ズートピア(2D・字幕版)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ズートピア(2D・字幕版)(ネタバレ)

ズートピア(2D・字幕版)※ムービーウォッチメンのリンク等を追加しました(5/23)

ズートピア

原題:Zootopia
2015/アメリカ 上映時間109分
監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
共同監督:ジャレッド・ブッシュ
製作:クラーク・スペンサー
製作総指揮:ジョン・ラセター
音楽:マイケル・ジアッキノ
主題歌:シャキーラ
日本版主題歌:Dream Ami
声の出演:ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマン、イドリス・エルバ、ネイト・トレンス、J・K・シモンズ、ジェニー・スレイト、トミー・“タイニー”・リスター、レイモンド・パーシ、オクタビア・スペンサー、シャキーラ、ボニー・ハント、ドン・レイク、
モーリス・ラマルシュ、トミー・チョン
声の出演(日本版キャスト):上戸彩、森川智之、三宅健太、高橋茂雄、玄田哲章、竹内順子、Dream Ami、芋洗坂係長
パンフレット:★★★☆(720円/コラムはちゃんとしてるし、展開するページとかも良かったし、良いパンフ)
(あらすじ)
どんな動物も快適な暮らしができる環境が整えられた世界。各々の動物たちには決められた役割があり、農場でニンジン作りに従事するのがウサギの務めだったが、ウサギの女の子ジュディは、サイやゾウ、カバといった大きくて強い動物だけがなれる警察官に憧れていた。警察学校をトップの成績で卒業し、史上初のウサギの警察官として希望に胸を膨らませて大都会ズートピアにやってきたジュディだったが、スイギュウの署長ボゴは、そんなジュディの能力を認めてくれない。なんとかして認められようと奮闘するジュディは、キツネの詐欺師ニックと出会い、ひょんなことからニックとともにカワウソの行方不明事件を追うことになるのだが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




85点


※この映画に関しては、カゲヒナタさんとか小覇王さんとかナイトウミノワさんトリビアも合わせて)とかはちごろうさんとかのブログがオススメなんだけど、何よりも「一応はミステリー=ネタバレを知らないで観た方が面白い」のでね、未見の人はすぐ劇場へ!m9`Д´) ビシッ
削除シーンのまとめが面白かったので、興味がある方は読んでみて!


最初は「おいおい、『メイプルタウン(パームタウン編)』のパクリかよ!(`∀´) ワンダフルダワ!という“いろいろと間違った認識に基づく雑な偏見”しか抱いてなかったんですが、前評判がとにかく良かったので、前売り券を買いまして。暇な時に観ようと思っていたら、今週のムービーウォッチメンの課題映画になったため、親友夫婦とTOHOシネマズ新宿で鑑賞いたしました。「出来ておる喃…ディズニーは ( ´_ゝ`)」と偉そうに思ったり。


観たのは満席状態の5番スクリーン。チケット、前日に買っといて良かった…。
5番スクリーン

僕の感想を代弁する岩本虎眼先生の画像を貼っておきますね。
出来ておる喃


最初にストーリーだけ簡単に書いておくと、小さいころから警官になることを夢見ていたウサギのジュディは「危ないから止めときなさい (´・ω・`)」「お前には無理だぜ! (`∀´)」なんて周囲の声にも負けないで警察学校を見事首席で卒業し、大都会の街<ズートピア>の警察署に配属されまして。動物の連続失踪事件の捜査に参加する気マンマンだったものの、水牛の署長ボゴは彼女のことを認めずに駐車違反の取締りを命ずるだけだから、超不満でしてね。そんなある日、勝手に泥棒イタチを捕まえたりカワウソのエミットの失踪事件を捜査しようとしたら、ボゴ署長は激怒。「48時間以内に事件を解決できなかったらクビ」という条件を突き付けられてしまうのです。


警察学校を首席で卒業して「史上初のウサギ警官」になったジュディ。
警察学校を首席で卒業

連続失踪事件の捜査に加わりたいのに、駐車違反の仕事をやらされることに。
失踪事件が発生中

だがしかし、夫が失踪して悲しむオッタートン夫人を助けるべく、クビをかけて捜査を開始するのだッ! /(◕∀◕)\ マケナイワ!
エミットの奥さん


とは言え、1人で捜査&警察の端末などが利用できないジュディは、駐車取締り中に出会って見事に騙されたキツネのニックの手を借りることにしまして。最初はイヤイヤだったニックも、いろいろと一緒に行動して彼女の苦労を知るうちに打ち解けてきて、あーだこーだあった末に「“なぜか野生に戻って凶暴化してしまった肉食動物たち”をライオンハート市長が隔離していた」ことが判明。事件を解決したジュディは称賛されてめでたしめでたしかと思いきや! 記者会見で「まだ原因はわからないけど、肉食動物ばかり野生化したのは、彼らのDNAに問題があるからじゃないかしらん /(◕∀◕)\ コワイワー」なんて偏見丸出しの発言をしてしまい、傷ついたニックは彼女の元を去り、草食動物たちは肉食動物を疎んじるようになり、ジュディ自身も自己嫌悪に陥って警察を辞めて故郷に帰るのでした。


ニックを脅迫して捜査に協力させるジュディ。新人のくせにやることはベテラン刑事並みですな。
ニックの手を借りることに

最初は仲違いしながらも、捜査をするうちに距離が縮まっていく…というバディモノのお約束。
距離が縮まる2人

地道な捜査の結果、失踪した動物はすべて肉食で凶暴化していた→ライオンハート市長が隠していたことがわかるんですが…。
凶暴化したトラ

ジュディの迂闊すぎる発言のせいで、ニックは傷つき、肉食動物は草食動物たちの偏見に晒されるというね。
怯えるウサギの親子


で、ジュディが両親のニンジン農家を手伝っていたら、害虫除けの植物(a.k.a.「夜の遠吠え」)が野生化の原因であることがわかったので、ニックに謝罪→仲直りして捜査を再開しましてね。肉食動物の立場を悪くするために副市長のベルウェザーが仕組んだことが明らかになると、ニックが凶暴化してジュディを襲う芝居をする→相手の迂闊な発言を録音して勝利! 最後はニックも警察官になって、スピード違犯者(ナマケモノのフラッシュ)を取り締まったりしながらエンドクレジットに突入すると、ガゼルのライブが流れて、映画は終わってましたよ。


ジュディの謝罪を受け入れるニック。このシーン、感動的な上に光と影の演出も素晴らしいのです。
仲直りした2人

なんだかんだあって、犯人はこの人でした。
副市長ベルウェザー

最後はガゼルのライブで終わってましたぞ。
ガゼルのライブ


シャキーラが歌う主題歌「何でもためしてみるのさ」「トライ・エヴリシング」のPVを貼っておきますね↓




とりあえず人によって合う合わないはあるし、文句もあったりするとは思いますが、本作のクオリティが恐ろしく高いことだけは誰もが同意するのではないでしょうか。CGで描かれた登場人物と世界が凄まじいのは言うまでもなく、「差別や偏見の克服」という面倒くさくなりそうなテーマを子どもにもわかりやすく伝えている上に、序盤の芝居だけで世界観&主人公の性格や目的を説明しつつ最後の展開の伏線になったりとか、脚本がスゲー良く出来てるんです(「ジュディをいじめたキツネが、ジュディが夢を実現することで反省してウサギと付き合うようになったことで、ジュディの両親のキツネへの偏見がなくなる」という展開も良かった!)。さらには、動物たちの特徴を活かした小ネタを盛り込みまくって、有名映画のオマージュも入れて、ステレオタイプな差別ギャグも散りばめて…。尊敬する映画評論家の町山智浩さんの「たまむすび」での紹介によると、監督が3人に脚本家が7人関わっているそうで。才能溢れる優秀な人たちがお金をたくさん使ってちゃんと真面目に作ったって感じがして、鑑賞中は「ディズニーはスゴいなぁ… (`Δ´;) ヌゥ」と感心しっぱなしでしたね~。


国によってキャスターが違ったりもするそうで。小ネタに関してはこちらこちらをどうぞ。
国によってキャスターが違う


この羊のホワホワギャグ、町山さんによるとアフリカ系の人に対する差別描写なんだとか (゚⊿゚) ヘー




特に中盤、主人公のジュディが無自覚に偏見を撒き散らす展開には驚いて。“ネットで差別発言を書き込んでストレスを発散しているような人”がガッカリな存在なのは誰もがわかっていることですけど、一番気をつけなくちゃならないのは、「差別、ダメ絶対!(・A・) イクナイ」なんて知った風な口を叩きながら無自覚に差別する僕のような人間なんですよね…。例えば今の時代、ゲイの人と接する機会は増えていて、部下や取引先にいたりしましたが、つい「“普通”は違うだろ」なんて言っちゃうとスゲー反省するというかさ…。あと、ウサギの親子が肉食動物を避ける場面とか、「入れ墨を入れた人が風呂やプールに入れない問題」を連想したりもして。わかりやすい“間違ってる人”あげつらうんじゃなくて、自分を良識派だと思っている人にも問い掛ける姿勢が超素晴らしいのです。

その上、説教臭くないというのが重要で。ラスト、スピード違反の取締りに行く時、ニックが「ウサギは運転が下手だ」というのは、町山さん曰く、女性に対する偏見なんだそうで。でも、ジュディは抗議するワケでもなく、ブレーキを踏んでサラッと仕返しするあたり、「どんな人にもそういう面はあるんだから、深刻にならずに軽やかに乗り越えていこう」というメッセージを感じたんですけど、違いますカネー (´∀`;) エヘヘ ジュディやニックに間違った部分があるだけでなく、逆に副市長のベルウェザーはライオンハート市長にパワハラされてたりと、「みんな完璧じゃない」という描き方も良かったし…。なんかね、確かに絵本に出てくるキツネは狡賢いキャラが多く、僕の娘(4歳)もそんな風に認識してしまっているのでね、この映画のBlu-rayが発売されるまでは「ごん狐」でも読んであげて、彼女のキツネへの偏見をなくそうと思ったり。


乱暴に作ったゴンぎつねのコラを貼っておきますね。
ゴンぎつね


「ナマケモノはステレオタイプに描いてるじゃん」と思いつつも、これは習性なので仕方なし。




ということで、本作が名作なのは疑いようがないワケですが、しかし。若干、僕の好みと合わないところがありましてね…。僕が好きな“警察絡みのバディモノ”なだけに(例えばモロに「48時間」は連想しますよね)、子ども向けの部分がちょっと物足りなかったのです。警察のステレオタイプな描き方は良いとしても、あまりにも正義の味方然とされると微妙というか、ニックまで警官になるオチはちょっと居心地が悪いというか(探偵あたりに落ち着いてほしかった)。それと、序盤の警察学校のくだり、リングでサイを倒す姿に感動しただけに、その後、ジュディの戦闘力が発揮される場面がなかったのは残念でしたよ。


こんな風に戦うジュディが見たかった…って、別のジャンル映画になっちゃいそうですが(「範馬刃牙」より)。
三角絞めでつかまえて-人vs猫!3


つーか、今作のジュディは「男社会で苦戦する女性」を表してるワケで。映画では、失踪事件を解決することでなし崩しに受け入れられていましたが、僕はもっとわかりやすい「ジュディvs男ども」が見たかった。例えば、配置前にやらされる武道の時間で(日本の警察ではよくある光景)、ふざけて相手をしない男どもに怒って「片っ端から掛かってこい! /(◕Д◕)\」と宣戦布告。舐めてきた奴らを持ち前のスピードと機転で次々と倒していくも、疲労が蓄積してボゴ署長にはやられてしまって…。でも、心は折れていないので何度も向かっていくと、署長が根負けしながらも「女にしてはよくやった」なんてまだ舐めた口を叩くので、血塗れのジュディが「オレの“ニンジン”を舐めな!/(`Д´)\」って、何が何やらですな。


「G.I.ジェーン」のこのシーンが好きなので、つい… (ノ∀`) スミマセン
三角絞めでつかまえて-なめやがれ!


その他、「肉食動物は何を食べているのか問題(虫だそうです)」とか「ゾウのヨガのシーンは…少し…ドキドキしました… (´Д`;)」とか「車の窓を割れるなら動物の体も貫通するような…」とか「偏見は良くないものの、鋭いツメと牙を持つ肉食動物は普段からナイフを持ち歩いているようなものなんだから、そりゃあ怖いよね」とか「あんな危ない植物(ry」とか「ブルーベリーと録音オチはさすがにわかりやすすぎでは」とか思ったけど、そんなことはどうでも良いザンス。何はともあれ、スゲー良く出来てて面白い映画でしたよ。楽しみながら「差別、ダメ絶対!(・A・) イクナイ」が学べるということで、たぶん“ずっと残る作品”じゃないかしらん。Blu-rayが出たら奥さん&娘に絶対見せようと思ってるし、もし未見の人でこの駄文を読んでいる人がいたらぜひ見てほしいし、ほぼ作られるであろう続編にも期待しております /(◕∀◕)\ オシマイ

宇多丸師匠のタメになる時評がアップされているので、ぜひ聞いて!




バイロン・ハワード監督作。面白かったですな。



リッチ・ムーア監督作。僕の感想はこんな感じ



設定とかいろいろ載ってるビジュアルガイド。ちょっと読みたい。


日本版主題歌も入ったサントラでございます。



ノベライズも貼っておきますね。



ニンジン型レコーダーペン、43歳の男が使ってたらアウトでしょうな。