旅のおわり世界のはじまり(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

旅のおわり世界のはじまり(ネタバレ)

旅のおわり世界のはじまり



2019/日本、ウズベキスタン、カタール 上映時間120分
監督・脚本:黒沢清
製作・坂本敏明、水野詠子、太田和宏、宮崎伸夫、吉田達也、山本浩、フルカット・ゾキロフ
プロデューサー:水野詠子、ジェイソン・グレイ、西ヶ谷寿一
アソシエイトプロデューサー:西宮由貴
協力プロデューサー:森山敦、山口幸彦、飯田雅裕
ラインプロデューサー:飯塚信弘
撮影:芦澤明子
照明:永田英則
録音:渡辺真司
美術:安宅紀史
スタイリスト:纐纈春樹
ヘアメイク:HAMA
VE&DIT:鏡原圭吾
編集:高橋幸一
音楽:林祐介
音楽プロデューサー:和田亨
音響効果:柴崎憲治
スクリプター:柳沼由加里
助監督:海野敦
制作担当:相良晶
タイトルデザイン:赤松陽構造
出演:前田敦子、染谷将太、柄本時生、アディズ・ラジャボフ、加瀬亮
パンフレット:★★★★☆(900円/怪魚をあしらった表紙が“二段階で楽しめる作り”で超素敵! ウズベキスタン情報のページが好き)
(あらすじ)
いつか舞台で歌を歌うことという夢を胸に秘めたテレビ番組レポーターの葉子は、巨大な湖に潜む幻の怪魚を探すという番組制作のため、かつてシルクロードの中心として栄えた地を訪れる。早速、番組収録を始めた葉子たちだったが、思うようにいかない異国の地でのロケに、番組クルーたちもいらだちを募らせていく。そんなある日、撮影が終わり、ひとり町に出た葉子は、かすかな歌声に導かれ、美しい装飾の施された劇場に迷い込むが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※本作については、宇多丸師匠の時評を読めば十分じゃないかしらん。

「黒沢清監督作は絶対観る!」的な気持ちはないものの(失礼かつ不要な文章)、前田敦子さんの主演映画ということで、観ようとは思っていましてね。ちょうど愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題作品になったので、昨日、仕事の合間を縫って、テアトル新宿で鑑賞しました。「道程は遠いなぁ… (`Δ´;) ヌゥ」と思ったり。


劇場関連のgif。「旅のおわりのモヒートジンジャー」はそれなりに美味でした (´∀`) ソレナリ



最初に「ウソ」「おおげさ」「まぎらわしさ」を交えながらストーリーを書いておくと、テレビ番組レポーターの葉子(前田敦子)は「巨大湖に潜む幻の怪魚ブラムルを見た!Σ(°д°し クワッ!」的な番組制作のために、ささくれだったムードのディレクター・吉岡(染谷将太)、ベテランカメラマンの岩尾(加瀬亮)、ADの佐々木(柄本時生)、現地コーディネーターのテムル(アディズ・ラジャボフ)と一緒に、ウズベキスタンでロケをしまくるんですけれども。目玉となるはずの怪魚は見つからないわ、それを現地の人に自分のせいにされるわ、グルメレポで生焼けのプロフをボリボリ食わされるわ、遊園地でハードな乗り物に何度も乗せられて吐くわ、「ヤギのオクーを自由にする or しない」で現地の人と揉めるわと、散々な目に遭うのです(とは言え、仕事はプロフェッショナルとしてキッチリこなす)。


レポーターの仕事を頑張ってこなす葉子でしたが、トラブル続きでしてね。


ディレクター&スタッフたちも振り回されて、少しイライラしちゃうのでした。



そんな撮影が終わって、町を一人でブラブラしていた時のこと。いつの間にか美しい装飾が施されたナボイ劇場に入ってみれば、そこで「愛の賛歌」を歌う自分を幻視しましてね。実は歌手を目指していて、ミュージカルのオーディションを控えていた葉子は「アタシ、なんでこんなことしてんだろ… (´・ω・`し」なんて気分になりつつも、岩尾に「女は度胸! 何でも試してみるのさ ( ´_ゝ`)」といった感じのアドバイスをもらったので、「アタシ、もう一度、頑張ってみる!ヘ(゚∀゚*し」と、手持ちカメラを持って、市場を適当に撮影してみたんですが、しかし。撮影に夢中になってクルーとはぐれた上に、撮影禁止区域を撮ったことを咎められて逃走→逮捕という最悪な状況に陥って、ガチしょんぼり沈殿丸なのでした… ('A`し イヤーン


幻想的なナボイ劇場で不思議体験をして、自分が本当にやりたいことを思い出す葉子。


ちょっと気を取り直してみるも、猫を追ったりしていたら、警察に追われるハメになるのでした (´∀`) アラアラ



でも、ウズベキスタンの警察官だって悪い人ではありませんよ(微笑)、「私たちは対話したいだけなのに、なぜ逃げるのですか?(゚⊿゚) ナゼ?」と至極真っ当な説教をかましてから無罪放免してくれた…と思ったところに、日本で大規模な火災のニュース→恋人が死んだかもしれない状況になってしまったから、うわぁぁぁぁん!川TДT)ノ ウワァァァン! でも、結局、自分の恋人は無事だったので、「アタシってば、運がいいカモ 川・∀・)ケロリ」と、なんていい気持ちまるでアルデンテ。元気良くロケを続ける中、ウズベキスタンの山に登ってみれば、自分が逃がしたオクーっぽいヤギが元気そうだったので、「愛の賛歌」を歌ってみるのでした (´∀`し ラララ


最後は新たなUMAを求めて山登り→歌って終わってましたよ、たぶん。



ああん、「ムービーウォッチメン」の課題映画の感想は、いつも放送前にはアップするつもりなんですが、仕事やら何やらが忙しくて、全然書けなくてね…(遠い目)。仕方ないので、「何者」の感想を書く時に作ってみた裏アカにこんなツイートをしたんですけれども↓





要は「良かったけど、乗れないところもあった」というか。良かったところを書くと、淡々としながらもプロとしてキッチリ仕事をこなす葉子の姿がとても面白かったし、他の芸達者な役者さんたちとのやり取りも非常に上手くて、前田敦子さんはまた演技スキルが上がったんじゃないかと。遊園地でグルングルン回る凶悪なブランコに何度も乗せられるシーンは可哀相ながらも笑っちゃったんですが、パンフによると彼女が実際に4回も乗っているそうで、その体を張る姿勢も好感が持てました。画面を支配する存在感も素晴らしくて、ラストの「愛の賛歌」は等身大の彼女が頑張って歌っている感があって、スゲー良かったです。あと、そりゃあ他の役者さんたちも見事だったし(テムル役のアディズ・ラジャボフ、日本語がまったく話せないのに超頑張ってた!)、ウズベキスタンの風景&雰囲気は素敵だったし、美術さんが作ったという「ヤギを囲っている柵」はリアルで感心したし、ナボイ劇場のトリビアはタメになったし…。あの「無遠慮にカメラで撮影するくせに、その対象からの反撃を予想していない無自覚さ」は、何でも気軽にスマホで撮影する現代人を批評しているのかな…なんてことを思ったりしましたよ。


本作に登場する回転ブランコは「ファースト・マン」に出てきた訓練マシン級にハードな乗り物でして。


自ら乗って演技する前田敦子さんを観た時の気持ちを代弁する花山薫を張っておきますね(「範馬刃牙」より)。



ただ、乗れなかったところを書くと、「日本人が金を使って現地の“可哀相なヤギ”を解き放つ」という“美談”が微妙に感じたとか、最後に歌うのは「愛の賛歌」ではなく「異邦人」はどうだろうか(a.k.a.台無しな提案)…ということだけでなく。終盤のウズベキスタン警察での説教シーン、言っていることは至極真っ当で頷きまくったんですが(「勝手に判断して、心を閉ざして、相手の言っていることに耳を傾けない」なんて良くないものね (・A・) イクナイ!)、かなり説明台詞感があって好きじゃなかったなぁと。それと、葉子が吹っ切れた理由が「自分の恋人が無事だったから」というのにモヤッとしまして。あれは東日本大震災の時の黒沢監督の体験を反映したそうですけど、ウズベキスタンを舞台にした映画なんだから、主人公にはウズベキスタンの人たちの影響で変わってほしかったし(その直前に説教されてたけどさ)、「大規模な火災で死者が出てる→自分の恋人じゃなかったから良かった」という心の流れで立ち直られても、人間はそういうものなので仕方ないとは思いつつも、若干、居心地が悪いというか。結果、「何だかなぁ (・ε・) ウーン」感が拭えなかったので70点という着地であり、僕的には「もらとりあむタマ子」の方が好きだな…なんて思ったりした次第。


このヤギのエピソード、微妙に引っ掛かったんですよね…。



だがしかし! 宇多丸師匠や蓮實重彦さんといった“映画の見方がわかっている賢人たち”が軒並み高評価しているのを見ると、自分が間違っているような気がしてきたという自己評価が低めのアタシ。いや、別に映画の好みなんて人それぞれなんだから、どこの誰が何をどう褒めようと嫌おうと自分の感じたことが一番大事…とは言いつつも、「ちゃんと映画を読み取れていること」も重要じゃないですか。僕にとって黒沢清監督作って、ワン・ビン監督作と同じく、作品に物足りなさを感じても「それは僕がしっかり理解できていないからではないか?」という疑念が浮かんでしまうことが少なくなくて、本作もまたそんな気持ちになった…って、伝わりますかね。本当にね、シネフィルへの道程は遠いというか、とりあえずあらためて黒沢清監督作に向き合うべく、今月7月13日(土)、練馬の「か和もっち」で軽く飲んでから、池袋の新文芸坐でオールナイト上映される「黒沢清と哀川翔 35mmフィルムで堪能する冷たい異空間」を観に行く予定でございます。まぁ、だからなんだと言われると、グウの音も出ませんがー (´・ω・`) グゥ


13日のチケット。アタシ、これで黒沢強者になれるかな…。



おしまい (゚⊿゚) ナニコノオチ




劇場で売られていた&パンフにも載っていたガイド本。少し興味あるけど、行く気はないです。



マキシシングルに同梱されていた前田敦子さん主演&黒沢清監督作。観なくちゃなぁ。



前田敦子さんが出演している黒沢清監督作。僕の感想はこんな感じ



前田敦子さん主演作ではこれが一番好きです。僕の感想はこんな感じ