ソニータ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ソニータ(ネタバレ)

ソニータ

ソニータ

原題:Sonita
2015/ドイツ、スイス、イラン 上映時間91分
監督・製作:ロクサレ・ガエム・マガミ
製作:アリン・シュミット、カースティン・クリーク
製作総指揮:ゲルト・ハーク
編集:ルネ・シュバイツァー
音楽:ソニータ・アリダザー、セパンダマズ・エラヒ・シラジ
出演:ソニータ・アリダザー、ロクサレ・ガエム・マガミ
パンフレット:★★★☆(700円/コラムがタメになるし、「売られる花嫁」のリリックが載っているのも好き)
(あらすじ)
ソニータがスクラップブックに書いた夢は有名なラッパーになること。しかし、パスポートも滞在許可証もなく、アフガニスタンのタリバンから逃れてきた難民の彼女は、不法移民としてこの施設で心の傷を癒やすためのカウンセリングや将来のアドバイスを受けている。一方で彼女の家族は全く別の将来を準備していた。彼女が16歳になると、アフガニスタンに住む親は、古くからの習慣どおりにソニータを見ず知らずの男性に嫁がせようとする。花嫁の値段は9,000ドル。女性が歌うことが許されないイランで、ソニータはどうしたらラッパーになる夢を叶えることが出来るのだろうか?母親から迫られる強制結婚から逃れるため、そして有名なラッパーになるという夢を追うため、ソニータは自らの人生を歌うことで切り拓こうとする。(以上、公式サイトより)

予告編はこんな感じ↓




80点


本作については「イランに住む少女ラッパーのドキュメンタリー」「ムービーウォッチメンのリスナー枠で推薦する人がいたなぁ」ぐらいのイメージしかなくて、忙しいからそんなに観るつもりもなくて。つい、こんなリリックを口ずさむほどだったのです↓


(`∀´)
音楽ドキュメンタリー? 興味ねぇよソニータ
オレが知ってるのは、チリ人妻アニータ
コレ観るぐらいならうどん食う、入れるネギ下仁田
つい食い過ぎてドキドキ、乗る体重計タニタ
「明日からダイエット」またウソついたライク大仁田



冒頭から多くの人が立ち去りたくなる文章を書いたことについては、後で反省するとして。そんな気持ちで迎えた12月1日=映画の日、アップリンク渋谷「サーミの血」を観に行った際、ちょうどその前の時間が空いていた&本作がやっていたので、急遽、観ちゃいました。「ソニータ、良かったねぇ… (ノω・、) グスン」と涙が出ましたよ。


アップリンク渋谷、そこそこ混んでいた記憶。
アップリンク渋谷


お話的には、イランに逃れてきたアフガニスタン難民のソニータがラッパーを目指すも、公の場での女性歌手の歌唱を社会が禁止している上に、母親が金のためにソニータを嫁として売り飛ばそうとしているので、ロクサレ・ガエム・マガミ監督とともに「どうしよう… 川;´Д`)(´Д`;し イヤーン」と葛藤する…という「ペルシャ猫を誰も知らない」「裸足の季節」イヤな要素がブレンドされた内容。で、何もしないとソニータはそのままアフガニスタンに連れて行かれて、知らないジジイと結婚させられるところだったんですが、しかし。彼女をドキュメンタリーの取材対象として撮影していたロクサレ監督が、迷いながらも彼女を助けることにしまして。2000ドルを母親に送って半年の猶予を得ると、ソニータが書いた「売られる花嫁」のPVを撮影→ネットにアップ→大評判!川`Д´)人(`Д´し ウォォォォッ! アメリカの音楽学校に留学して、とりあえずは自由になった…って感じでしたよ。


「売られる花嫁」のPVを貼っておきますね↓ リリックの内容が悲惨すぎる…。




もうね、本作の主人公ソニータったら、とても魅力的で才能がある子でしてね。冒頭、年下の子どもたちの前でラップをする場面からハートをギュッと掴まれちゃう感じ。で、そんな子が「アフガニスタンの風習」として、知らない男に無理矢理嫁がされそうになるんだから、「なにそのクソ文化 ( ゚д゚)、ペッ」と、マジでムカつきまくるというか。ちょっと具合が悪くなるぐらい頭に来ました。彼女が書いた「売られる花嫁」のリリックは素晴らしくて、「与えられた食事や服は、無条件の親の愛だと思ってた」とか、「そんなの当たり前のことなのになぁ… (iДi)」とスゲー泣けてきて。ソニータが有名になることで、アフガニスタンとかイスラムの女性蔑視的な部分が減っていくと良いなぁって思ったりしましたよ。あと、ライムスターの「ザ・グレート・アマチュアリズム」にあるように、「スッゲー敷居低い歌唱法」だからこそ、ソニータが自分の意志をわかりやすく表現できた=人生を救われたということで、あらためてラップという表現のスゴさを感じた次第(そして、ネットのおかげで“今の時代”でもアメリカン・ドリームが機能したこともまたスゴイ)。


ラッパーを目指すも相当苦労する難民少女ソニータ。「そうだ、難民しよう」なんて書く人は想像力が貧困ですわな。
ソニータ

子どもたちの前でラップするシーンは、100点の微笑ましさでしたよ ( ;∀;) イイシーンダナー
ソニータのファンたち

金で娘を売ろうとするクソ親。とは言え、この人も犠牲者ではあるんですが…。
ソニータの母親


それと、考えさせられたのが、「ドキュメンタリーの監督が取材対象を助けて良いのか?」という問題。ロクサレ監督的には「これは真実の記録だから、あなたの人生を私が変えることはできない!川;`Δ´) シカタナシ」とか言うものの。ソニータの面倒をみていた先生から「あなたなら彼女を助けられたのに… (´・ω・`し」なんて言われたりして、葛藤した挙げ句、開眼!Σ (°д°し クワッ クソ親に2000ドル払ったり、PVを撮ったり、渡米のための書類を揃えるためにアフガニスタンまで一緒に里帰りする際はちゃんと助言したりと、堰を切ったように助けまくるんですよね。まぁ、僕的には「撮影している時点で影響を与えているんだから、助けることも含めて撮影すればいいじゃん (゚⊿゚) ダメナノ?」派なので、監督の選択はまったく間違っていないと思うんですが、とは言え、突っぱねなくちゃいけないこともあるよなぁなんて思ったり、思わなかったり。


例えば「ホームレス理事長」での取材対象からの借金の申し込みとか、助けてあげても良かったような、焼け石に水なような。
借金の申し込み


そんなワケで、「ソニータ、良かったねぇ… (ノω・、) グスン」って感じでしたよ。ただ、彼女みたいな女性は今もたくさんいるワケで、日本のような豊か&平和な国でノホホンと暮らしている僕のような人間は、ロクサレ監督のように、そういう人たちを積極的に助けるべきなのではないか? な〜んて“意識の高い文章”を書いた10分後には、自室でゴロゴロしながらスマホで今週の「キン肉マン」を読んでいたりする…。「助けたい」なんて口から出まかせ、面倒くさいことはぜんぶ人まかせ。そんな“意識の低いリリック”を書いて(ちょっと「RHYMESTER ONCE AGAIN Remix」のパクリ)、この駄文を終えたいと思います。おしまい。




連想した映画、その1。僕の感想はこんな感じ


連想した映画、その2。僕の感想はこんな感じ



一応、イラン繋がりで貼っておきますね。素晴らしい漫画ですぞ。