ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪(ネタバレ)

ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪

ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪

原題:狄仁杰之神都龍王/Young Detective Dee: Rise of the Sea Dragon
2013/中国、香港 上映時間133分
監督・製作・脚本:ツイ・ハーク
脚本:チャン・チアルー
撮影:チョイ・ソンファン
アクション監督:ユエン・ブン
美術:ケン・マック
衣装:ブルース・ユー
音楽:川井憲次
出演:マーク・チャオ、キム・ボム、ウィリアム・フォン、ケニー・リン、アンジェラベイビー、カリーナ・ラウ、チェン・クン
パンフレット:★★★★(600円/値段の割に充実したパンフ。久正人先生のイラストが素敵!)
(あらすじ)
唐朝末期。皇帝・高宗が敵国に送りこんだ水軍艦隊が何者かの襲撃を受けて全滅した。世間では海の神・龍王の怒りを受けたのだという噂が流れはじめ、怒りを鎮めるための生けにえとして美しき花魁イン(アンジェラベイビー)が選ばれる。インの誘拐事件に巻きこまれた判事ディー(マーク・チャオ)は、医官シャトー(ケニー・リン)や司法長官ユーチ(ウィリアム・フォン)とともに、謎に包まれた龍王をめぐる怪事件の解決に挑む。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




65点


主役がアンディ・ラウじゃないのは残念だったものの、前作の「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」がなかなか面白かったので、結構楽しみにしてましてね。先日、やっとシネマート六本木で観てきました。「ツイ・ハークらしいや (´∀`) アハハ」と思ったり。


やってきたのは月曜日。メンズデーを利用しようと思ったら、25日はシネマートデイでもあったというオトク。
シネマート六本木

場面写真やら記事の切り抜きやら顔出しの看板やらが展示されてました。
いろいろな展示

入場者特典としてポストカードをもらったけど、微妙な感じですな…。
入場者特典


ディー・レンチェ判事は実在の人物で~」なんてことは前作の感想でも書きましたが、要は“中国版シャーロック・ホームズ”であって、前日譚にあたる今作はいわば“ディー判事版「ヤング・シャーロック」。とは言え、ツイ・ハークが作る映画ですよ、「ヤング・シャーロック」よりもはるかにおかしなことになっているというか。例えば、昔の時代が舞台で「バケモノが出たー!ヽ(´Д`;)ノ」みたいな事件が起きたら、大体は「そのバケモノの正体は… (`Δ´;) ジツハ...」的な話になると思うんですが、この映画の場合はしっかりと化け物の仕業だったりするというね。


唐突に「刃牙」の画像を貼りますが、伝統派空手の栗木がこう証言したら…。
人間じゃねぇ

相手は本当に人間じゃなくて夜叉猿だったように!
夜叉猿でした

「バケモノが…」と放心状態の人を襲ったのは…。
バケモノが!

蠱毒によって半魚人に変えられた人だったりしまして。
半魚人が!

唐の水軍を襲った“龍王”の正体は、超巨大マンタ…って、十分バケモノなのでした ┐(´ー`)┌ アラアラ
シー・ドラゴンの正体


ツイ・ハークお得意の伝奇風味でゴテゴテにコーティングされているだけに、いわゆるフィクション・ラインが何でもアリ→“推理要素”は恐ろしく適当なんですけど(それっぽいことを言うから雰囲気で流されるものの、よくよく考えると理屈が合わない感じ)、それがいい ( ̄ー ̄) ニヤッ とにかくアクションシーンが多いんですが、今どき何のてらいもなく「マトリックス」っぽい演出を連発する姿勢は、逆に清々しかったです。変な武器は出てくるし、変な場所で戦うし、実際は3D映画→やたらと武器や敵が観客に向かって飛んでくるし…。クライマックス、超巨大マンタとの海上バトルもド迫力のひと言で、なんかね、ボリュームいっぱいでした。


蠱毒などの呪術が出てくるのはデフォルト。
蠱を飲まされた

海に潜れる馬が登場したりして。パンフのくれい響さんのコラムによると、白龍馬とのこと。
海にも潜れる馬

司法長官ユーチ(ウィリアム・フォン)はさまざまな武器を繰り出してました。
いろいろな武器

冨樫vs飛燕を彷彿させる崖戦闘シーンもあったりしましたよ。
冨樫vs飛燕


映画は唐の水軍が巨大な“何か”に襲われて全滅するところから始まって(津波とともに「徐克」って名前が出て来た時は爆笑)。則天武后(カリーナ・ラウ)は大理寺(警察みたいなもの)の司法長官ユーチに「10日間で解決できなかったら死刑!m9`Д´し ビシッ」と超無茶振り。時を同じくして、落陽に赴任してきた判事ディーが類い希なる推理力と格闘技術を活かして、さらわれそうになった花魁イン(アンジェラベイビー)を救ったり、医者のシャトー(ケニー・リン)と知り合ったりするうちに、事件と深く関わることにーーってな調子で物語は進むワケです(雑な文章)。


若き日のディー。演じたのは「モンガに散る」で主役を演じたマーク・チャオ。
ディー・レンチェ(マーク・チャオ)

その相棒となるシャトー。のちのレオン・カーフェイである(偉そうな口調で)。
シャトー(ケニー・リン)

最初は対立するも、次第にディーを認めるようになる司法長官ユーチ。男気&武力の高さは僕好み(アウトな文章)。
ユーチ(ウィリアム・フォン)<

無慈悲な女帝・則天武后。演じた女優さんが前作と同じなのはスゲー良かった!
則天武后(カリーナ・ラウ)


事の真相を適当に書いておくと、すべては東島のテロリストたちのせい。扶余の戦争が始まって、その間にあった東島は甚大な被害を受けたので、復讐を決意。朝廷に献上するお茶「雀舌茶」を作っている茶房の御曹司ユエン(キム・ボム)に蠱毒を盛って怪物化→治療法と引き替えにお茶を作らせる→毒入り茶で国家転覆を謀っていたのです。で、半魚人化したユエンが敵のアジトの島から逃げる際、たまたまテロリストたちが飼っていた巨大マンタを逃がしてしまって、水軍が被害を受けたという次第。


敵のリーダー雀義(フー・トン)。香港映画のラスボスなだけに、戦闘力は高めで良い感じ。
敵のリーダー雀義(フー・トン)


宮廷侍医ワン(チェン・クン)によると、「体内の蠱は童貞の尿を飲めば退治できる!m9`Д´) ノメ!」ということなので、すでに毒入り茶を飲んでいた皇帝&則天武后with朝廷のお偉方は集団で飲尿して事なきを得て。ディー一行は水軍と協力して、テロリストたちがいるコウモリ島に攻め込んで、てんやわんやと揉めた挙げ句、一味を一網打尽&巨大マンタも退治。ディーは皇帝から“降龍杖”を賜って、めでたしめでたしかと思いきや、褒美として雀舌茶を振る舞われる→童貞の尿を飲まされそうになって、エンドクレジットに突入するというね。エンドクレジットでは、宮廷侍医ワンが「大量の水を飲んでも治るけど、やっぱり尿が一番!(o^-')b」みたいなことを言った後にイメージボードが流れるんですが、スゲー良い出来で超カッコ良かったです(画集がほしいレベル)。


宮廷侍医ワン、変なメイク&テンションの高い演技で、チェン・クンだとは全然気付かなかった…。
宮廷侍医ワン(チェン・クン)

最後は「対象物の弱点を一瞬で突き止めて粉砕する」という素敵武器・降龍杖をゲットするのでした。
降龍杖をゲット!


正直、「前作のアンディ・ラウと比べちゃうと、マークチャオは少し微妙…」とか、「前作でカッコ良かった降龍杖が活躍しなかったのは残念…」とか、「アクションがせわしなくて、何をしているのかサッパリなシーンも…」とか、思うところはあるんですけど、どうにも嫌いにはなれない作品というか。一時はスランプと言われていたツイ・ハークが、2010年に「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」、2011年には「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」を中国で大ヒットさせて、今作は中国映画史上最高の製作費2億元(約32億円)をかけて製作し、なんと6億元(約96億円)のメガヒットを記録したそうなんです。


「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」はこんな映画でございます。
竜巻の中で戦闘!


なんて言うんですかね、「過剰に盛り込みすぎる演出&それでも大ヒット」ということで、非常にマイケル・ベイ監督を連想したんですが…。ツイ・ハーク監督の作品の場合、僕が大好きなカンフーアクション要素が多くて楽しいだけでなく、何よりもこういうのを自分が好きで作ってそうなので、観ているとうれしくなってくるんですよね(マイケル・ベイ監督も嫌いじゃありませんがー)。だから、映画的には変でも、ちょっと応援したくなっちゃうというか。積極的にはオススメしませんけど、「デタラメだけど勢いがある香港映画」が好きな人ならチェックしても損はしないんじゃないかしらん。




ツイ・ハーク監督による記念すべき「判事ディー」シリーズ第一作。僕の感想はこんな感じ



ツイ・ハーク監督による「ドラゴン・イン」の続編。僕の感想はこんな感じ



原作ではないんですが、判事ディーを有名にした小説シリーズ。かなり邦訳が出ててビックリ。



マーク・チャオ主演のボンクラヤクザ映画。鳥モモが美味そうなのです。



ツイ・ハーク監督×ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演作を貼っておきますね。今も仲悪いのかしら…。