込んでたんですよね… (´∀`;) ナンデダロ パンフを読んでみたら「ソルトレイクシティー公共図書館の元副理事チップ・ウォードがLAタイムズに寄せたエッセイにインスパイアされた物語」ということで、鑑賞直後、「実際のニュースをチェックしよう!(*゚∀゚)=3 ムッハー!」と高めだったテンションがゆっくりゆっくり下っていく「夏色」なアタシ。つーか、実話ベースだと思っていたからこそ、籠城中の独占インタビューでの「怒りの葡萄」の引用シーンとか「あの状況であんなことをよく言えたな!(°д°;) マジカ!」と尊敬したけどさ、創作だと言われると「ですよねー」と一気に冷めちゃったから、人間というのは不思議な生き物ですな(勝手に他の人も巻き込んだ文章)。そりゃあ「主人公が口ベタ」だから仕方ないんでしょうけど、とはいえ、ちゃんと「平和的なデモ」であることを分かりやすく伝えるべきなのに、名作小説をダラダラ引用しちゃうのって、ごめんなさい、無教養な僕には現実味がなくて鼻につく演出でした…ってのは心が狭いですカネー(その直後、クソ記者が知識でマウントされるシーンも好きじゃなかった。「怒りの葡萄」、一生読まない)。

 

 

あと、図書館に飾られていたホッキョクグマの剥製、何らかの暗喩ではなくこんな風に活躍するのかと期待してた(「グラップラー刃牙」より)。

 

 

って、雑な文句を書いちゃいましたが、そもそも勝手にカン違いしてた僕が悪いだけであって(そりゃそーだ)。本作は、図書館=公共施設の在り方、人種差別、貧困、フェイクニュース、依存症、前科者の立ち直りなどなど、様々な社会問題を盛り込んでいる映画であり(2回目)、いろいろと考えさせられるという点では「実話の映画化作品ではない」と知った今でも好きなのです。特に僕の頭を悩ませたのは、本作がラストで提示した「男は全裸で人前に出る場合、股間を隠すべきか」問題。以前、「『魔忠告!男のワキ毛処理!ヽ(`Д´)ノ』という駄話」という記事の中で、「旅館の大浴場や銭湯に入った時、男は股間の前を隠すべきか?」という社会問題に触れたことがあるんですけど、その延長というか。

 

もし本作のホームレス集団の中に玉袋筋太郎さんがいたら、「男は隠し事をするな!ヽ(`Д´)ノ ダメダゾ!」と、決して股間を手で押さえなかったと思うのです(劇中の逮捕前シーンでは、カメラが股間を映していない時は“手の位置的に隠していないと思われる人”が少なくなかった)。ただ、そこに「そんなモノを人に見せびらかすな!ヽ(`Д´)ノ キタナラシイ!」派の杉作J太郎先生がいたとすると、スムースに手で股間を隠されたことでしょう(逮捕されて屋外に出るシーンでは、ほぼ全員が股間を押さえてたように見えた)。ううむ、あの場に僕がいたら、どうすべきなのか。心境的には「小さいから前隠し」と着地したいものの、残念ながら未だに「男」というジェンダーの呪いに囚われている部分もあって、やっぱり粗品だろうとも堂々と見せられる姿勢でありたい自分もいてーー。そんなワケで、一昼夜悩んだ結果、「手は股間に伸ばしつつもヘアの部分に添えるだけ (°∀°)b ソエルダケ!」という結論に達したのですが、あなたならどうしますか?

 

 

ちなみに範馬刃牙さんは「手で隠す派」っぽいですな(「バキ」より)。

 
 
以上、ここまで読んだ方の気持ちを代弁する素敵な曲を貼っておきますね↓

 

 

 
その他、思ったことを書くと、「ピザを食べて仲間入りする図書館館長を見て、モロに福田里香先生のフード理論を思いだした」とか「『鼻につく』とアレック・ボールドウィンに言わせたあたり、反リベラル的な風潮も意識してるのかな」とか「ウンチクを語るホームレスのシーザーが超可愛いものの、ラスト、それに便乗してクソ記者が好感度を上げる流れは上手くいってないのでは」とか「そもそも様々な問題を扱いすぎて全体的に少し散漫になっていたような…」とかとかとか。何はともあれ、基本的には普通に面白くて考えさせられる映画なのでね、ここまで読んで興味が湧いたような方なら観ても損はしないと思いますぞ。おしまい。

 

 
 
 

この映画のエミリオ・エステベス、凶悪でカッコ良かったなぁ…(遠い目)。

 

 

パンフで猪谷千香さんが触れていた、昨年公開の図書館ムービー。評判も良いのです。

 

 

パンフで猪谷千香さんが触れていた新書。タメになりそうですな。

 

 

パンフで猪谷千香さんが触れていた新書。気になるけど、読む時間が…。

 

 

パンフでイラストコラムを描かれていた埜納タオ先生の漫画。やだ、面白そう… (´Д`;) ハァハァ

 

 

読んどいた方がいいのかな…どうしようかな…。