淵に立つ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

淵に立つ(ネタバレ)

※今回の記事は、映画とは関係のない文章やわけのわからぬ戯言が多く書かれているので、ちゃんとした感想が読みたい方ははちごろうさんの感想とか読むと良いんじゃないかな。

<「『絶対観ないな』と思っていた僕が、つい劇場に運んでしまったのは『いいね』のせいなのだが」という前置き>

唐突な思いつきでラノベのようなタイトルを付けてしまったことは置いとくとして。この「淵に立つ」に関しては、何かの時に劇場で予告編を観た瞬間、脳内の「これは観ないぜフォルダ」に入れたんですよ。いろいろと普通の作品も観ちゃいがちですが、基本的に僕はアクション映画を中心に観たいワケでして、こういう家族やら何やらをテーマにしたワケのわからぬ日本映画を観ているヒマはナッシング。「観たい映画の覚え書き」に載せなかったぐらい興味がなかったんですが…。10月半ば、ツイッターで相互フォローさせていただいている方から、本作に対する絶賛リプ(a.k.a.オススメツイート)をいただいたら、なんとそれに主演の1人である古舘寛治さんが「いいね」をしてきたのです。

一応、リプをくれた方の名前は伏せております。
古舘寛治さんからの「いいね」

これは驚いた。古舘寛治さんはずいぶん前、本作と同じ深田晃司監督作「歓待」を観た時に知った俳優さんですが、今やいろいろな作品で「本当は何を考えているのかよくわからない人」を演じて引っ張りだこの方じゃないですか。そんな人が、素人同士のリプに「いいね」をする…。若干、「ヒマなのかな (-з-)」とは思いつつも(失礼な文章)、要はそうまでして「淵に立つ」という作品を広めたいのだろうと。そういう姿勢は本当に偉いと思うし、何よりも「いいね」をもらった人が少しうらやましかったのでね、僕も鑑賞して感想をさえずる→古舘寛治さんに「いいね」をしてもらおうと思って、10月下旬、角川シネマ新宿に足を運んできました。

ロビーには記事の切り抜きが飾られてまして。
記事の切り抜き

サイン入りポスターなどもありましたよ。スクリーンは小さい方でしたが、ほぼ満席だった記憶。
サイン入りポスター












淵に立つ

淵に立つ

英題:Harmonium
2016/日本、フランス 上映時間119分
監督・脚本:深田晃司
プロデューサー:新村裕、澤田正道
エグゼクティブプロデューサー:福嶋更一郎、大山義人
制作プロデューサー:戸山剛
企画プロデューサー:米満一正
ラインプロデューサー:南陽
撮影:根岸憲一
録音・効果:吉方淳二
美術:鈴木健介
スタイリスト:村島恵子
サウンドデザイナー:オリビエ・ゴワナール
音楽:小野川浩幸
主題歌:HARUHI
出演:浅野忠信、筒井真理子、古舘寛治、太賀、篠川桃音、三浦貴大、真広佳奈
パンフレット:★★★★★(800円/記事が充実してるし、シノプシスや脚本が載っているのがうれしい)
(あらすじ)
下町で小さな金属加工工場を営みながら平穏な暮らしを送っていた夫婦とその娘の前に、夫の昔の知人である前科者の男が現われる。奇妙な共同生活を送りはじめる彼らだったが、やがて男は残酷な爪痕を残して姿を消す。8年後、夫婦は皮肉な巡り合わせから男の消息をつかむ。しかし、そのことによって夫婦が互いに心の奥底に抱えてきた秘密があぶり出されていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


「縁起でもない!ヽ(`Д´;)ノキィィィィッ!」と思ったり。本作は「衝撃のどんでん返しが!? Σ(゚д゚;) ナンデスト!?」という類の映画ではありませんが、ハッキリ言ってネタバレを知らないで観た方が確実にイヤな気分になるので、いわゆる「厭な映画」が大好物の方は、こんな駄文を読まないで、さっさと劇場に行った方が良いザンス。


ネットにアップされていた「紡ぎ歌」を貼っておきますね↓ やだ、可愛い〜。




まずは、雑にあらすじを書いておきますよ。映画が始まると、小さな金属加工工場を営む鈴岡家のメンバー3人が食卓を囲んでいて。その時のやり取りで父親の利雄(古舘寛治)が奥さんの章江(筒井真理子)にまったく気を遣わないクズ夫なのがわかるんですが、そこに旧知の間柄っぽい八坂(浅野忠信)がやって来まして。利雄ったら、奥さんに何の相談もせずに、住み込みで働いてもらうことにするんですね。3週間程度の期間と聞いても、当然ながら章江は面白くなくて、八坂に対して警戒心バリバリだったものの、八坂が10歳の娘・蛍(篠川桃音)にオルガンを教えたり(「美しい牧場の堤」というスコットランド民謡をオルガン用に編曲したものだとか)、「ムシャクシャして人を殺した。今は反省している」なんて過去を告白をされたりするうちに、すっかりLOVEずっきゅん (´Д`;し ハァハァ 鈴岡家 with 八坂 feet.ボランティアの兄ちゃんの5人で川遊びに行った際、みんなに隠れてイチャついてしまうのです。


突然、八坂が同居することになって、最初は「なによアイツ!川`Δ´)」と不信感丸出しだった章江でしたが…。
突然、やってきた八坂草太郎

穏やかな口調で娘にオルガンを教える姿を見て「不思議なアイツ… 川・ω・)」と警戒心が解けまして。
蛍にオルガンを教える八坂

八坂から過去の殺人を悔いている旨の告白を聞けば、すっかり「気になるアイツ♪ (´∀`*し」と乙女顔ですよ。
八坂の告白を聞く章江

調子に乗って、河原でこんな写真を撮ったりしてね。
仲良く記念撮影

なんだかんだと急接近してしまう2人なのでした… (´Д`;し ダイテ!
川で急接近


だがしかし! この八坂という男、草食動物風の仮面をかぶりながらも本当はヤクザ者。河原で利雄と2人きりになった時、自分が過去の犯罪(殺人)に荷担したことを章江に言ってないかと心配する利雄に対して、突然、ドスの利いた乱暴な口調で「お前、本っ当にちいせえ奴だな」「俺がクソみてえな場所でクソみてえな奴らの相手している時に、女作ってセックスしてガキこさえて、やりたい放題だよな」「ときどき思うよ、なんでこの生活は俺じゃなくてお前なんだってな。ぶち壊してやろうかって、全部」「なんてね (ノ∀`) ウソウソ」とか言いだすから、超怖ぇ!(°д°;) ヒィィィ


ずっと穏やかな話し方だったのに、急に言葉遣いが悪くなる八坂。その内面には“牙”が隠されていたのです。
いきなり言葉使いが悪くなる八坂


その後の昼間、利雄&蛍が家にいないのを見計らって、章江は八坂と河原の続きをするムードになりながらも、彼女はプロテスタントということもあって一線を踏み外せなくて。八坂も一旦は諦めるも、道端を歩いていたら青姦を目撃→ムラムラして章江を再度襲撃→拒否されたので家を出るんですけれども。外出した蛍がなかなか帰ってこないので利雄が探しに行くと、公園で頭部から血を流して倒れている蛍と、側にたたずむ八坂の姿を発見! 利雄と章江の叫び声が響く中、八坂はその場から逃げてしまって…というのがまだ前半戦なのだッ!m9`Д´) ビシッ


そして突然、起きてしまった悲劇! 娘を持つ父の立場としては超ヘビーな展開ですがな。
蛍に悲劇が!

僕はすっかり、神心会の長・愚地独歩のような気分でしたよ (`Δ´;) ヌゥ
ここから先は地獄だな


場面変わって、8年が過ぎまして。蛍は脳に障害を負ったのか、口をポカンと開けて車イス状態であり、章江は過度の潔癖性になっていて。そんな状況下で新人の山上(太賀)を雇うことになるんですが…。実は山上は八坂の息子であり、なんとなく「会ったことのない父親との繋がり」を求めて就職したことが判明すると、「あの時、蛍に何が起こったのか?」を知るために八坂の行方を興信所に探してもらっていた利雄と章江は一悶着。その過程で、利雄が八坂の殺人を手伝っていたことも暴露されて、章江ったら「もうどうにでもなーれ♪ヘ(゚∀゚*し」気分になりましてね。鈴岡家 with 山上で「八坂っぽい男」が目撃された場所に向かうも見つからず、八坂の幻ばかり見てすっかり人生に絶望した章江は蛍とともに橋の上から川へダイブ! 利雄と山上が何とか2人を助けるも、利雄と章江以外は生きてるかどうか定かじゃない状態で(山上も意識不明になっちゃう)、エンドクレジットが流れてましたよ、確か。


超好青年の山上は、八坂の息子でして。
新人の山上は八坂の息子だった

それがキッカケで、とうとう夫婦が本音をララパルーザですよ。
本音をぶつける章江

みんなで八坂を探しに行くも見つからず、章江と蛍がダイブ→叫びながら利雄は助けに行くというね。
助けようとする利雄

エンドクレジットで流れるHARUHIさんによる主題歌「Lullaby」貼っておきますね↓




もうね、鑑賞後は超ゲッソリしました ('A`) ゲッソリ スゲー良く出来てる最悪の映画でして、エンドクレジットの終わりの方にオルガンの曲が流れるところとか、深田晃司監督、最後まで意地悪だなぁと。パンフを読んだら、監督は「家族という共同体は不条理」という考えを持っているそうで、非常に頷けたというか。なんか前に「歓待」を観た時に感じた違和感もあらためて飲み込めたりもして。

いや、映画として非常に面白いんですよ。登場人物の描き方とか見事だし、赤色の不吉なイメージをあえてわかりやすく使うのもグッときたし(白いツナギを脱いだ八坂の赤いシャツが見えた時はドキドキした!)、映画の雰囲気や音楽の使い方にはゾクゾクさせられたし、何よりもいろいろと考えさせられる。例えば、八坂はクズっぽく見えるけど、実際のところ、「蛍に何をしたかはわからない」んですよね。もしかすると「公園で蛍の事故に偶然出くわしてしまい、動転しただけ」という可能性だってあるわけだし、あの河原で口調が変わる場面だって「オレが共犯だって言ってないよな?(´Д`;)」なんて探る利雄の小ささにイラッとしただけかもしれないし(まぁ、章江へのレイプ未遂は微妙ですがー)。


この時の八坂の告白は、本心だったのか、それとも…。
告白する八坂


でも、「利雄は殺人の共犯で、章江は八坂と不倫しそうになってた」という後ろめたさが夫婦にあるがゆえに、後半の章江は八坂の幻影に取り憑かれてしまって。夫婦にとって八坂が不幸や罪悪感の象徴的な存在になるんですよね。その自分の心との向き合い方も夫婦それぞれで違っていて、「自分だったらどうするだろう… (´・ω・`)」なんて思わされたりもして。家族のコミュニケーション不全とか、冒頭の「母蜘蛛を食べた子蜘蛛は天国に行けるのか?」が象徴する「罪と罰について」とか、「親の因果が子に報う」とか(この考え方自体は大嫌い)、さまざまな問題が映し出されていて、ゲンナリしつつも感心いたしました。


八坂の幻影が登場する場面は、不穏なムードが100点だったり。
八坂の幻影

この「八坂と思ったら別人でした」の場面も好きでしたよ。
まぎらわしい人たち


役者さんたちも最高でした。八坂役の浅野忠信さんはあらためてその実力の高さに感服したし、「このキャラでホラー映画とか出ればいいんじゃないかな (o^-')b ドウヨ?」なんて安易な提案をしたくなるほど怖かった。それと、後半戦に13キロ増量して臨んだという筒井真理子さんも素晴らしかったし、古舘寛治さんの「何を考えているのかよくわからない人」演技も真骨頂を発揮していて(殺人の共犯だったことを淡々と語る場面は気持ち悪かった…)、山上に食らわせるスナッピーなビンタはちょっと笑っちゃったりして(唐突かつ理不尽すぎて、他の観客も笑ってた)。山上役の太賀さんも良かったですね〜。


八坂が白から赤へ変わるのは、浅野忠信さんが「戦え!レッドタイガー」から着想を得て提案したとか(赤いウソ)。
悪魔のような八坂

見て、このナイスなビンタ! キョトンとする山上も良いのです。
ナイスすぎるビンタ


ただ、スゴいとは思いながらも好きじゃないです。厭な家族映画繋がりで「葛城事件」を連想しましたけど、あれ以上に救いがなさすぎじゃないですか…。もうね、普段から奥さんに気を遣って生きている僕的には本作の利雄の態度には激怒しまくりだったし(隠し事はあるけどね (´∀`;) コノブログ)、最後の最後に「章江ー!ヽ(´Д`;)ノ」なんて川に飛び込まれても「今さらなんだ、このバカ ( ゚д゚)、 ペッ」としか思えなかったし、ラストの4人が川に寝そべる姿が中盤の同じ状況を思わせるのも悪趣味に感じたし…。そして、何よりも“娘を持つ父”の立場として、本作は娘が酷い目に遭う映画なのが耐えられない。蛍がケガする場面とか、もう「縁起でもない」にも程があって。厭な映画が好きな人は要チェックだと思いますけど、僕は「もし娘に何かあったら… (ノω・、)」と考えるだけで涙目になっちゃうので、もう二度と観ることはない…って、深田晃司監督的には「お前はそれでいいや ( ´_ゝ`) シネヨ」って感じでしょうな。


利雄の塩対応はマジでムカつくというか、僕だったらこの場面で「これ美味しい!」とか3回は言う…という無益な文章。
楽しくなさそうな食卓


さて、この映画を見終わってから、古舘寛治さんが「いいね」をしてくれるかと期待してさえずってみたワケですが…。案の定、ハートマークがつきましてね(苦笑)。「おやおや、まんまと僕の罠にかかりましたな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」「そうか、このツイートがそんなに良かったか! (`∀´) ククク」なんてほくそ笑んでみたものの、よくよく考えてみれば、「まったく観る気がなかった僕」がこうやって劇場へ足を運んでしまったことこそが古館の「いいね」の狙いだったのではないか?(突然の呼び捨て) 罠にかかったのは僕の方だったのかーー? そんなどうでも良い文章を書いて、この駄文を終えたいと思います。


この「いいね」が付いた瞬間、すっかりシメシメ顔だったんですけど…。
僕のツイートに「いいね」が!

実は古館こそがこのアントニオ猪狩のような気持ちだったのではないか。「だからなに」と思ったらすみません。
かかりやがったな......


おしまい!ヽ(`Д´;)ノ エンギデモナイ!




唯一観ている深田晃司監督作。僕の感想はこんな感じ



深田晃司監督によるノベライズ。ラストは映画と違う様子。



HARUHIさんによる主題歌。映画と合ってましたな。



連想した赤堀雅秋監督作。僕の感想はこんな感じ



“淵に立つ人”つながりでなんとなく貼ってみた映画。僕の感想はこんな感じ



同じく“淵に立つ人”系映画。僕の感想はこんな感じ