武蔵 むさし(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

武蔵 むさし(ネタバレ)

武蔵 むさし



2019/日本 上映時間120分
監督・脚本・製作・編集:三上康雄
撮影:江部公美
照明:山口晴弘
録音:尾崎聡
音響効果:伊藤進一
殺陣創案:中村佳夫
監督助手:中川邦史朗
所作:中川邦史朗
津軽三味線指揮:小田島徳旺
制作統括:堂庭章
ナレーター:増田晋
出演:細田善彦、松平健、目黒祐樹、水野真紀、若林豪、中原丈雄、清水紘治、原田龍二、遠藤久美子、武智健二、半田健人、木之元亮、須藤正裕、カズキ、黒木真二、鈴木有史、小林郁大、秋月成美、真木仁、勝亦正、太田聡、横山恒平、瀬戸さおり、篠田薫、中川邦史朗、大岩匡、児玉純一、宗円章浩、今井耕二、三上康雄
パンフレット:★★★(850円/自主製作っぽさアリ。「文章、記事の権利はフリー」に驚いた!)
(あらすじ)
幼い頃、父親から徹底的に鍛えられた21歳の武蔵は剣術の名門・吉岡家に挑むため、京の地にやって来た。武蔵は当主である吉岡清十郎、弟の伝七郎、吉岡の門弟たち数十名と一乗寺下がり松で壮絶な戦いを繰り広げる。一方その頃、佐々木小次郎は京の愛宕山で細川家の重臣・沢村大学と出会い、細川家の剣術指南となる。鎖鎌の宍戸、槍の道栄とも戦った武蔵は、ついに小次郎と刀を交えることとなる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


本日はすでに「多十郎殉愛記」の感想をアップしているんですけど、「時代劇2本立て」としてこの記事も更新しておきますよ。以前、なんとなく気になって三上康雄監督の自主製作時代劇「蠢動 しゅんどう」を観てみたら、これが結構面白くて。今度はあの剣豪・宮本武蔵の映画を撮ったということで、「これは観ておかねば!(`・ω・´) キリッ」と、6月1日(土)、ユナイテッド・シネマとしまえんで観てきました(その後、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」をハシゴ)。「ちょっと物足りないカナー (・ε・) ウーン」と思ったり。


7番スクリーン、20人ぐらいはいたような。



自分が「宮本武蔵の物語」を知っているのは、確か吉川英治先生の小説を読んだ&役所広司さん主演のドラマ版を観たからだと思うんですが(とは言え、すべてがうろ覚え)、近ごろは「バガボンド」あたりで知った人の方が多いんでしょうか。数年前、西久保瑞穂監督の歴史アニメドキュメンタリー「宮本武蔵 双剣に馳せる夢」とか、「一乗寺下がり松の決闘」だけをワンカットで撮った坂口拓さん主演の実験的映画「狂武蔵」とかを観たりしましたが、何にせよ、「宮本武蔵」という題材は「忠臣蔵」のように何度も何度も映像化されてきた→現時点でやり尽くされた感があるとは思うんですよ。


最近では板垣恵介先生が「刃牙道」で描いた武蔵が好きでした (´∀`=) スキヨ



だがしかし! 今年もまた「忠臣蔵」を題材にした映画が公開されるように、やりようはいくらでもあるんですよね、たぶん。本作は「吉岡伝七郎との試合」「吉岡一門との決闘」「鎖鎌の宍戸や十字槍の奥蔵院道栄との戦い」「舟島(巌流島)での佐々木小次郎との対決」といった武蔵の王道ストーリーをベースに「細川家が土豪を押さえ込むため、修験者だった小次郎を剣術指南役にしたものの、面倒くさい主張をし始めたので、謀殺するために武蔵と戦わせた」という要素を加えてましてね。決着がついた後、小次郎にトドメを刺すのは細川家であり、最終的には「これからは武より才知 ( ̄ー ̄) ニヤッ」みたいなオチになるのだから、「武蔵の物語」にしてはなかなか苦い着地だなぁと感心いたしました。

そして、“リアル”寄りの殺陣も面白かったですね。まぁ、あくまで「蠢動 しゅんどう」でも描かれた“三上監督流のリアル”ではありますが(そりゃそーだ)、「実際に多人数で斬り合ったら、こうなるかも… (`Δ´;)」と思わされたというか。ハッキリ言って、もっと手足が斬り飛ばされたりするチャンバラアクションの方が好みですけど(汗)、間合いの取り方とか、斬られた仲間の名前を呼んだりとか、位置取りの攻防とか、細かいディテールにこだわりが感じられて、なかなか好みでしたよ。あと、本作は意外とキャスティングが豪華なんですが、その中で武蔵を演じた細田善彦さんは精悍で良かったし、松平健さんの佐々木小次郎も新しかったし、半田健人さんが出てたのもうれしかったです。


監督のインタビュー動画があったので、貼っておきますね↓




ただ、好きなところがあった分、物足りなく感じた部分もありまして。「会話シーンが長い&説明台詞が多い」とか「昔の言葉使いは良いけど、それはそれで不自然に感じた」とか「ところどころ必要なカットが足りていない気がした(刀が当たる瞬間など)」とか「『そもそも刀は人殺しの道具なのよ?川 ゚д゚)』という姉の説教が超ウザい」といったところは仕方ないとしても。なんて言うんですかね、せっかく「新しい佐々木小次郎像」を描いたのに、武蔵の方はよくある真面目な求道者キャラなのが残念だったんですよ…。そりゃあ「五輪書」なんて書いている人だから、もちろんそういう面はあったと思うんですが、僕的には板垣恵介先生が「刃牙道」で登場させた切り裂き魔(霧吹き魔)的なキャラがストライクだっただけに、また新たな「武蔵像」が観たかった…ってのは伝わるでしょうか。まぁ、「宮本武蔵」の映像化作品をちゃんとチェックしているワケではないので、過去にはそういうのもあったのかもしれませんがー。


こんな武蔵を実写で観たかったのです(「刃牙道」より)。



そんなワケで、「もう少しこうしてほしかったナー (・ε・) ウーン」という部分もありましたけど、トータル的には面白かったです (°∀°)b ヨカッタ! 何はともあれ、変なところもある映画ですが、気になる方は機会がありましたらぜひチェックしてみてくださいな。パンフの山下敦史さんの解説を読むと「武蔵は自分の武器をギリギリまで見せていない」など、気付いていない部分が少なくなかったので(汗)、僕も機会があったらもう一度観たいと思っております。おしまい。




「歴史街道」の増刊号。本作の完成台本が掲載されているそうな。



三上康雄監督作。特別版Blu-rayもあります。僕の感想はこんな感じ



宮本武蔵といえば吉川英治先生ですよね。内容はうろ覚えでございます。



これまた有名な内田吐夢監督作。たぶん五部作のどれかをテレビで観たことがあるような… (´∀`;) エヘヘ



役所広司さん主演のNHKドラマ版。確か母親と一緒に観ていたと思います。



井上雄彦先生による宮本武蔵漫画。僕が生きている間に完結するのかな…。



そしてクローンの宮本武蔵が活躍する板垣恵介先生の漫画も貼っておきますね。