美しい星(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

美しい星(ネタバレ)

美しい星

美しい星

2017/日本 上映時間127分
監督・脚本:吉田大八
原作:三島由紀夫
脚本:甲斐聖太郎
製作:依田巽、藤島ジュリーK.、市村友一、吉川英作、中川雅也
エグゼクティブプロデューサー:小竹里美
Co.エグゼクティブプロデューサー:松下剛
プロデューサー:朴木浩美、鈴木ゆたか
撮影:近藤龍人
照明:藤井勇
録音:矢野正人
美術:安宅紀史
装飾:京極友良
ヘアメイク:酒井夢月
編集:岡田久美
音楽:渡邊琢磨
劇中曲(作詞・作曲):平沢進
助監督:甲斐聖太郎
スクリプター:増子さおり
キャスティング:細川久美子
制作担当:早川徹、中島正志
ラインプロデューサー:新野安行
出演:リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、羽場裕一、春田純一、友利恵、若葉竜也、坂口辰平、藤原季節、赤間麻里子、武藤心平、川島潤哉、板橋駿谷、水間ロン、今村美乃、岩谷健司、樋井明日香、滝沢涼子、阿部朋子、小林美紀、小山田みずき
パンフレット:★★★★(720円/しっかりした作り。筒井康隆先生のコラム、ポーズの解説が好き)
(あらすじ)
予報が当たらないことで有名なお天気キャスター・大杉重一郎(リリー・フランキー)は、妻や2人の子どもたちとそれなりの暮らしを送っていた。そんなある日、重一郎は空飛ぶ円盤に遭遇したことをきっかけに、自分は地球を救うためにやって来た火星人であることを確信。さらに息子の一雄(亀梨和也)が水星人、娘の暁子(橋本愛)が金星人として次々と覚醒し、それぞれの方法で世界を救うべく奔走するが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


※もうすでに宇多丸師匠の素敵な時評がアップされているので、こんな駄文よりそっちを読んで!m9`Д´) ビシッ

三島由紀夫先生の人となりは好きですけど、著作に関しては高校時代に「三島でも読んでみるか ( ´_ゝ`)」と「金閣寺」「仮面の告白」に手を出して、どちらも気がつけば途中で読むのを止めていた程度の男ですよ。「美しい星」と聞いて連想するのは「ウインダリア」であり、「あの時、なぜ『ユニバーサル・ソルジャー ザ・リターン』の方を買ってしまったのか… (`Δ´;) ヌゥ」と悔しさが甦ってくる…って、どうでも良いですな。何はともあれ、吉田大八監督作はどれも高水準で面白いし、内容はまったく知らないものの、三島由紀夫原作のSF小説の実写化」というだけで興味深かったので、観る気マンマンではあったのです。

で、ちょうど愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」(略称:タマフル)の映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったということで、仕事の合間を縫って、TOHOシネマズ新宿にてシネマイレージデイを利用して鑑賞してきました。「なんとファンタスティックな… (´∀`) ハハと思ったり。結局、仕事が忙しすぎて放送前にアップできなくて(簡単な感想はさえずりましたが)、すでに宇多丸師匠が「『客観的にはどれだけ非合理に見えても、人はある種の“夢”を見ながらじゃないと生きられない。そうじゃないとこの世は救いがなさすぎる』という根本テーマ」云々と凄まじくタメになる批評をされているんですけど、僕なりに適当かつアッサリ気味な感想を垂れ流しておきますね。


1番スクリーンは8割ぐらいの入りでしたが、座席数&上映回数が少ないもんなぁ。
1番スクリーン

僕の気持ちを代弁するドリアン海王の画像を貼っておきますね。
なんとファンタスティックな


大まかに話を書いておくと、絶賛不倫中の“当たらない”天気予報士の父、ボンヤリとプロ野球選手を目指すフリーターの長男、美人だけど臆病に生きる長女、自己主張が弱い母の4人家族が、「オレは地球を救いにきた火星人だッ!ヽ(`Д´)ノ アブナーイ」「どうやらオレって、水星人らしいぜ?( ̄ー ̄) ニヤッ」「アタシは“美の基準”を正しにきた金星人なの 川`∀´) ウフフ」「マルチ商法にハマッて怪しい水を販売してるけど、私は地球人よ (▽∀▽し オホホホ」ってな調子で順調におかしくなりながらも、長男と長女と母親は「辛い現実から逃避してみただけ」ってニュアンスだったりしてね。ところが、実は末期ガンだった父が「最後の願い」として家族に福島県の山の上まで連れて行ってもらってみれば、UFOに乗って火星に向かうことになりまして。最後は、UFOの中から自分を含めた家族を父親が見つめて、映画は終わってましたよ、確か。


最後は、父の死を前にして、家族が団結→山の上にUFOが飛来するのでした。
お父さん、来てるよ!


まぁ、好きなタイプの“変な映画”でしたよ。リリー・フランキーさん演じる父親と佐々木蔵之介さん演じる黒木が「本当に宇宙人だったのかどうか」は、一応、どちらにも解釈できるわけですけど(長男と長女は「辛い現実から逃避するために異星人と信じ込んでいた」的な着地ですが)、僕は「宇宙人同士の静かなバトルムービー」として結構好きというか。いきなり自分のことを水星人だなんだとか言いだす人がいたら、「何を言ってるんだろう… (・ω・;) ウーン」と距離を置くのが普通ですけど、正直なところ、もしかすると「“何らかの存在”からメッセージを受信する人」というのは現実社会でもあんな感じなのかも…なんて思ってしまう僕がいたりして。クライマックスの「父親vs長男&黒木の討論シーン」は、「見た目は現実的だけど、中身は現実離れした戦い」であって、シュールながらもかなりハラハラいたしました。


いくらイケメンだって「水星人」だなんて言いだしたら…。
オレは水星人

普通はミルコ・クロコップみたいな反応をしちゃうわけですけれども。
三角絞めでつかまえて-ミルコ

もしかするとエリナ松岡のような“コンタクトマン”の可能性はある…という電波な文章(「恐怖新聞」より)。
エリナ松岡


なんて言うんですかね、僕は、白石晃士監督が撮った“特殊な電波を受け取った迷惑な人が出てくる映画”「オカルト」の「渋谷で大量殺人を実行しようとする江野を止めようとする男」のシーンがスゲー好きなんですが、本作の父親と黒木のバトルも電波受信者同士の争いに見えて、結構グッと来た…って、伝わりますかね(世代間闘争的な話が出てきたのも興味深かった)。ラストに宇宙船が来るくだりも、単なる「死出の旅路の幻」なのかもしれないけど、僕は「本当に火星人だったのか!」と思ってね、なんか「よかったねー (ノω・、)」と涙が止まらなかったのです(宇多丸師匠も指摘されていましたが、「かぐや姫の物語」を連想しました)。


「オカルト」の好きなシーンを貼っておきますね。
警告してきた男


とは言え、少し不満もあって。長女を昏睡レイプしたクズが「市中引き回しの上、磔獄門」に処せられていない…というのは仕方ないとしても。原作未読の僕でも「地球温暖化&エネルギー問題」という争点はインパクトが弱く感じました。原作では「核戦争」だったそうですが、それを知ると腑に落ちるんですよね。冷戦時代末期に子どもだった僕は「核戦争が起きたら… (°д°;) ヒィィ」と本当に怯えていて、あのころは「指先1つでダウンさ」「ボタン1つで世界が破滅」というのがとにかく恐ろしかったわけで。それを「地球温暖化&エネルギー問題」に改変した場合、そりゃあ決して怖くないわけじゃないんですが(ちなみに僕は原発反対です)、いくら黒木が「これを押したら人類が破滅しますスイッチ」を手にしていても、「一気に全てがゼロになる」みたいな感覚が、ちょっとあまり納得しづらいのもあって……という宇多丸師匠のPA-KU-RI!m9`Д´) ビシッ


唐突ですけど、本作の劇中曲である平沢進さんの「金星」を貼っておきますね↓




そんなワケで、なんとなくファンタスティックで面白かったです (´∀`) ハハ よくこんな変な作品をこの規模で公開したなぁと感心しましたよ。吉田大八監督、次はどんな映画を撮るのか、楽しみでございます。万人にはオススメできませんが、興味がある人は足を運んでおいた方が良いと思いますぞ。おしまい。




三島由紀夫先生による原作小説。僕的には「薔薇刑」の方が興味あるなぁ(アウトな文章)。



サントラを貼っておきますね。



吉田大八監督の前作。僕の感想はこんな感じ



なんとなく連想した白石晃士監督作。僕の感想はこんな感じ



宇多丸師匠が引き合いに出されていた映画。恥ずかしながら、全然気付かなかったです (o^-')b イワレテミレバ!