フィルス(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

フィルス(ネタバレ)

フィルス

フィルス

原題:Filth
2012/アメリカ 上映時間92分
監督・脚本:ジョン・S・ベアード
製作:ウィル・クラーク
原作:アービン・ウェルシュ
撮影:マシュー・ジェンセン
美術:マイク・ガン
編集:マーク・エカーズリー
音楽:クリント・マンセル
出演:ジェームズ・マカボイ、ジェイミー・ベル、イモージェン・プーツ、ジョアンヌ・フロガット、ジム・ブロードベント、エディ・マーサン、イーモン・エリオット、マーティン・コムストン、シャーリー・ヘンダーソン、ショーナ・マクドナルド、ゲイリー・ルイス
パンフレット:★★★(700円/ギンティ小林さんを始めとするコラムは大好きだけど、誤字脱字が多すぎる…)
(あらすじ)
同僚や友人を陥れる裏工作や残業の不正申告が得意で、売春、不倫、アルコールやコカインにも手を出すスコットランド人刑事ブルース・ロバートソン(ジェームズ・マカボイ)は、ある日起こった日本人留学生殺人事件の捜査を担当することになる。初動捜査では目撃者が見つからなかったその事件を解決してみせ、出世しようと目論むブルースだったが、捜査を進めるにつれて過去の自分と向き合うはめに。やがて目撃者とされる謎の女の存在が浮かび上がり……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




82点


※今回の記事は、41歳の中年男性として倫理的にどうかと思うことや、かなり気持ち悪い文章が書かれているので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。

本当にどうでも良い文章を書きますね。正直、11月は観たい映画が多すぎたので、足を運ぶか迷うところもあったんですが…。よくよく考えれば、主演のジェームズ・マカヴォイが結構好きだし、「汚職刑事が主人公のクライム・コメディ」というのも惹きつけられるし、何よりもタイトルの「フィルス」が、「グラップラー刃牙」の最大トーナメント編に出て来た“ある人”を連想して、勝手な親しみを覚えたんですよ。


“地球一のタフガイ”リチャード・フィルスの登場だッ! 当然ながら映画とは全然関係ありませぬ。
リチャード・フィルス


そんなワケで、先日、渋谷のシネマライズで観てきました。他人事とは思えなかったです… (´・ω・`) とにかく思うところがある映画だったので、麺硬め・味濃いめ・脂多め・気持ち悪めの感想を残しておきますね。ちなみに、一応、「えっ、そうだったの!? Σ(゚д゚;) マジデ?」的な展開があるので、汚職警官映画が好きな方は、都内では今週の金曜日(12月20日)で上映が終了ということで、こんな駄文を読まずに火曜日のサービスデーなどを利用して、急いで観に行った方が良いですぞ (o^-')b オススメ!


関連作として「トレインスポッティング」「トランス」も1000円で特別上映中。
関連作も上映中

記事の切り抜きもありました。あと、水曜日は“カップル割引”なんてのも実施中の様子。
記事の切り抜き


映画を観てみると、「FILTH」というのは主人公の名前ではなく。超便利なWeblioによれば、「汚物、不潔、不浄」「卑猥な言葉、みだらな考え」「道徳的堕落」、俗語として「警察」などを指す名詞なんだそうで。確かに、主人公ブルースが繰り広げる所業の数々は「クズ」としか形容できなくて、劇中で登場人物に「このFILTH野郎!川 ゚д゚)、ペッ」って感じで罵られてましたけど、本当にその通りだからグウの音も出ないのです (・ε・) グゥ

パンフレットに載っていたギンティ小林さんの素晴らしいコラムと被るんですが、何が酷いって主人公が超小物なんですよ。いや、例えば「トレーニング デイ」みたいに「ギャングと繋がりがあって~」的な裏社会が絡んだりするのではなく、「ポチの告白」のように「警察自体に腐敗のシステムがあって~」的な社会問題に通じるワケでもなく、なんと「出世して奧さん(ショーナ・マクドナルド)に認められたい」という動機で同僚を蹴落とすのがメイン活動なんです。

しかも、その手段が、他人の悪口を吹き込んだりとか、便所に差別的な落書きをして人のせいにしたりとか、イタ電をしたりとか、「えっ、このレベル!? Σ(゚д゚;)」と逆にビックリ。しかも性欲旺盛で、同僚の嫁と浮気するわ(同僚は自殺を図る)、親友の嫁にも手を出すわ、1人でいるとすぐに股間を弄り出すわ…。僕が観てきた汚職刑事史上、一番の小物と言っても過言ではない男なんですけれども! 巧みなストーリーテリング&ジェームズ・マカヴォイの熱演もあって、非常に面白く見えちゃうんだから、映画って本当に不思議ですわなー。


ジェームズ・マカヴォイの悪徳刑事振り、最低で最高でした。
小規模な悪徳刑事


脇を固める役者さんたちも軒並み素晴らしいんですけど、とにかくジェームズ・マカヴォイが魅力的で、彼を観ているだけで飽きない感じ。なんて言うんですかね、ゲスな精神性もあそこまで徹底されると見事に見えてくるというか。友人のクリフォード(エディー・マーサン)をイタズラ電話の犯人に仕立て上げるくだりとか、「はぁ~、そんなことまでしますか… (゚д゚;)」と感心しましたよ。


さすがに、16歳の少女にゲフンゲフンな強要をするシーンはゲスすぎてゲンナリしましたが…。
最悪なシーン


イタズラ電話でブルースが声真似をするフランクサイド・ボトムの適当な動画を貼っておきますね↓




でね、「実はブルースには幼い弟を事故死させた過去があった!」…ってのは、映画的に必要な設定だったか微妙に感じたんですが(たぶん原作小説だと必然性が感じられるようになっていそうな気がしますが…)。他人事と思えなかったのが、奧さん&娘に捨てられてて、そのせいで薬物とアルコールにドップリ&ヤケになっていたところ。僕はたまにこのブログで良識的なことをドヤ顔で書いたりしますけど(苦笑)、正直、それはあくまで奧さんの影響で“真人間”になっているだけであって。基本的にはクズなのでね、もし奧さんに捨てられたりしたら間違いなく“呪いを日々垂れ流すような人間”になるだけに、共感…はしないけど同情はしちゃったり。

そして、この映画の最大のビックリドッキリポイント、「奧さんの気持ちに寄り添いたかった… (ノω・、)」という気持ちで、ブルースが日常的に女装して夜の街に繰り出していたことが判明した時はね、あのヒゲヅラ女装のビジュアルに笑ったし、「くっ、狂ってる!Σ(゚д゚;)」とは思いつつも! 「スゲーわかる… (ノДT)」と泣けたりもしたのです。


この奧さんの場面は確かに現実感なかったけど、まさかマカヴォイの網タイツ姿を見せられるとは…。
奧さん...じゃなかった!

なんとなくカイオウの電波発言を聞いて驚くリンの画像を貼っておきますね。
三角絞めでつかまえて-く、狂ってる!


女装に興味があったーー。ということではなく!(「まったくない」ワケじゃないけどネ (o^-')b ナイショダヨ!) そうまでして奧さんに執着する気持ちはなんとなくわからないでもない。ここからドン引きされる可能性が高い気持ちの悪い文章を垂れ流しますが、いくら愛妻家を気取る僕でも、ケンカをすることは多々あって。お互い口を利かないまま仕事に行くなんてことはザラにありますけど、そんな時、なるべく思い出すようにしているのが「漂流教室」ですよ。「これが今生の別れになってしまったら…?」と考えるだけで溢れた感情は単純にこぼれる涙。即、仲直りメールを送るも、意外とスムースに無視されたりして、「チェッ、なんだよ!(`Δ´)」と怒りが再点火しつつも、また「漂流教室」を思い出して…というループ&ループ


こういう別れ方をすると、超後悔するので気をつけて!(「漂流教室」第1巻より)
ああん、これが最後の会話だなんて...


高橋芳朗師匠ほどではないものの、僕も基本的には妄想しがちなタイプなので、子どものころ、「お母さんが死んだら…」と考えるだけで泣き崩れていたように、結婚してからは「奧さんに何かあったら…」と思うだけで胸が超痛い。毎年、おみくじと一緒に奧さんの髪の毛を密かに財布に入れているのは、「最悪、未来の技術でクローンを…」と考えているからなのです(残念な文章)。中島みゆきさんの「わかれうた」とか、「そんな奴いるかよ (`∀´) アホカ」って突っ込まれがちですけどね、もし奧さんと別れたら、僕は確実に道に倒れて彼女の名を呼び続けると思いますよ、マジで。

って、心底どうでも良い文章を書いていますが(苦笑)、だからね、「ブルースが女装して、別れた奧さん気分に浸る」のって、まったくわからないけどよくわかる…。わからないけどよくわかるんですYO!ヽ(TДT)ノ 一応、最後の展開を雑に書くと、「映画冒頭で日本人留学生殺人事件の犯行を目撃したのは奧さん…ではなくて女装したブルースだったことが判明→犯人グループに拉致される→隙をついて逆転して助かるものの、すべてが露見してしまい、制服警官に降格→やっと素面に戻ったブルースはクリフォードに謝罪→未亡人から救いの手を差し伸べられながらも、『ルールに例外はない』と泣き笑い状態で自殺」って感じでして。ハッキリ言って、ブルースはクズだし、最後、救われないまま終わるのは自業自得としか言いようがないんですけどね、「人間ってのはままならないもんだよなぁ… (ノω・、)」と非常に胸を打たれた次第。自殺直後に流れるブタのアニメーションとか、涙でよく見えなかったです。


クリント・マンセルココ・サムナーの「Creep」を貼っておきますね↓ やべぇ、超泣ける!




その他、映画の序盤にあった「カタコトの日本語と切ない空手を披露して、あえなく惨殺される日本人留学生描写」や音楽の使い方などが好きだったんですが…。パンフレットに載っていた映画ライターの牛津厚信さんのコラムによると、ラストのビデオレターのくだりは映画オリジナルなんだそうで。これって、同じアービン・ウェルシュ原作の映画化作品「トレインスポッティング」で、ダニー・ボイルが「スパッドにだけお金を分けてあげた」という原作小説にはなかった優しいオチを付け加えたことを連想したというか。あの場面、スゲー良かったので、ジョン・S・ベアード監督、ちょっと好きになりました。

ということで、なんだか気持ちの悪い文章を書いちゃいましたが、この映画、スゴく好きです。R18指定なのは「コピーされたチンコが映るから」だと思うんですけど、アレをちゃんと見せることを決めた配給会社は超偉いと思うし、ほぼ全員が仮性包茎だったのは親しみを覚えましたよ (〃∇〃) ウフフ とりあえず源泉徴収が多めに戻ってきたらサントラを購入するつもりなのはもちろんのこと、揚げ物をしたことは一度もないんですが、近々、勇気を出して揚げマーズバー作りにチャレンジしたいと思っております (・∀・) オシマイ




アービン・ウェルシュによる原作小説。ちょっと読みたいなぁ。



ジャケットが素敵すぎるサントラ。これはかなり良さげな臭い。



ジョン・S・ベアード監督が共同プロデューサーを務めた作品。それなりに面白かった記憶。



アービン・ウェルシュの有名な青春小説。映画の方も好きではあるのよ。



なんとなく貼りたくなった汚職刑事映画。ニコラス・ケイジ版もデタラメで好き。