マッキー(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

マッキー(ネタバレ)

マッキー

三角絞めでつかまえて-マッキー

原題:Eega
2012/インド 上映時間125分
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
製作:D・スレーシュ・バブ、サーイ・コッラパーティ
撮影:センディル・クマール
音楽:M・M・キーラバーニ
出演:スディープ、サマンサ・ルス・プラブ、ナーニ
パンフレット:★★★(600円/普通の出来。コラムがタメになります)
(あらすじ)
家の向かいに住む美人の慈善活動家ビンドゥ(サマンサ・ルス・プラブ)に思いを寄せるジャニ(ナーニ)。一方、表向きは建設会社の社長で、裏ではマフィアの顔をもつスディープ(スディープ)もまた、ビンドゥに夢中だった。ある日、ジャニは勇気を出してビンドゥに告白し、2人は両思いになるが、金と権力とルックスで落とせない女はいないと思っていたスディープは激怒。ジャニをなぶり殺してしまう。やがて小さなハエとして転生したジャニは、殺された恨みを晴らし、ビンドゥを守るためスディープに立ち向かう。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




85点


インド映画には本当に驚かされるというか。例えば、僕を含めて、昨年日本公開された「ロボット」での「何の脈絡もない“蚊”との会話シーン」で口がアングリ状態になった人は多いと思いますが、現在公開中の映画「マッキー」の主人公は“ハエ”ですからね(「マッキー」はヒンディー語で「ハエ」という意味で、極細この人MACの戦闘機も関係ない…という無駄な文章)。「果たしてどんな映画なのか… (;`Δ´) ヌゥ」と興味津々でTOHOシネマズ 六本木ヒルズに行って来たんですが、「これはスゴいな!Σ(゚д゚;)」と超感心いたしました。

大雑把に説明すると、「ゴースト/ニューヨークの幻」のハエバージョンって感じ。序盤は、美女ビンドゥに2年間も片想いしているジャニがやたらと付きまとうんですが(すでにハエっぽいウザさ)、その片想い描写が“ひと昔前の映画風”というか、超ベタというか。観ていて少し恥ずかしくなったりもするんですけれども…。


主人公のジャニですが、人間体での登場はわずかだったり。顔、濃いですよね~。
三角絞めでつかまえて-ジャニ(ナーニ)

ヒロインのビンドゥ。ジャニに付きまとわれて迷惑なのかと思いきや、実は満更でもないのです。
三角絞めでつかまえて-ビンドゥ(サマンサ・ルス・プラブ)


ビンドゥのツンデレ振りは超愛らしいし、何よりも「ビンドゥにカーテンを閉められる→カーテンが開いている限り、外からずっと彼女を眺めてしまう自分が風邪を引かないように気を遣ってくれた!ヘ(゚∀゚*)ノ」「自分だけビンドゥから供物をもらえなかった→それだけ僕が特別な存在!ヘ(゚∀゚*)ノ」「空メールが送られてきた→内容は僕が決めて良いってことだ!ヘ(゚∀゚*)ノというジャニのポジティブな姿勢がなかなか清々しかったりもして(ストーカー認定ギリギリのレベルですがー)、結構微笑ましく観られるんです。そんなある日の晩、ジャニがビンドゥを自宅まで送ると、2人の心が近づいて、観客的には「想いが通じて良かったねぇ (´∀`)」って祝福したい気持ちになるんですが、その直後にジャニは拉致されてしまって…。


2人の距離が縮まる場面を貼っておきますね↓ 曲は「Kochemu Konchemu」でございます。




ジャニを誘拐したのは、建設会社の社長スディープ。コイツは殺人も厭わない悪党で、ビンドゥを狙っていたものの、ジャニが邪魔で落とせないため、リンチの末に殺してしまって… (ノД`) このジャニ殺害シーンは、コメディ映画の割にはなかなか凄惨で、観客的には良い感じに怒りが燃え上がるのです。


自分と同じ役名を演じたスディープ。憎たらしい悪役を嬉々と演じてました。
三角絞めでつかまえて-スディープ(スディープ)


で、死んだジャニの魂はハエの卵に乗り移って、ハエとして復活!(「He's back!」のコーラスに爆笑) 「ミクロキッズ」ライクな“ハエの目から見た世界”描写が繰り広げられた後、偶然、スディープの家に辿り着き、「自分を殺したのはスディープ」ということを思い出して、復讐を決意しまして。「顔の近くでブンブンと飛び回る」「耳の中に入る」「身動きできない時、顔の上で動き回る」「寝ようとすると近くで飛び回って不眠に追い込む」といった“虫にされたらイヤなこと”を次々と実践するんですね。映画中盤の「運転中のスディープの目に飛び込んで車がクラッシュ→窓に「I WILL KILL YOU!」の文字を書く→インターバル」の流れは、かなりカッコ良かったです。


インド映画にはよくある途中休憩シーン。まぁ、そのまま続いてましたがー。
三角絞めでつかまえて-インターバル!


その後は、ジャニはビンドゥの涙を使って、彼女に「自分がハエに生まれ変わったこと」を伝えまして。「一体どうなるのか」とドキドキしてたら、ビンドゥったら、ハエになったジャニをスムースに受け入れちゃうから、さすがはインド(ハエと隠れん坊したりする!)。憎きスディープを殺すため、緻密なアクセサリーを作る腕を活かして、対殺虫剤用ゴーグルやカギ爪の武器、トレーニング器具などを作って大活躍するんです。「Ga Ee Ga Ee Ga Ee Ga」をBGMに、「マッキーが筋トレ→重い物が持てるようになる→攻撃手段が増える」くだりは、かなり燃えましたよ。


「Ga Ee Ga Ee Ga Ee Ga」が流れるトレーニング動画を貼っておきますね↓ 「The Beautiful People」っぽくて好き。




話のオチを書いておくと、スディープに「ハエの正体はジャニ」「ビンドゥも協力してた」ということがバレて、2人は窮地に立たされるものの、ジャニの機転&自己犠牲によって(伏線アリ)、スディープを焼き殺しまして。僕は感動して、「ジャニ、頑張ったね… (ノω・、)」と泣いていたんですが、なんと再度ハエとして復活して、ビンドゥに近寄るチンピラを成敗したからビックリ。他のハエとともに歌い踊るラストシーンは、愉快ではあるんだけど、“地獄からの使者”感があって不気味でもあるというか。「のちのベルゼブブである」なんて言葉が脳裏に浮かんでしまったのは、考えすぎなんでしょうか…(考えすぎ)。


最後のチンピラを針で脅すシーン、少し怖かったです… (・ω・;) ウーム
三角絞めでつかまえて-目に針!


まぁ、「ザ・フライ」のような「“ハエとしてのサガ”との葛藤」がもっとあるのかと思ってたら、一切なくて。その他、「さすがにゴーグル云々だけで殺虫剤は防げないだろ」とか、つまらないことを言い出したらキリがない感じではあるんですけどね。よくよく考えてみれば、「お父さんが息子に聞かせている作り話」という体裁なので(オープニングとエンディングに会話が入る)、基本的には変なところも許せる感じでした (o^-')b オッケー

そもそも「ハエが主人公」という独創性だけで100点あげたい心境なんですよ。しかも、企画倒れじゃなく、ちゃんと面白い王道のエンタメ映画に仕上げているから、感心する気持ちがさらに倍。ハエになってからは一切話せないのに、ジャニの感情がちゃんと画面から伝わってくる演出も素晴らしかったし、ハエvs人間の攻防も見応えあったし…。制作費は6億8千万円ぐらいということで、なんとなく「そのくらいの予算なら日本でも作れる映画なんだよなぁ」と思ったりもした次第。

ただ、スゲー今さらなことを書くと、いくら多少可愛くデザインしたとはいえ、気が付けば僕はハエが大嫌い。ごめんなさい、大画面でアップになったりするのは普通に気持ちが悪かったので、85点に落ち着いた次第。もうね、ハッキリ言って、こんな映画はなかなかないので、少しでも興味が湧いた人はぜひ劇場へ行ってみて!ヘ(゚∀゚*)ノ オススメ!




ダウンロード専用のサントラ。値段も手ごろなので買っちゃおうかしらん。



昨年、日本公開されたインド映画。僕の感想はこんな感じであり、こんな感じです。


連想した映画。可愛かったデミ・ムーアが、まさかのちにこんなことになるとは思わなんだ (・ε・)



デヴィッド・クローネンバーグ監督の名作。グロいけど、素晴らしい映画なのです。