ロボコップ(2014年版)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ロボコップ(2014年版)(ネタバレ)

ロボコップ(2014年版)

ロボコップ

原題:RoboCop
2014/アメリカ 上映時間117分
監督:ジョゼ・パジーリャ
製作:マーク・エイブラハム、エリック・ニューマン
製作総指揮:ビル・カラーロ、ロジャー・バーンバウム
脚本:ジョッシュ・ゼッツマー、ニック・シェンク
オリジナル脚本:エドワード・ニューマイヤー、マイケル・マイナー
撮影:ルラ・カルバーリョ
美術:マーティン・ホイスト
衣装:エイプリル・フェリー
編集:ダニエル・レゼンデ、ピーター・マクナルティ
音楽:ペドロ・ブロンフマン
出演:ジョエル・キナマン、ゲイリー・オールドマン、マイケル・キートン、アビー・コーニッシュ、ジャッキー・アール・ヘイリー、マイケル・K・ウィリアムズ、ジェニファー・イーリー、ジェイ・バルチェル、マリアンヌ・ジャン=バプティスト、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・ポール・ラッタン
パンフレット:★★★★★(800円/オムニコープ社のカタログを模したページもある、充実した理想的なパンフレット。中居雄太さんの仕事)
(あらすじ)
2028年、巨大企業オムニコープ社がロボット技術を一手ににぎる世界。米デトロイトで愛する家族と暮らす勤勉な警察官アレックス・マーフィー(ジョエル・キナマン)は、勤務中に重傷を負い、オムニコープ社の技術によりロボコップとして新たな命を得る。驚異的な力を身に付けたアレックスだったが、そのことから思わぬ事態に直面することとなる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




76点


※今回の記事は、ダラダラと長いし、画像を貼りまくっていて読みにくいので、気をつけて!
※今回の記事は、オリジナル版のネタバレにも触れているので、知りたくない人は気をつけて!


暴論かもしれませんが、僕と同世代の人間で、ポール・ヴァーホーベン監督の「ロボコップ」を観て衝撃を受けなかった人はいないんじゃないでしょうか。最初にタイトルを聞いた時、「おやおや、『シートン動物記』に出て来た狼王が刑事にでもなったんですかね ( ´,_ゝ`) プッ」とは思わなかったものの(不要な文章)、「どうせ適当なヒーロー映画なんだろうよ ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」な~んて舐めた態度で観に行ったら、ゴリゴリのバイオレンス映画で度肝を抜かれたというか。クズどもは徹底してクズなので、とにかくストレスは溜まるものの、その分、ロボコップと化した主人公マーフィーの活躍振りが爽快すぎて、留飲が下がりまくり。しかも、“底意地の悪いブラックな演出”の数々は愉快だし、アイデンティティを取り戻すというストーリーも素晴らしくてね…(しみじみ)。


このシーンとか、無惨だけど「超ざまぁ!ヘ(゚∀゚*)ノ スッキリ」なのです。
超ざまぁ!


あの遅くてカクカクしたロボっぽい動きで戦うのも妙に新鮮だったりして。「宇宙刑事ギャバン」をデザインの参考にした話がありましたけど(デザイナーの村上克司さんが許可した)、東映が即座に「仮面ライダーBLACK RX」に“悲しみの王子”ロボライダーを導入した時は「東映、貪欲だな!Σ(゚д゚;)」と感銘を受けたものですよ(その後、モロな「機動刑事ジバン」も登場)。恥ずかしながら、ドラマ版はチェックしていませんが、オリジナル版に関しては好感しか抱いていないのです。


唐突ですが、当時、一世を風靡した吹越満さんのロボコップ演芸を貼っておきますね↓ 




で、今回のリブート版ですよ。こんな勝ち目のない戦いがあるかと。ハッキリ言って、最初からオリジナル版を越えるのは100パーセント無理だと確信してたんですが、しかし。監督があの傑作「エリート・スクワッド」を撮ったジョゼ・パジーリャなら話は別。「周囲の評判もそんなに悪くはないし、意外とイケるのでは?」「舞台はブラジルで、BOPEの隊員が殉職してロボコップになって… (´Д`;) ハァハァ」と、それなりの期待と妄想を抱きながら、TOHOシネマズ 六本木ヒルズに行ってきました。結構好きでしたヨ (・∀・) ヨカッタ!


仕事の打ち合わせが終わった後、夜のTOHOシネマズ 六本木ヒルズに直行しまして。
六本木ヒルズ

何も食べてなかったので、つい大量購入…。でも、飲み物はコカコーラゼロだから大丈夫(バカの文章)。
散財しました


まぁ、物足りないところはあって。「映画秘宝 2014年 04月号」の特集記事の中で月村了衛先生が同じようなことを指摘されてましたが、ケレン味が足りないとは思いました。アクション描写は緊迫感が溢れててリアル寄りで、そこそこカッコ良いんですけど、「ここで“決め”!m9・∀・) ドーン!」という場面がなくて。「あえて」なのかもしれませんが、基本的にヒーロー然とした見せ方をあまりやらないんですよね。オリジナル版のニードルような武器ギミックもないし、微妙に盛り上がりに欠けるというか。


右手から極太のニードルがシャキーン! こういうギミックがほしかったです。
ニードル!


特に「どうかな~」と思ったのが、終盤の展開。「相棒のルイス(マイケル・K・ウィリアムズ)が2連続でマーフィーを救う流れが微妙…」というのは置いとくとして、オムニ社の屋上で、CEOのレイ(マイケル・キートン)とマーフィーが撃ち合う場面ですよ。今作は「人の心はプログラムを凌駕する!」ということを描いているだけに、最後の最後、赤マーカーの呪縛を乗り越えてマーフィーはレイを射殺するわけですが…。オリジナル版「クビだ!ヽ(`Д´)ノ」→「どうも!(o^-')b」とクソ野郎を射殺する爽快なオチと比べると、ヒネリがないのは仕方ないとしても、見せ方が地味すぎてなんか物足りない。その直後、“奧さん&息子を「人間の右手」で抱く=自分の人生を取り戻したシーン”だって、本当ならもっとエモく描いて良いのに、サラッと流すから、ちょっと感動が目減り気味。

サミュエル・L・ジャクソン演じるキャスター・ノヴァックのアジテーション振りは、FOXニュースなどを皮肉っているんでしょうし(同じポール・ヴァーホーベン監督作である「スターシップ・トゥルーパーズ」のオマージュでもあるっぽい)、最後に「彼が暴言を吐いてエンドクレジットに突入→『I Fought The Law』が流れる」というのは、その歌詞の意味を考えれば皮肉で良いオチなのかもしれませんが…。僕的にはマーフィー一家に思い入れが特盛り状態だったため、やっぱり家族との再会をメインにしてほしかったというか。なんか上手いことやって(素人にありがちな無茶振り)、オリジナル版っぽく自分の名前を答えてエンドクレジット→メインテーマが流れてたら、それだけで20点プラスだった…って、僕の勝手な願望ですけどね (ノ∀`) スミマセン


この人から始まり、この人で終わる映画なのです。「マザ、ファッカ!」発言は笑いましたよ。
サミュエル・L・ジャクソン


一応、ザ・クラッシュ「I Fought The Law」を貼っておきますね↓




あとね、これは「映画秘宝 2014年 04月号」の特集記事の中で監督自身はバイオレンス要素を入れる気マンマンだったことが書かれていただけに責められないんですが(パンフレットのインタビューで「自分が続編を撮る可能性は薄い」的な発言→いろいろあったのでは…という勘ぐりも)、やっぱりハードな残虐描写がほしかった。“マーフィーが顔と肺と右手首だけになっている無惨な姿”は超素晴らしいんですけど、それ以外は皆無なんですもの。悪役もオリジナル版と比べるとそんなに凶悪じゃなかったのもガッカリでしたな。


ここら辺はしっかりと無惨で大好きでしたが…。
無惨な姿に


な~んて不満を書きつつも75点なのは、好きなところも多いから。まず、僕は今回の“黒いロボコップ”のビジュアルがスゲー好きでして。普段は人間の顔が出ていて、戦闘時にバイザーが自動的に装着される仕様なのは、ちょっと違うけど「新造人間キャシャーン」っぽくて超カッコイイ。バイクに乗っている姿も好みでしたよ。ロボコップの製造工場が中国にあるという設定も今どきのリアルって感じで良かったです。


このフェイスバイザーが降りる→赤い目が光るのが最高!ヘ(゚∀゚*)ノ ワッショイ!
フェイスバイザー


役者さんたちも実に良くて。マーフィーを演じたジョエル・キナマン、「ダーケストアワー 消滅」の時はクズ男を演じてましたが、今回の刑事役は“二代目ルーク・ゴス”っぽいというか、今後は僕好みのアクション映画に駆り出されそうなオーラが漂っていて、非常に親近感が湧きました(なんだこれ)。奧さん役のアビー・コーニッシュもエロくて良かったです。重くてあまり好きじゃないですけど、「エンジェル ウォーズ」を見返したくなりました。


この人、2年後ぐらいにはB級アクション映画シーンを賑わせてそうな臭いがします。
ジョエル・キナマン


それと、オムニ社のCEO・レイを演じたマイケル・キートン、決して高圧的な態度は見せないものの、サラリと鬼畜な提案するのが非常にハマッてて。今作は、オリジナル版では素知らぬ顔で通過していた“人間と機械を融合させるという非人道的な計画”をどうリアルに進めるのかがキモだったワケですが、そこをスムースに乗り越えられたのは、彼の存在感のおかげじゃないでしょうか。


マイケル・キートン、相変わらず素敵でした。
マンとマシンが1つになって


「人(マン)と機械(マシン)が1つになる」ということで、このヒーローの動画を貼っておきますね↓


星雲仮面マシンマン OP ED 投稿者 DameningenTV


で、一番グッときたのは、ゲイリー・オールドマンが演じたノートン博士! レイに無茶振りをされると困りながらもマーフィーに非人道的な処置を施していくくだりには、中間管理職の悲哀が滲んでいて、なんかね、その境遇にスゲー共感したというか…。「この人、上司に『オレのケツの中でションベンしろ』とか言われても渋々従いそうだな~ (・ω・;)」なんてどうでも良いことを思っていたら、最後、「マーフィーを処分しろ」というクソすぎる命令にはちゃんと背くんだから、「アンタは偉い!ヽ(`Д´)ノ」とスタンディングオベーション。ダメなことには上司にでもしっかり「NO!」と言う勇気、学ばせていただきました(知った風な口調で)。


よくよく考えれば、「NO!」と言ったワケじゃなくて、単にレイを騙したんですけどね。
無茶振りされる博士


その他、オリジナル版にはなかった“家族に焦点を当てたストーリー展開”は良い着眼点だと思ったし、戦闘シーンもケレン味はないけど頑張っていたし(ED209の足下に隠れて戦う場面とか好き)、結構面白かったです。ちなみに、“お披露目の時にロボコップが指名手配犯を逮捕→気付かなかった警官がノヴァックに叩かれる場面”、「そういえば警察にいたころ、指名手配犯のポスターを眺めては『この人たちが目の前を通り過ぎても気付かないだろうな~ (´∀`)』なんて思ったっけ…」と超どうでも良いことを思い出したり。


この主観戦闘映像は良かったけど、ギャングたちがわざわざ暗視ゴーグルを付けて戦ったのは浅はかだったような。
戦闘シーン

「ロボコップ、指名手配犯を発見してお手柄」の巻。ただ、普通の警官もデータベースと連動した監視カメラを駆使すれば良いような…。
指名手配犯を発見


ううむ、なんだかダラダラと書いちゃって申し訳ないんですが、僕的には、オリジナル版には敵わないものの、「2」「3」よりは楽しかった…という感想。鑑賞後、思わずバスタオルを衝動買いしてしまう程度には気に入ってしまったのです。オリジナル版が大好きな人には積極的にオススメしませんけど、どうしても気になる人はそれなりの期待値で足を運んだら良いんじゃないかしら。ちなみにパンフレットは800円なんですが、オムニ社のカタログっぽいページはあるわ、キャスト&監督のインタビューは充実しているわ、その他の記事も読み応えあるわ(なんと上原正三さんのインタビューも!)と至れり尽くせりなので、映画を観た人は買うと良いですぞ。


ついバスタオルを買っちゃったのです。2100円もしたのに…。
タオルを買っちゃった


おしまい!ヽ(`Д´)ノ




ジョゼ・パジーリャ監督による超バイオレントな警察映画。僕の感想はこんな感じ続編も最高だよ!



サントラです。輸入盤もあります。



ポール・ヴァーホーベン監督によるオリジナル。100点の映画ですな。



アーヴィン・カーシュナー監督による2作目。そんなに嫌いじゃないというか、ケインは好き。



フレッド・デッカー監督による3作目。オートモは好き。



オリジナルから10年後という世界観のドラマ。



アンドロイド用のゲームがありました。タダなのがうれしいね。



この号のロボコップ特集はなかなか良かったです。



月村了衛先生による人型兵器を導入した警察小説。気になるので、kindle版を読もうかしらん。



「角界のロボコップ」として親しまれた元小結・高見盛関、初の著書。…って、そのあだ名、全然知らなかった!