ゲティ家の身代金(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ゲティ家の身代金(ネタバレ)

ゲティ家の身代金※ムービーウォッチメンのリンクを追加しました(6/29)



原題:All the Money in the World
2017/アメリカ 上映時間133分
監督・製作:リドリー・スコット
製作:ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス、クエンティン・カーティス、クリス・クラーク
原作:ジョン・ピアソン
脚本:デビッド・スカルパ
撮影:ダリウス・ウォルスキー
美術:アーサー・マックス
衣装:ジャンティ・イェーツ
編集:クレア・シンプソン
音楽:ダニエル・ペンバートン
出演:ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォールバーグ、ロマン・デュリス、ティモシー・ハットン、チャーリー・プラマー、アンドリュー・バカン
パンフレット:★★★☆(720円/実際の事件の概要が書かれた記事が良かった!)
(あらすじ)
73年、石油王として巨大な富を手に入れた実業家ジャン・ポール・ゲティの17歳の孫ポールが、イタリアのローマで誘拐され、母親ゲイルのもとに、1700万ドルという巨額の身代金を要求する電話がかかってくる。しかし、希代の富豪であると同時に守銭奴としても知られたゲティは、身代金の支払いを拒否。ゲイルは息子を救うため、世界一の大富豪であるゲティとも対立しながら、誘拐犯と対峙することになる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※今回の映画については、映画評論家の町山智浩さんの「たまむすび」での紹介トークイベントの記事を読むと良いんじゃないかな。

愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったから観た…というワケではなく(不要な書き出し)。「誘拐犯に身代金なんて払うもんか!(`Δ´) クソガ!」という展開がメル・ギブソン主演作「身代金」っぽくて面白そうだし、そう言えばリドリー・スコット監督作だし、ミシェル・ウィリアムズも好きな女優さんということで、前売り券を買いましてね。6月中旬、TOHOシネマズ日本橋にて、「孤狼の血」とハシゴ鑑賞してきました。面白かったです (・∀・) ヨカッタ!


前売り特典は「札束メモ帳」でした。本当のお金だったら良かったのに… (´・ω・`) ガッカリ


4番スクリーン、半分ぐらいは埋まってましたよ。



お話をザッと書いておくと、億万長者のジャン・ポール・ゲティ(以後、ジジイ)の孫のポールが街をブラブラ歩いていたら、誘拐されちゃいましてね。母親のゲイルは身代金1700万ドルを要求されるも、旦那と離婚してゲティ家とは縁を切っていたので、払えるワケもなく。しかも、頼みのジジイは「14人いる他の孫たちがさらわれたらかなわん!( ゚д゚)、ペッ」と支払いを拒否していて、ジジイの部下で元CIAの交渉野郎フレッチャーをゲイルの元に派遣する程度の塩対応。ポールの狂言疑惑も囁かれる中、ゲイルは誘拐犯だけでなくジジイとも対決せざるを得なくなる…ってな調子。


ポールが夜の街をフラフラ歩いていていたら、さらわれちゃいまして。


ゲイルは身代金を要求されるも、そんなお金はナッシング。


で、祖父を頼ろうかと思いきや、アッサリ拒否というね。交渉術としては「ナシ」ではないけどさぁ… (`Δ´;) ヌゥ


登場人物全員がこんな気持ちになったというね(「グラップラー刃牙」より)。



さらわれたポールは、誘拐犯の1人チンクアンタと仲良くなって、それなりに丁重に扱われる監禁ライフを送っていたものの、ジジイが身代金を渋る上に、脱走を失敗してしまったため、ステーキを出された後に耳を切断されちゃうのです。激怒したゲイルがその耳の写真を新聞に載せる代わりに1000部をジジイの自宅に送りつけたことで、ジジイも渋々払うことを承諾するも「息子との離婚の時、自分の金で思うようにいかなかったゲイルを屈服させたい気持ち」がビンビン状態ということで、ポールの親権を奪うわ、貸してくれる身代金も金額が足らないわと、ファーーーーーック!ヽ川`Д´)ノ クソジジイ! でも、ゲイルが「じゃあ、あとはこっちで勝手にするわ」的な対応をすると、ジジイは不安げになり、さらにフレッチャーに説教をかまされて、しぶしぶ親権を諦める&身代金を全額支払いましてね。取って付けた感が強い逃走劇の末、ゲイルが息子を無事取り戻すと、その晩にジジイは死亡!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタァ! ゲイルが資産の管理・運営をすることになって、映画は終わってた気がします、たぶん。


こんな感じで説教されて、ジジイは敗北を知ったのでした。



オープニング、夜のローマで娼婦たちと話したりしながら歩いていたら拉致されるシーンだけで、ポールの性格や生育環境をなんとなく観客にわからせるお手並みに感心して、その感心がずーっと続いたという印象。本作は実際にあった誘拐事件がベースになっているワケですが、恥ずかしながら僕は知らなかったので(汗)、どうなっちゃうのかハラハラしたし、その上で「クリスマス・キャロル」「市民ケーン」を思わせる「心の狭い金持ちの精神的な貧しさ」や(「映画秘宝2018年7月号」の町山智浩さんによるインタビューで監督がそんな発言をしてる)、犯罪グループやジジイだけでなく「泣かないんですかぁ?(`∀´) ヘラヘラ」なんて言ってくる“マスコミを始めとする世間の目”とも戦う「母の強さ」なども描かれていて、実に見応えがありました。


ミシェル・ウィリアムズ演じるお母さん、次々と非道い目に遭いながらも心が折れないのです… (ノω・、) ガンバッタネー



あと、ジジイの徹底的なドケチ描写は予想以上すぎて愉快だったし(下着を自分で洗濯したり、家に来客用の公衆電話があったり、プレゼントしたミノタウロスの像が単なる土産物だったりしたのは笑った)、耳を切断する残酷なシーンを「レザボア・ドッグス」のように隠さないでキッチリ見せる姿勢もグッときましたよ。つーか、耳を切る前に「体力をつけなくちゃな」と出されたステーキがなかなか美味そうだったので、鑑賞後は「いきなり!ステーキ」に直行するほどだった…って、なんだそりゃ ( ゚д゚)、ペッ その他、クライマックス、マーク・ウォールバーグ演じるフレッチャーがジジイを説教する場面、アレは本音だったのか、実は計算された交渉術だったのか…なんて考えさせられるのも好みでしたね。


ジジイの愉快な1人チェス。家族の愛情はほしいけど、お金のせいで素直になれないんでしょうな。


耳を切るシーン、なかなか痛かったです…。


そして上映終了後、ワイルドステーキ450gにハンバーグ150gをトッピングした…って、どうでもいいね (°∀°)b オイシー!



で、これまた恥ずかしながら、ケヴィン・スペイシーの降板云々のニュースをすっかり忘れていたので(苦笑)、鑑賞後にパンフを読んでみたら、「わずか9日間の追加撮影でこれだけの映画にしたの!? Σ(゚д゚;)」とスゲー驚かされました。もう、本作のクリストファー・プラマーは彼以外では考えられないほどスゴかったというか、最初からキャスティングされたかのように完璧だっただけに、すでに完成していたケヴィン・スペイシー版もまた観たくなったという不思議。もしBlu-rayなどに映像特典として付いていたら買っちゃうかもしれないけど、さすがにそれはないか (ノ∀`) ナイナイ それと、マーク・ウォールバーグのギャラ問題まで勃発したりと、そういう“スキャンダラスな出来事が立て続けに起こった”という事件性も含めて面白い映画だと思ったり。


監督曰く、ケヴィン・スペイシー版はもっと冷酷だったそうな。



再撮影についての特別動画を貼っておきますね↓




ただ、結構萎えたのがクライマックス。これ、最近観た実話ベース映画「タクシー運転手」でも感じたことなんですが、盛り上げるために追加した「ハラハラさせられる追いかけっこ」が恐ろしく不自然に感じちゃって、一気に冷めたんですよね… (´・ω・`) ウーン 個人的な好みですけど、あれはなくても良かったんじゃないかしらん。とは言え、基本的には楽しめたし、80歳でこんな映画を撮っちゃうのはスゴいし、「メキシコの麻薬カルテルを描く」という次回作も超観たいということでね、リドリー・スコット監督にはずっと元気でいてほしいですな。おしまい。

※宇多丸師匠による実に見事かつ的確な時評がアップされたので、ぜひ読んで! 原作本が読みたくなりましたよ (´∀`) ドウシヨウカナー




パンフで紹介されていた原案ノンフィクション。ジジイの回顧録は高額になっております。



デジタル盤のサントラを貼っておきますね。



犯罪組織が凶悪なリドリー・スコット監督作。僕の感想はこんな感じ



なんとなく思い出したメル・ギブソン主演作。とは言え、よく覚えてないのです (´∀`;) エヘヘ



「映画秘宝」岡本敦史さんが紹介されていたイタリアの誘拐映画。原作小説も評判高し。



リドリー・スコットが製作に携わったジャン=クロード・ヴァン・ダムの主演ドラマを貼っておきますね。