大脱出3(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

大脱出3(ネタバレ)

大脱出3



原題:Escape Plan: The Extractors
2019/アメリカ 上映時間97分
監督・脚本:ジョン・ハーツフェルド
製作:ランドール・エメット、ジョージ・ファーラ、シン・スー、チウ・ジエ、マーク・キャントン、ザック・シラー、ロビー・ブレナー
製作総指揮:テッド・ファーンズワース、ミッチ・ロウ、ウェイン・マーク・ゴッドフリー、ロバート・ジョーンズ、チャールズ・オーティ、マーティン・リチャード・ブレンコウ、バリー・ブルッカー、スタン・ワートリーブ、アリアンヌ・フレイザー、デルフィーヌ・ペリエ、ヘンリー・ウィンタースターン、ジョナサン・マイスナー、アレクサンダー・ボーイズ、テッド・フォックス、ウィリアム・B・スティークリー、ショーン・アルバートソン、バンス・オーウェン、マーク・スチュワート、メドウ・ウィリアムズ、スウェン・テメル、ブランドン・ホーガン
脚本:マイルズ・チャップマン
撮影:ジャック・ジョフレ
美術:ジェリー・フレミング
衣装:ロジャー・J・フォーカー
編集:ショーン・アルバートソン
音楽:ビクトル・レイェス
音楽監修:アシュリー・ウォルドロン
出演:シルベスター・スタローン、デイブ・バウティスタ、マックス・チャン、デボン・サワ、ジェイミー・キング、マリース・ジョー、ハリー・シャム・Jr.、ラッセル・ウォン、リディア・ハル、カーティス・“50セント”・ジャクソン、ロブ・デ・グルート
パンフレット:なし
(あらすじ)
世界的ハイテク企業ジャン社の社長令嬢ダヤが何者かに誘拐された。かつてダヤの身辺警護を務めていたローは、世界で唯一の脱獄のプロフェッショナルであるブレスリンを訪ね、ダヤが「悪魔砦」に囚われているとの情報を入手する。悪魔砦は、すべてが謎に包まれ、これまで出たものは誰もいないという秘密監獄だった。ブレスリンは、ローたちとともにダヤ救出に動くが、ブレスリンのパートナーであるアビゲイルが何者かによって悪魔砦に拉致されてしまう。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


前作の「大脱出2」はアレな感はあったものの、そりゃあシルベスター・スタローン主演でデイブ・バウティスタが共演な上にあのマックス・チャンも参戦するとなれば、僕に観る以外の選択肢はないワケでね(微笑)。ちょうど愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題作品になったということで、火曜日に新宿バルト9で観てきました(その後、日比谷で「SHADOW 影武者」をハシゴ)。「終わり良ければすべて良し!m9`Д´) ビシッ」と思ったり。


7番スクリーン、9割ぐらい埋まってたような。



最初に劇中の時系列を無視してあらすじを雑に書いておくと、1作目のラスト、レイ・ブレスリン(シルベスター・スタローン)を裏切ったせいで、セキュリティ会社を経営していたレスター(ヴィンセント・ドノフリオ)はタンカーのコンテナに閉じ込められる→そのまま死亡したということで、レスターの息子レスター・クラーク・ジュニア(デボン・サワ)が復讐をスタート。仲間と「刑務所のシステムを作って儲けたジャン社長の娘ダヤを誘拐して身代金をゲットする&セキュリティシステムを乗っ取る」という計画を実行しつつ、「レイのパートナーであるアビーを誘拐する」のです。で、ダヤの警備担当(ハリー・シャム・Jr.)と、ダヤの元恋人で前の警備担当だったシェン(マックス・チャン)は彼女を助けたいということで、レイの相棒デローサ(デイブ・バウティスタ)を加えた4人で、刑務所「悪魔砦」に乗り込みまして。アビーは首を切られて死ぬものの、ダヤを無事救出&敵を皆殺しにしましてね。シェンとダヤがイチャイチャムードの中、レイは「監獄はもう懲り懲りだ ┐(´ー`)┌ コリゴリ」ってな調子であり、最後は刑務所に取り残された警備担当が右往左往して終わってたんじゃないかしらん。


スタローンったら、こんな台詞を言ってましたよ。



正直なところ、終盤まではつまらなかったです。前作「大脱出2」は「ハイテク刑務所」というケレン味があったから、なかなか雑な話でもそれなりに観られたワケですが…。本作に出てくる「悪魔の砦」は意外と地味で普通な上に(ロケ地は「ショーシャンクの空に」でも使われたアメリカ・オハイオ州のマンスフィールド教護院だとか)、映画としておかしなところだらけだから、いくらこの手の作品が好きな僕でも、さすがにイラッとしたというか。例えば、映画開始早々、大企業の令嬢の拉致事件が発生して警備担当が戦うシーン、警備担当が異変に気付くあたりは良いんですが(「ズボンの丈が足りてない」とか、それはそれでくだらないけど)、位置関係やら登場人物の行動やらがグチャグチャでスゲー飲み込みづらいんですよね…。

しかも、敵が気絶した警備担当の胸ポケットに「レイ・ブレスリン」と書かれた小物(後にUSBと判明)を入れたから、警察に渡すのかと思ったら、警備担当が名前だけを頼りにレイのところに行くから、「えっ、なんでそうなるの?(゚⊿゚)」と(そもそも警備担当は重要参考人なんだから、あんな気軽に抜け出せないのでは?)。まぁ、百歩譲ってそこには目をつむるとしても、敵がそんなご都合展開を「オレの思惑通りだ (`∀´)」といった感じで勝ち誇ってくるから、なんか「バカが考えた物語」をドヤ顔で見せつけられている気分になった…って、伝わりますかね。

本作のラスボスが1作目で殺されたレスターの息子というのは良いと思うんです(「親父は熱死させられた!」と息子に言われると「確かに酷いな (`Δ´;)」と感じたし)。ただ、敵の「レイへの復讐」と「ジャン社長の娘を誘拐する云々」という2つの計画が驚くほどずさんな上に、作劇的にも上手く処理されていないから(「この計画、別々にやれば良かったんじゃない?」と思った)、これまたストレスが溜まったんですよね…。その他、冒頭でオハイオの貧困事情を描く割にはあまり関係なかったし、序盤にシェンが企業に潜入してレイと出くわすシーンも雑だし(あいつら、どうやって脱出したの?)、警備担当が最後まで単なる役立たずとして描かれていたのはビックリしたし(いちいちイヤミを言われたりするのもキツい)、前2作の「主人公が難攻不落の刑務所に囚われる→脱出する」という展開を捨てたのもどうかと思ったし…。ジョン・ハーツフェルド監督、「ボビーZ」とかを観る限り、それなりの映画を撮れる人だと思うのでね、ここまでメチャクチャだと「制作時に何かあったのカナー (´・ω・`) ウーン」と逆に心配になった次第。


1作目のラストでレスターはタンカーのコンテナに閉じ込められましてね(「大脱出」より)。


本作でその息子が復讐しに来るという展開は嫌いじゃなかったです。



てな調子で、アクションシーンも少なめだし、相当つまらなかったんですけれども。終盤に繰り広げられた3つの戦闘シーンがなかなか良かったから、最終的には上機嫌になったという単純なアタシ (ノ∀`) エヘヘ まず、デイブ・バウティスタ演じるデローサが「ドラゴンブレス弾」を雑魚に撃ちまくるシーンがバカっぽくて愉快でしたな〜(刑務所に着いたら一番に「暴れてくる」みたいなことを言って行動を起こした割にはその肝心の“暴れるシーン”が遅かったのは微妙でしたけど)。そして、その直後のタイマンシーン、敵がマッチョの割にはずいぶん動きが機敏だし、どことなくイチャイチャ感が漂っていたので調べてみたら、なんとバウティスタのスタントダブルのロブ・デ・グルートだそうで。最近、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を観ていたのもあって、“相棒”との関係性にも萌えたというね。


バウティスタと戦う動きの速いマッチョ(左)は誰なのかと思ったら…。


バティスタのスタントダブルだったのね。やだ、仲良さげ〜 (´∀`=) ホッコリ



マックス・チャンのタイマンも素晴らしかった。どんなアレな映画に出ていてもマックス・チャン自体はいつだってカッコイイ男なワケですが、その相手が「ブラッド・スポーツ2〜4」の主演であり、近年は「ジョン・ウィック」「アトミック・ブロンド」でも良い仕事をしていたダニエル・バーンハードというだけでテンションがガン上がり。しかも、そのタイマンは「今どきの打撃格闘+カンフー」をベースに、僕の大好物である「剛の攻撃に対して柔の拳で立ち向かう」という味付けがされていたので、とても…美味しかったです… (´Д`;) ハァハァ マックス・チャンが良かったのはもちろんなんですけど、ダニエル・バーンハードもスゲー良い“アクション野郎”だなぁとあらためて感心いたしました。


マックス・チャンは構えるだけで色気がムンムンであり、観客の8割が失神したのでした(唐突なウソ)。



ダニエル・バーンハード、「ファイナル・ブラッド」ではジャン=クロード・ヴァン・ダムと戦っているのです。




だがしかし。本作の白眉は最後のスタローン。アビーを殺されて怒り心頭のレイは、レスターの息子(以下、レスター)とどうでも良い銃撃戦を展開するんですが、これがなかなかどうでも良いレベルでしてね。被弾して監房に逃げ込むレイをレスターが無防備に追う→レイが不意を突くくだりもこれまたどうでも良くて(あんな狭くて隠れられない場所で不意打ちできるの?)。その直前のマックス・チャンvsダニエル・バーンハードが良かった分、脳内では名曲「どうでもいい!」が流れまくっていたんですけど、なんとそこからが最高だったからアクションとはわからないもの、ですな(知った風な口で)。

敵の不意を突いたレイがレスターと素手でタイマンを繰り広げる…というよりは「レイが散々ボコッた挙げ句に首を切って突き落とす」という一方的な制裁が描かれるのです。今までスタローン主演&出演作をいろいろと観てきましたが、ここまで一方的かつ容赦なく(そしてテンポ良く)敵をぶちのめす姿は初めてで(ランボーの場合、すぐ殺しちゃうし、こんなにスピーディかつブルータルに殴るスタローンはなかったと思う)、なんて言うんでしょうか、在りし日のスティーブン・セガール主演作を観ているかのような爽快感があってね…(しみじみ)。本作はそんな「セガール化したスタローン」を観るだけでも十分価値がある作品だと感じたんだけど、君はどう思う?(唐突な問い掛け)


70歳にして「セガール化」という新たな扉を開けたスタローン。恐ろしい男よ… (`Δ´;) ヌゥ


そんなスタローンを目撃した直後の僕は内海旬三警視総監気分だったのでした(「刃牙道」より)。



その他、思ったところを書いておくと、「マックス・チャンが1人になった瞬間に流れるアジアン風ミュージックの安さ(でも、ヒョイとジャンプして後ろ手だった両手を前にするマックス・チャンは素敵)」とか「ダヤと一緒に拘束された恋人っぽい奴がTBSの熊崎風斗アナっぽい(レイが目の前を通り過ぎる時の頷き方とか)」とか「最近、『喉を切って殺すシーン』をよく観る気がするけど、CG技術が発達したから?」とかとかとか。もうね、終盤までは本当に退屈だったし(途中で帰りたいと思った)、警備担当をなんであんな役立たずに描いたのかも謎すぎてモヤッとするし、ラストの「監獄は懲り懲り」のメタ的な台詞(たぶんもう続編は作らないっぽい)には心底同意しながらも「2作目に出てきた“黒幕”は放置したまま? (・ε・)」と思わなくもないし…。ハッキリ言って、見逃せない映画が大量に公開されている現在、そこまで観る価値はないような気がしないでもないんですが(汗)、とは言え、最後の“容赦のないスタローン”がとにかく最高だったので、好事家にはぜひ劇場の大きいスクリーンでチェックしてほしいと思ったり。


結局、2作目のラストで宣戦布告をした奴はなんだったんでしょうな(「大脱出2」より)。



おしまい。




スタローンとシュワルツェネッガーのW主演による1作目。僕の感想はこんな感じ



今年の4月に公開されたシリーズ2作目。僕の感想はこんな感じ



そう言えば観てたジョン・ハーツフェルド監督×ポール・ウォーカー主演作。僕の感想はここの2番目



ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演×リンゴ・ラム監督による刑務所映画。期待値低めでチェック!m9`Д´) ビシッ