新しき世界(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

新しき世界(ネタバレ)

新しき世界

新しき世界

原題:신세계 新世界 New World
2013/韓国 上映時間134分
監督・脚本:パク・フンジョン
編集:ムン・セギョン
製作総指揮:キム・ウテク
製作:パク・ミンジョン
撮影:チョン・ジョンフン
美術:チョ・ファソン
音楽:チョ・ヨンウク
出演:イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン、パク・ソンウン、ソン・ジヒョ、チュ・ジンモ、チェ・イルファ、チャン・グァン、キム・ビョンオク、キム・ユンソン、ナ・グァンフン、パク・ソヨン、クォン・テォン、キム・ホンパ、イ・ギョンヨン
パンフレット:★★★(700円/情報量が多めで良い出来)
(あらすじ)
韓国で有名な犯罪組織の幹部チョン・チョン(ファン・ジョンミン)の右腕としても認められているジャソン(イ・ジョンジェ)。だがその正体は、カン課長(チェ・ミンシク)に潜入捜査を命じられた警察官であった。警官の職務を果たそうとするも、自分と同じ中国系韓国人であるチョン・チョンとの間に生まれた兄弟のような情と絆を裏切っていることに苦悩するジャソン。そんな中、組織のリーダー急死を契機にした後継者争いが勃発(ぼっぱつ)、さらに組織の一網打尽を目的とした捜査作戦が動き出す。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




90点


※この映画は、ネタバレを読まないで観た方が絶対面白いので、ハードな韓国映画が苦手じゃない人は先に劇場で観てみて!
※今回の記事は、残酷な文章が書かれていたりするので、そういうのが苦手な人は気をつけて!
※今回の記事は、なんとなく「モンガに散る」のネタバレに触れているので、気をつけて!


尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」でオススメしてたのをなんとなく記憶していたし、何よりもこの手の韓国映画は大体面白いので、超楽しみにしてまして。で、本当は水曜日に観る予定だったんですけど、つい2回目の「サバイバル・ソルジャー」を優先してしまって…(さりげない宣伝)。昨日、シネマート新宿で観てきました。「ヤクザ、怖い!((((゚д゚;)))) ガクブル」と心から思ったり。


シネマート新宿の6階ロビーには豪華なパネル展示がありまして。
6階ロビーはパネル展示

コアチョコのTシャツも売ってました。ああん、素敵じゃない!
コアチョコのTシャツ

バックプリントはこんな感じ~。こういう時に限って、XXLサイズがないんだよなぁ… (´・ω・`) ガッカリ
Tシャツの背中

7階ロビーの方には記事の切り抜きやサイン入りポスターがあって。
7階ロビーはこんな感じ

これがイ・ジョンジェのサインだッ! サイン入りポスタープレゼントキャンペーンもやってましたぞ。
サイン入りだッ!


もうね、一番やられたのがオープニング。ヤクザの幹部っぽい人が港で“警察のスパイ”疑惑をかけられて拷問されていて。直接描写はそんなにないんですけど、被害者の方の怯え演技が最高でね…(しみじみ)。足をハンマーっぽいので砕いたりとか、とにかく凄惨なムードなんですよ。しかも、ドラム缶に入れてセメントを流し込むというベーシックな処理をするワケですが(苦笑)、漏斗で強制的にセメントをゴクゴクと飲ませるのが斬新すぎ!((((゚д゚;)))) ヒィィ! 正直、ドン引きしたし、見終わった今もスゲー恐ろしい。要は「潜入捜査がバレたらこうなるヨ!(o^-')b キヲツケテ!」というのをキッチリ最初に示したワケで、「これは…怖い映画かもしれぬ… (`Δ´;) ヌゥ」と一気に身が引き締まったのです。


主人公の表情が逆光で見えなかったのは、この時点で、刑事とヤクザ、どちらのメンタリティなのかをぼかす意味合いがあったんでしょうか。
オープニング


主人公のジャソンは警察官。なんとヤクザの組織に8年も潜入捜査をしていて、“実質上の組織のナンバー2”チョン・チョンの片腕にまで登りつめてるんですけど、“バレたらセメントゴクゴクの刑”が待っているだけに、今すぐにでも辞めたいエブリデイ。組織のボスが事故死したのをキッカケに(謀殺の可能性アリ)、辞めさせてもらえるかと思いきや、上司のカン課長は新たな指令を出してきましてね。反発すると、「せっかくここまで頑張ってきたのに!」「この任務のためにいくら税金を使ったと思ってるんだ!」と逆ギレされた上に「組織にバレたら大変だよね~ (・∀・) ニヤニヤ」と脅されちゃって…。結局、ジャソンは“新世界プロジェクト”という新たな指令を受けるんですね。


潜入捜査官ジャソン。非常に胃が痛い立場なのです。
ジャソン(イ・ジョンジェ)


この“新世界プロジェクト”ってのは、「地元住民の力でこの街を観光地として盛り上げよう!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタルデー」ということではなく(無駄な文章)。ジャソンの力を使って、警察の傀儡となる人物をトップに据えて、組織を警察の思いのままにしようとする計画。ただ、ジャソンはもうイヤでイヤで仕方ないのです。


カン課長。根っからの悪人ではないんだけど、任務のためなら人でなしになれるメンタリティの持ち主。
カン課長(チェ・ミンシク)


それは、自分の身が危ない云々の事情だけでなく、チョン・チョンへの思い入れがメガ盛りのネギだくに牛皿追加状態だったため。最初に空港で会った時は、ジャソンが結構ぞんざいに扱うから、「仲が悪いのかな?」と思いきや、それは信頼関係がベースにある上でのジャレ合いでしてね。チョン・チョンは、ちょっとアホっぽいものの、実はキッチリ“仕事”が出来て、さらに部下想いという、ボスの鑑のような男でして。


“実質上、組織のナンバー2”という立場のチョン・チョン。非常に魅力的な人物に見えるんですが…。
チョン・チョン(ファン・ジョンミン)


グラサンをかけたビジュアルといい、性格といい、「仁義なき戦い 広島死闘篇」大友勝利をマイルドにした感じなんですが、ジャソンを「ブラザー!ヘ(゚∀゚*)ノ」と親しげに呼んで、お土産を買ってくるほどLOVEずっきゅん。そして、ジャソンの方も“急発進で迫る車”の前に立ちはだかれるほどZokkon命(LOVE)だったりしてね。だから、ジャソンは非常に苦悩しつつも、やっぱりカン課長には逆らえず(一応、心は警官だし、バラされたら“セメントゴクゴク”が待ってるし…)、警察サイドに情報を流すのです。


身を挺して守るジャソン。その行為にはチョン・チョンも感激してました。
身を挺して守る!


一応、貼っておきますが、大友勝利はこんな人↓ 「村岡が持っちょるホテルは~」からの台詞が有名ですな。




ところが! 跡目争いだ警察の圧力だと、あーだこーだあってから、中国のスーパーハカーの手によって、警察の極秘資料がチョン・チョンの手に渡っちゃったから、さぁ、大変!Σ(゚д゚;) ナンデスト! チョン・チョンが呼び寄せた殺し屋集団“延辺の物乞い”が、ジャソンが通っていた囲碁教室のシヌ先生(実は警察官で連絡係)の自宅を呑気に襲撃するシーンは、非常に盛り上がるんですが、しかし! その直後、埠頭の倉庫にジャソンが呼び出されるから、さらにハラハラドキドキしすぎてマジで胃が痛い!ヽ(´Д`;)ノ


囲碁の先生を装った連絡係シヌ(ソン・ジヒョ)。直接描写はありませんが、輪姦&拷問されてました… ('A`) ヒデェ
囲碁の先生シヌ(ソン・ジヒョ)

こいつらがプロの殺し屋集団“延辺の物乞い”だッ! 最初は本当に物乞いの人を呼んだのかと思ってました (ノ∀`) バカネ
延辺の物乞い

倉庫に向かうジャソン。仕事でクレーム処理に行った時のことを思い出して、胃が凄まじく痛みました…。
呼び出されて胃が痛い


倉庫に到着したジャソンが、チョン・チョンに促されてドラム缶を開けてみれば、中にいるのは血まみれで無惨な状態のシヌ。資料を渡されると、そこにはカン課長やシヌのデータが載ってまして…。もうね、ジャソンが警官だってことが100パーセントわかってる雰囲気であり、この場面のジャソンの顔面蒼白&汗だく演技は爆笑しそうになるほど真に迫っていて、これは「殺されるんだな」と。「もしかすると、ここからトーチャーポルノ的な展開になるのか… (´Д`;) ヤメテ-」と、観客的にもすっかりジャソン気分で死を覚悟していたら、突然、チョン・チョンが部下ソンム(キム・ユンソン)の頭をスコップで殴打してグチャグチャにするからスーパービックリ!Σ(゚д゚;) スーパー! なんとソンムも潜入捜査官だったのです。


仕方なくドラム缶のフタをオープンしてみれば、連絡係が血まみれって、潜入捜査官的には悪夢のよう。
ドラム缶を開けると...

しかも、資料も渡されて、ジャソンったら、超汗まみれ。ああん、めくるのが怖いよぅ!ヽ(´Д`;)ノ タスケテー
資料を見ながら汗ダラダラ

と思いきや、殺されるのはソンムの方でした。んもう、驚かさないでよ~ (ノ∀`) ナァンダ
死ぬのはこの人でした


この場面はいろいろと恐ろしすぎて素晴らしいとしか言いようがないんですが(オープニングの“セメントゴクゴク”が利いてる!)、何よりも恐怖したのが“気の良い兄ちゃん”ってムードだったチョン・チョンが凶悪に変貌するところ。なんて言うんですかね、「伊豆の踊子」で主人公が全裸で手を振る踊子の姿を見て「子どもなんだ (´∀`) ウフフ」と笑ったように、嬉々として暴力の虜になるチョン・チョンの姿を見て「ヤクザなんだ ('A`) ゲンナリ」と認識をあらためた感じ(なにこの例え)。別に“その手の方”と付き合いがあるワケじゃありませんが、君子危うきに近寄らずというか、今後も関わり合いになるようなことがありませんようにと、星に願いを込めたのでしたーー。


ちなみに大量に汗をかくジャソンを見て、「方世玉2」のジェット・リーを思い出した…という、どうでも良い話。
汗ダラダラのジェット・リー


で、九死に一生を得た雰囲気でホッとしていたら、実はジャソンのこともチョン・チョンにバレてたことが発覚しまして。「じゃあ、なんでチョン・チョンはジャソンを殺さなかったのか?」という疑問が浮かぶ中、チョン・チョンと跡目を争っていたイ・ジュング(パク・ソンウン)が、あえてカン課長の策略に乗って、チョン・チョンを襲撃→ハードな多人数バトルが勃発! 韓国は拳銃を調達するのが大変なのか知りませんけど、バットや牛刀など使った戦闘が非常に愉快でね…(しみじみ)。特に、チョン・チョンがエレベータに連れ込まれてからのタフネス振りが素敵で、基本的には非常にイヤな気分になる場面が多い映画ですけれども(褒め言葉)、ここだけは「赤勝て、白勝て!ヘ(゚∀゚*)ノ」とワクワクしながら鑑賞いたしました~。


血の気の多いヤクザ・ジュング。「エレクション 黒社会」のレオン・カーフェイっぽいキャラですな。
イ・ジュング(パク・ソンウン)

クライマックスの乱闘は、荒々しさが美味であり…。
クライマックスの死闘!

何よりもエレベータ内でのバトルが素晴らしい! 見せつけろ、そのタフネス!ヽ(`Д´)ノ
エレベーターバトル!


最後の展開を書くと、死ぬ直前のチョン・チョンに責められるかと思ったら、むしろ「強く生きろ、それがお前の生きる道だ」なんて優しいアドバイスをもらって、ジャフンは吹っ切りまして。「ハッキングされたことで警察の自分のデータは消失→自分が潜入捜査官ということは、カン課長&コ局長(チュ・ジンモ)しか知らない」ので、“延辺の物乞い”を使って2人を暗殺。ジュングや警察の傀儡になる予定だったスギ理事(チェ・イルファ)も始末すると、組織のトップに見事就任。ただ、達成感よりも喪失感の方が強いムードがムンムンと匂い立っており、6年前にチョン・チョンと殴り込みに行った時のことを回想したりして、終わってました。


“延辺の物乞い”、優秀な暗殺振りでしたよ。
アッサリと暗殺


すみません、なんとなくPUFFYの歌を貼っておきますね↓




まぁ、引っ掛かるところはあって。「韓国警察で8年間も潜入捜査することがあるの?」なんてのは書いたらおしまいですけれども(苦笑)、ハッカーのくだりだけは若干乗れなかったかなぁ(実際にそれほどのスゴ腕ハッカーがいるのかもしれませんが)。それと、最後の“6年前の殴り込みのシーン”、相手が多すぎるというか、回想にしてもあそこだけファンタジーがすぎると思ったし、そもそも劇中でジャフン&チョン・チョンの残虐振りも観ているワケで、あまり感動的に描かれるのもちょっと…。

とは言え、基本的には大好物。パク・フンジョン監督は「ゴッドファーザー」「インファナル・アフェア」「エレクション 黒社会」などの映画が好きとパンフに書いてあって、確かにそんな感じなんですが、それでいて新しいバイオレンス描写&新しい物語展開を見せているのがマジ偉いと思いましたね。ラストに回想を入れること自体はよくあるけど、あの“輝いてた友情描写”は少しだけ「モンガに散る」の最後を思い出して、グッときたりもして。「あまり感動的に~」なんて文句を書いたばかりですが(汗)、ちくしょう、何とも言えない気持ちを抱きつつ、同時に爽やかさも感じちゃった次第。


「モンガに散る」はこんな感じ↓ 




登場するキャラクターの設定と、それを演じた役者さんたちも文句ナシ。メインキャストの3人の演技は見事すぎて書くと長くなるから面倒くさいレベルだし(イ・ジョンジェの無言の演技とか)、ジュング役のパク・ソンウンも迫力があったし、その他の脇役たちも軒並み“コクのある顔”だし…。大好きなのが“延辺の物乞い”で、「こういう人たちを他の映画で観たことあるような…?」と思って調べたら、延辺「哀しき獣」の主人公&ターミネーターおじさんwith暴力軍団の出身地!∑(゚Д゚) アソコカ! ううむ、あらためて延辺幻想が高まりますな~。


「哀しき獣」はこんな映画↓ 戦闘時の“サクサク刃物”感とかも共通するイメージ。




その他、「カン課長の禁煙宣言に泣けた」とか「『完全に勝ち目がないな』に爆笑した」とか「『トガニ』の園長は死ね!」とか、書きたいことはいろいろあるんですが、長くなるので割愛!ヽ(`Д´)ノ 僕的にはスゲー面白かったけど、何よりもスゲー怖かったです… ('A`) イヤーン 生理的なものかもしれませんが、特にオープニングの“セメントゴクゴク”が思い出しては怯えるほど恐ろしくて、「PG12」指定なのが信じられないほどなのです。倉庫の場面だってマジでキツかったし、ジュングを逮捕しに行くくだりで「体格の良い奴を集めろ」みたいな台詞をカン課長が言った時も「ああいう時、いつも集められてたなぁ… (ノω・、) コワカッタヨゥ...」と警官だったころを思い出して胃が痛くなったし…(なにこのトラウマ)。

だから、そんな無闇にオススメはできないんですけど、スゴい映画なのは間違いないので、気になる人はぜひシネマート新宿に足を運んでみて、ちょっとイヤな気分になったら、ついでに同劇場で上映中の「サバイバル・ソルジャー」でも観てくださいな(さりげない宣伝)。




パク・フンジョン監督が脚本を書いた作品。ファン・ジョンミンが主演だったり。



潜入捜査官モノの名作シリーズ。観といて損はないです。



マフィアモノの名作シリーズ。これも観といて損はないですぞ。



跡目争いモノの名作。続編もあります。エレクチオンと間違えないで!(どうでも良い文章)



“延辺”幻想が高まる名作。サクサク刃物バトルも大好き!



チンピラ友情モノの良作。ラストは号泣いたしました。