アス(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

アス(ネタバレ)

アス



原題:Us
2019/アメリカ 上映時間116分
監督・製作・脚本:ジョーダン・ピール
製作:ショーン・マッキトリック、ジェイソン・ブラム、イアン・クーパー
製作総指揮:ダニエル・ルピ、ベア・セケイラ
撮影:マイケル・ジオラキス
美術:ルース・デ・ヨンク
衣装:キム・バレット
編集:ニコラス・モンスール
音楽:マイケル・エイブルズ
視覚効果監修:グレイディ・コファー
出演:ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、エリザベス・モス、ティム・ハイデッカー、シャハディ・ライト・ジョセフ、エバン・アレックス、カリ・シェルドン、ノエル・シェルドン、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、アナ・ディオプ、マディソン・カリー
パンフレット:★★★☆(800円/ネタバレ前提のパンフは好き。コラム3本も良い感じ)
(あらすじ)
夫のゲイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンとともに夏休みを過ごすため、幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れたアデレードは、不気味な偶然に見舞われたことで過去のトラウマがフラッシュバックするようになってしまう。そして、家族の身に何か恐ろしいことが起こるという妄想を次第に強めていく彼女の前に、自分たちとそっくりな“わたしたち”が現れ……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




50点


※この映画の解釈云々については、映画評論家の町山智浩さんによるこちらの解説とか読めば十分じゃないかしらん。

本作を観たのは、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題作品になったから…ではなく(不要な書き出し)。ジョーダン・ピール監督の「ゲット・アウト」が面白かったし(2回目が特に!)、予告編を観たら「この話、どうなるの!? Σ(゚д゚;)」とスゲー気になったし、悪意全開のドッペルゲンガーたちも不気味で好みだし…ということで、観ることに決定。ネタバレが怖かったので、公開してすぐの9月9日(月)、auマンデイを利用して、TOHOシネマズ日比谷で鑑賞いたしました。「あ…そういう話でしたか… (´Д`;) ハァ...」と思ったり。まぁ、アッサリ気味に感想を投下しておきますね。


7番スクリーン、1/3ぐらい埋まってました。



最初にあらすじをザッと雑に書いておくと、主人公のアデレードは、小さいころ、カリフォルニア州サンタクルーズのビーチにある遊園地のミラーハウスで、自分とそっくりな少女に出会うという体験をしてましてね。ショックで少し話せなくなったりしたものの、今ではすっかり成長して結婚し、2人の子どもに恵まれて、それなりに幸せな日々を送っていたんですが、しかし。思い出のサンタクルーズの別荘に遊びに行ってみれば、自分たち家族とそっくりな“わたしたち=テザード”が襲来しましてね。実は、テザードは過去に政府が作ったクローンであり、他の人たちの分も大量に存在しまして。実験の失敗によって地下に封印されていたんですが、リーダー格のレッド(主人公にそっくり)の指導によって地上に進出してきたのです。そんなテザード軍団ったら、自分たちと対になる人間を殺しては「ハンズ・アクロス・アメリカ」ライクに手を繋ぎ始めるから、何が何やらですよ ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ で、あーだこーだあって、アデレードはレッドをタイマンで殺して息子を取り戻すも、よくよく思い出してみれば「小さいころ、ミラーハウスでそっくりな少女と入れ替わっていた→アタシがテザードだったぁーッ!Σ(゚д゚;し ゲェー!」ってな調子で終わってたんじゃないかな、たぶん(うろ覚え)。


なんとなく最後に流れるミニー・リパートン「Les Fleurs」を貼っておきますね↓




ううむ、「アス」なんて言うからお尻についての映画かと思いきや「ホーム・インベージョン系」+「ドッペルゲンガー系」って感じのホラーかと思いきや、「恵まれている自分に罪悪感はないの?(゚⊿゚)」的なメッセージが込められた映画だった…ってのは、尊敬する映画評論家の町山智浩さんがパンフやらサイトやらで散々解説しているし、ジョーダン・ピール監督だってインタビューで語っているワケですが、なるほどなぁと。例えば「移民を閉め出そうとするアメリカ(US)」を描いたとも言えるそうで、それって僕ら“豊かな日本人”にも当てはまるワケで(貧困層を無視して生きている…どころか、そもそも“先進国に生まれたことの既得権益”があるんですよね)。非常に考えさせられた…と書きたいところですが、ごめんなさい、正直、僕はあまり乗れなかったです。

ビーチでの「息子がいなくなっちゃったシーン」の不穏さは素晴らしかったし、テザードたちの見せ方は不気味で愉快だったし、「自分だったらどうしよう!(´Д`;)」と父親目線でハラハラしたし(最初にヒザをやられるのは「ファニーゲーム」を思い出した)、「テザードたちはウサギを生きたままボリボリ食べて暮らしてた」といった設定も面白かったし、好きなところも多いんですよ。ただ、「ホラーが社会問題のメタファーになっている」的なのって別に嫌いじゃないけどさ、本作の場合、「政府がクローンを作って地下施設に閉じ込めてた」みたいな設定があまりに突飛すぎて、そのテーマの描き方に感心する以前に「なにこの話 ( ゚д゚)」って冷めちゃったんですよ…。

なんて言うんですかね、「ドッペルゲンガー」モノなんて、超自然的な存在云々で投げっぱなしてもらえれば良かったのに、中途半端に理屈をこねられたせいで、逆に「じゃあ、こういうところが変じゃね?」といった風に細かいところが気になって仕方なかったという心の狭いアタシ。町山さんが「本作はこれだけ長い説明が必要な作品。だけど今言った通りのメッセージでそのまま映画作ったら誰も見に来ないですよね。『我々は貧困層を切り捨てているのではないか!』とかね(笑)。だれも見に来ないですよ!このように描くのはジョーダン・ピールの戦略なんです」なんて言われてて。そりゃあ、そうかもしれませんが、とは言え、僕は「これだけ長い説明が必要」な割にはあまり上手くいってないように思えたというか、その説明を知っても「だから何」感が拭えなかった…って、伝わりますかね (´・ω・`) ウーン


ということで、鑑賞後はこの烈海王気分になった次第(「バキ」より)。



まぁ、何はともあれ、そんなワケで予想外に乗れなかったです (´Д`;) ウーン でも、面白いところも結構あったし、なんと「ロッテントマト」では大絶賛されているし、日本でも評価する人が多いということでね、ホラーが好きな人は観ておくと良い気がいたします。おしまい。




デジタル盤のサントラ。輸入CD盤もあります。



ジョーダン・ピール監督の前作。僕の感想はこんな感じ