日日是好日(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

日日是好日(ネタバレ)

日日是好日



2018/日本 上映時間100分
監督・脚本:大森立嗣
原作:森下典子
プロデューサー:吉村知己、金井隆治、近藤貴彦
撮影:槇憲治
照明:水野研一
美術:原田満生、堀明元紀
録音:吉田憲義
装飾:田口貴久
衣装:宮本まさ江
ヘアメイク:豊川京子
音響効果:伊藤進一
編集:早野亮
音楽:世武裕子
スチール:三木匡宏
助監督:小南敏也、森井勇佑
制作担当:飯塚香織
ラインプロデューサー:伊達真人
題字:赤松陽構造
出演:黒木華、樹木希林、多部未華子、原田麻由、川村紗也、滝沢恵、山下美月、郡山冬果、岡本智礼、荒巻全紀、南一恵、鶴田真由、鶴見辰吾
パンフレット:★★★★(750円/文章量多めの好きなタイプのパンフ。プロップ図鑑が最高!)
(あらすじ)
「本当にやりたいこと」を見つけられず大学生活を送っていた20歳の典子(黒木華)は、タダモノではないと噂の「武田のおばさん」(樹木希林)が茶道教室の先生であることを聞かされる。母からお茶を習うことを勧められた典子は気のない返事をしていたが、お茶を習うことに乗り気になったいとこの美智子(多部未華子)に誘われるがまま、流されるように茶道教室に通い出す。見たことも聞いたこともない「決まりごと」だらけのお茶の世界に触れた典子は、それから20数年にわたり武田先生の下に通うこととなり、就職、失恋、大切な人の死などを経験し、お茶や人生における大事なことに気がついていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


「2018年内に感想がアップできなかった映画シリーズ」の5本目。今までずっと「ひびこれこうじつ」って読むと思ってたーーということは置いとくとして。「茶道を扱う」「黒木華さんと多部未華子さんが共演する」という要素に興味が湧いたのと、特典の缶バッヂが可愛かったので、前売り券を購入。10月13日公開ながらも全然観に行けなくて、やっと仕事が落ち着いた12月下旬某日、新宿ピカデリーで観て来ました(その後、「イット・カムズ・アット・ナイト」「マンディ 地獄のロード・ウォリアー」「アンダー・ザ・シルバーレイク」を鑑賞)。とても素敵な映画でしたヨ (´∀`=) イイエイガダナー


前売り券と特典の「特製缶バッヂ」を貼っておきますね。


5番スクリーン、半分ぐらい埋まっていたような。



すでに観た人から「そんな映画じゃないだろ (゚⊿゚)」と抗議されそうなレベルで、雑にストーリーを書いておくと、大学生の典子ったら「親戚のおばさんが先生をやってる」という話題が出たのをキッカケに、20歳の春から茶道をスタート。就職できなかったり、一緒に始めたいとこは辞めちゃったり、恋人にフラれたり、優秀な若手が入って来て焦ったり、先生にキツくダメ出しされたり、父親が亡くなったりする中、茶道について迷いを感じたこともあったけど、44歳になってみれば続けて良かったわ (´∀`=し ホッコリ 最後は、先生に「教えることでも学べるのよ?」的なことを言われて(「先生も40代半ばぐらいから“教える”ことを意識したのでは?」と感じる流れ)、「オレたちの茶道はこれからだッ!ヽ川`Д´)ノ」ってな調子で終わってましたよ、たぶん。


典子と美智子は武田のおばさんから茶道を習うことになりまして。


最後は典子の父親が死んで落ち込んだりするものの、「四季って素敵ね」って感じでしたよね、確か。



ハッキリ言って、非常に良い映画だと思いました。「茶道を魅力的に見せている」というだけでも見事なんですが(お茶菓子が凄まじく美味そう!)、それ以上に、何らかの趣味や習いごとでも何でも共通する「継続することで生まれる豊かさ」を描いていると思って。黒木華さん演じる主人公の「茶道の魅力に気付いて、倦怠期を迎えて、でもまた魅力を感じて…」という経緯は、自分に当てはめてみれば、筋トレやブログ、いやそもそも「仕事」だって、同じように感じた瞬間はあったなぁ…なんてね。それを柔らかく押しつけがましくないムードで伝えてくるから素敵のひと言。本作をキッカケに、茶道を始めようと思う人も少なくないんじゃないかしらん。大森立嗣監督、非常に良い仕事をしたと感心しましたよ。


所作を教えるシーンだけでもなかなか興味深くて面白かったです。


まったく関係ありませんが、クラッキングしながら茶をたてる金本を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。



そりゃあ、役者さんたちも素晴らしくて。本作の公開前に亡くなった樹木希林さんに関しては、茶道警察的にどうかはわかりませんが(汗)、お茶の先生にしか見えなかったです。しかも「劇中に出てくる『日日是好日』の書を書いた中西凛々子さんは、小学生だったころに樹木希林さんが彼女の書を見て感心して、本作に推薦した」なんてエピソードをパンフで読むと、これまたスゴい人だったなぁと。主演の黒木華さんはどことなく品のある感じが良かったし、多部未華子さんは相変わらず可愛かったし、2人の掛け合いはとても楽しかったですね〜。決して派手な出来事は起きないものの、心に染みる良さがあるというか。封切りから3ヵ月以上経っているのに、まだ劇場公開されているのも納得の1本でした。


樹木希林さんと市原悦子さんとスタン・リーは永遠に生きると思ってましたよ…。ご冥福をお祈りいたします。



って、ベタ褒めではありますけれども。「僕は妻子に心細い思いをさせたくない→彼女たちが亡くなるまで生きるつもり」なんですが、映画終盤、父親が娘を遺して死ぬ描写を観て、なぜか急に恐ろしく不安な気持ちになって泣いてしまった→縁起でもないので70点という自分でもよくわからない着地。たまたま情緒不安定だっただけなんでしょうけど(苦笑)、思いのほか衝撃を受けたので、我ながらビックリした次第 (´・ω・`) ウーン まぁ、何はともあれ、素敵で豊かな日本映画だと思うのでね、気になる人はぜひ観てくださいな。




映画の原作となった森下典子先生によるエッセイ。ちょっと読みたいかも。



デジタル盤のサントラ。CD盤もあります。



唯一観ている大森立嗣監督作。今観たら、感想が変わる気がします。