ハード・コア(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ハード・コア(ネタバレ)

ハード・コア



2018/日本 上映時間124分
監督:山下敦弘
原作:狩撫麻礼、いましろたかし
脚本:向井康介
プロデューサー:二木大介、根岸洋之、山田孝之
ラインプロデューサー:原田耕治
撮影:高木風太
美術:安宅紀史
照明:秋山恵二郎
録音:竹内久史
編集:佐藤崇
特殊造形:百武朋
スタイリスト:伊賀大介
音楽プロデューサー:齋見泰正
音楽:Ovall
エンディングテーマ:Ovall feat. Gotch
出演:山田孝之、佐藤健、荒川良々、石橋けい、首くくり栲象、康すおん、藤原季節、松たか子
パンフレット:★★★★(800円/監督の思い入れの強さが伝わるパンフ。最終ページの直筆の文章がイイ! 盟友・松江哲明監督も良いレビューを書いてます)
(あらすじ)
あまりにも純粋で不器用なために世間になじめずに生きてきた男・権藤右近。群馬の山奥で怪しい活動家の埋蔵金堀りを手伝って日銭を稼ぐ彼にとって、心優しい仕事仲間・牛山だけが心を許せる相手だった。右近の弟でエリート商社マンの左近は、そんな2人の無為で自由な日々を歯がゆい気持ちで見守っている。ある日、右近と牛山は、牛山が暮らす廃工場で、古びた1体のロボットを見つける。その分野に詳しい左近が調べると、実は現代科学すらも凌駕する高性能なロボットであることが判明。彼らはロボットと不思議な友情を築いていく一方で、その能力を使って巨額の埋蔵金を密かに発見してしまう。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




60点


恥ずかしながら、僕は狩撫麻礼先生&いましろたかし先生による原作コミックは知らなかったんですが、「① 山下敦弘監督作がそれなりに好き」「② 山田孝之さんと佐藤健さんが出演する」「③ 『ハード・コア』というタイトルとポスターのロボットが気になる」という3つの理由により、前売り券を購入。2018年11月23日に公開されたので、すぐ観に行こうと思ったものの、足を運べぬまま上映が終わってしまった…というのはよくある話よね ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ で、劇場情報をチェックしてみたら、年明けにアップリンク吉祥寺で公開されることがわかったので、1月7日、仕事帰りに鑑賞いたしました。「乗れるような、乗れないような… (´・ω・`) ウーン」って感じでしたよ。


前売り特典は「オリジナルクリアファイル」だったり。


実にミニマムな5番スクリーン。観客は10人ぐらいだったような。



本作のあらすじを超雑に書いておくと、世間に馴染めないアウトローの権堂右近(山田孝之)と、廃工場で暮らす“精神を病んでいるっぽい男”牛山(荒川良々)は呑気でしょうもない日々を送っていて、右近の弟でエリート商社マンの左近(佐藤健)は、そんな2人を生温かく見守っていたところ、廃工場から1体の高性能ロボットが出現しまして。「ロボオ」と名付けられたロボットと右近と牛山の友情が深まっていく…ってな調子。その他、右翼活動家の埋蔵金発掘事業に従事したりとか、牛山の筆下ろし計画が失敗したりとか、牛山の悲しい過去(頭脳明晰な学生だったものの、プレッシャーで潰れて失踪したっぽい)が明らかになったりとか、水沼の娘・多恵子(石橋けい)と右近が性的関係を結んだりとか、水沼がボケた会頭(首くくり栲象)を殺したことをロボオが暴いたりとか、さまざまな出来事がオフビートで描かれていくんですね。

で、最終的には、廃工場が警察に囲まれてしまって窮地に陥るんですけど(原作だと、会頭を殺した罪を着せようと水沼が密告したっぽい)、ロボオが「最適解」として右近と牛山を抱えて空へ→自爆しまして。「ロボオを使って発掘した埋蔵金を闇ルートで換金しようとして死んだ」と思われていた左近が金の入ったアタッシュケースを持って廃工場に来たところで「完」の文字が出るんですが、しかし。なんと右近と牛山は南の島で生きていて、牛山は現地の女性との間に子どもができて、終わってましたよ、たぶん(うろ覚え)。

ううむ、率直な感想を書くと、嫌いじゃないけど、そこまで好きじゃない…って感じでしょうか。いかにも山下敦弘監督作っぽいオフビート感は好みだったし、佐藤健さんのSっ気のあるエリート演技は良かった&ツッコミ振りも楽しかったし、荒川良々さんも後で原作を読んだらピッタリの配役だったし、脇を固める役者さんたちも味があったなぁと。話の展開がまったく予想つかなかったことも楽しかったです。それと、これは後から知ったことですが、山下監督的に思い入れがある原作の映画化だったそうで。居酒屋での兄弟ゲンカシーンでのオリジナルの台詞「間違ってんのが世の中だろ!」はグッときたし、自爆で終わる原作とは違うハッピーエンドを付け足した姿勢はね、優しさが感じられて好きでしたね。

ただ、正直なところ、山田孝之さんが全然アウトローっぽく見えなかったです。ごめんなさい、どこかコントっぽいというか、“「不器用な生き方をしている人」を演じている人”にしか見えなかったんですよね…。今まで山田孝之さんの映画を観てもそんな違和感を感じたことがなかったので、自分でも結構ビックリしました。あと、これは90年代に描かれた原作&男同士の話だから仕方ないんでしょうけど、女性の描き方があまりに男性目線すぎるというか。「デリヘルを呼んだら愛想の悪いおばさんが来て〜」という展開とか「セックスはするけど主人公の純粋な気持ちには応えない“エロいバツイチ女性”」というキャラ造形とか、「今どきこんな描写しちゃうの!? Σ(゚д゚;)」と思って、ちょっと居心地が悪かったです。

そして、何よりも鑑賞後に原作を読んでみたら、映画が「ダイジェスト」に感じられたというか、「漫画の方が面白いな (`Δ´;) ヌゥ」と思って、映画へのテンションが下がっちゃったという酷い文章(僕の中で70点→60点になった感じ)。これ、昔からの原作ファンはどう観たのかなぁ。劇中の雰囲気とかは決して嫌いじゃないんですけどね…。乗れるような、乗れないような、そんな曖昧な気持ちを抱いた作品でした (´・ω・`) オシマイ




狩撫麻礼先生&いましろたかし先生による原作コミック。実に味わい深いです。



Ovallと後藤正文さんがコラボした主題歌。アナログ盤もあります。



松江哲明監督&山下敦弘監督×山田孝之さん主演作。僕の感想はこんな感じ



一応、ロシア発の同名映画も貼っておきますね。僕の感想はこんな感じ