ローライフ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ローライフ(ネタバレ)

ローライフ



原題:LOWLIFE
2017/アメリカ 上映時間96分
監督・脚本:ライアン・プロウズ
製作:ティム・カイロ
製作総指揮:ジェームズ・ノーリー、ロバート・ビーバン、サイリス・メグレット、イアン・デイビス、マーク・フォリーニョ、ジェイク・ギブソン
脚本:ティム・カイロ、ジェイク・ギブソン、シェイ・オグボルナ、マックスウェル・マイケル・タウソン
撮影:ベンジャミン・キッチンズ
編集:ブレット・W・バックマン、ジャロッド・シャノン
音楽:クレング
出演:ニッキー・ミッチョー、リカルド・アダム・サラテ、マーク・バーハム、ジョン・オズワルド、シェイ・オグボルナ、サンタナ・デンプシー、ホセ・ロゼテ
パンフレット:なし
(あらすじ)
メキシコ国境に近いロサンゼルスの街。違法移民やチンピラ、麻薬中毒者など、さまざまな住人たちが暮らすこの街で、元覆面レスラーのエルモストロ(リカルド・アダム・サラテ)は犯罪を斡旋するテディ(マーク・バーハム)の下で働いていた。家族を養うため犯罪に手を染めるエルモストロだったが、麻薬中毒の妻とはケンカばかり。そんなエルモストロにとって、妻が身ごもっている赤ん坊だけが未来への希望だったが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


新宿シネマカリテにて、5年前から始まって今年も開催されることとなった映画フェス「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2018」。その1本として上映される本作のことは、ハッキリ言って、まったくチェックしてなかったんですけれども。なんと宣伝を担当している方からDMが来て、公式コメントを頼まれたからビックリですよ。試写を観てみれば、ありがたいことに「実に僕好みの作品」だったので、こんなコメントをしたり、こんな記事をアップしたりして、僕なりに応援してみましてね。で、7月25日(水)から劇場公開が始まったということで、7月30日(月)、新宿シネマカリテにて自腹鑑賞してきました。やっぱり面白かったです (°∀°)b ヨカッタ! ちなみに本作は全5回上映=あとは8月4日(土)16:45~の回だけということでね、僕と趣味が合う&未見の方は、できればこのネタバレ全開の駄文を読まずに劇場へ足を運んでほしいという、強い気持ち・強い愛


今年も開催された「カリコレ」。観たい映画がいっぱいなのです。


そして、この日に観るのは「ローライフ」だッ! 客席は6割ぐらい埋まってた記憶。


いろいろなプレゼントキャンペーンをやってましてね。


入場者特典として、こんな可愛いコースターがもらえたのでした (´∀`=) カワイー


なお、劇場にマスクが用意されていたので、思わず被っちゃった♪ (*ノ▽ノ) ハズカシッ



あらすじを驚くほど乱暴に書いておくと、映画の舞台は、アメリカとメキシコの国境沿いの町。「移民税関捜査局(ICE)」の捜査官がモーテルに宿泊する不法移民を拉致→そのうち1人を悪党テディが殺害&解体して臓器を保存する」という、なかなか凄惨なシーンからスタートしましてね。そこから“リングで対戦相手を引き裂いてしまって追放されたルチャドール”モンストロ(怪物)と“元売春婦でヤク中妊婦”ケイリーの事情が描かれる「MONSTERS(怪物)」、“モーテルの管理人”クリスタルが“腎臓が悪くて瀕死の夫”ダンのために娘ケイリーの腎臓移植をテディに依頼する「FIENDS(悪魔)」、“顔に鉤十字を彫ったムショ帰りの男”ランディが“ランディを身代わりに服役させたくせに彼の恋人を寝取っていた悪友”キースのためにケイリーを誘拐しようとする「THUGS(ならず者)」、そして表向きはタコス屋の店長ながらも裏では売春宿経営や臓器売買を手掛ける“悪の元締め”テディとモンストロたちが戦う「CRIMINALS(無法者)」という4つのストーリーが展開されるのです。各エピソードの脇役が次の章の主役になる構成は、少しだけ先日観た「ワンダー 君は太陽」を連想いたしました。


怒りで我を忘れがちなマスクマン・モンストロ。偉大だった父へのコンプレックスまみれなのです。


ケイリーは、売春婦だったところをモンストロに救われて、彼の子を身ごもったという背景。


クリスタルは、アル中のクズだったものの、今は更正してモーテルの管理人に。


ナチ野郎に見えるランディは“気の良いバカ”であり、顔の鉤十字は刑務所で不本意に彫られたっぽい。


キースは、ランディを利用することしか考えていない最低男。


そして、そんな彼らと町を牛耳る悪党のテディが対決するというね。



公式Twitterによると、本作のタイトルである「LOWLIFE」とは「(犯罪傾向のある)底辺の人間、前科持ちを表すスラング」だそうですが、本作の登場人物はまさに“底辺のダメ人間”揃いでしてね。モンストロは偉大なレスラー兼英雄だった父へのコンプレックスで鬱屈している上にテディの事業(借金の取り立て&売春宿の用心棒)を嫌々手伝うエブリデイだし、ケイリーは妊婦のくせに薬物を止められないし(出自を考えると同情しちゃうんですが…)、クリスタルはアル中で生まれたばかりのケイリーをテディに売り飛ばした過去があるし、ダンはアル中のクズだし、ランディは「友情」というフレーズにすぐ騙されちゃうバカだし、キースはランディを利用することしか考えないカス野郎だしと、本当にどうしようもない人たちなんですが、しかし。

例えば、自分が売り飛ばした娘の腎臓を移植することを知ったダンが「それだけはダメだ」と自殺したり、キースが誘拐したケイリーをテディに引き渡さなかったりと(そのせいでキースは死ぬ)、全員がギリギリのところで良心を取り戻すから、スゲー胸を打たれるのです。特にクライマックス、自分の血筋にこだわるあまり、生まれたばかりの息子を抱いて一度は逃げたモンストロが、テディの売春宿に引き返して命を賭けた戦いを繰り広げるシーンはね、涙が止まらなかったし、「モンストロで生きたい、モンストロで死にたい、モンストロになりたい」と憧れるほどだったというね… (ノω・、) モンストロ... 一応、終盤の展開を書いておくと、モンストロはテディの頭部を粉砕して殺すも力尽きてしまい、ランディが伝説のマスクを受け継いで新たなモンストロとなり(これで鉤十字が隠せる!)、ケイリーとクリスタルが和解して、映画は終わってましたよ。


自己嫌悪で死にたがっていたモンストロ。ラストの“気高い開花”は涙なしでは観られませぬ (iДi) モンストロ...


つーか、かつてメキシコで上映されていたルチャドールが活躍する映画がもっと観たいです…(「プロレススーパースター列伝」より)。
マフィアを倒すエル・サント


そりゃあ低予算映画だから安く見えちゃうところはあるし、「キレる→惨劇の結果が映るという演出も好きだったけど、もう少しモンストロのしっかりした格闘アクションが観たかったナー (´・ω・`)」といった不満もありますけど、「5人で書いた」という脚本はキャラの造形も含めて意外としっかりしていて、あのクエンティン・タランティーノ監督が「天才現る。強烈な一撃だ!Σ(゚д゚;)」なんて絶賛したのも頷けるなぁと。まぁ、僕にコメント依頼が来たのは、単なるマスク繋がりだと思いますが(汗)、初めてコメントしたのが本作で良かったです (´∀`) ウフフ 前述しましたが、あとは8月4日(土)16:45~の回だけなのでね、気になる人はぜひ劇場まで足を運んでくださいな。おしまい。




デジタル盤のサントラを貼っておきますね。



フライ・トルメンタをジャン・レノが演じた映画。そんなに面白くはなかったような…。



フライ・トルメンタをジャック・ブラックが演じた映画。そんなに面白くはなかったような…。



ルチャドールが出てくる松本人志監督作。そんなに面白くはなかったような…。