リアル~完全なる首長竜の日~(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

リアル~完全なる首長竜の日~(ネタバレ)

リアル~完全なる首長竜の日~

三角絞めでつかまえて-リアル~完全なる首長竜の日~

2013/日本 上映時間127分
監督・脚本:黒沢清
企画プロデュース:平野隆
エグゼクティブプロデューサー:田代秀樹
プロデューサー:下田淳行
共同プロデューサー:幾野明子
ラインプロデューサー:及川義幸
原作:乾緑郎
脚本:田中幸子
撮影:芦澤明子
照明:永田英則
美術:清水剛
装飾:石田満美
録音:渡辺真司
VE:鏡原圭吾
編集:佐藤崇
音楽:羽岡佳
音楽プロデューサー:桑波田景信
主題歌:Mr.Children
VFXスーパーバイザー:浅野秀二
スクリプター:松澤一美
助監督:吉村達矢
製作担当:馬場三輝
出演:佐藤健、綾瀬はるか、オダギリジョー、染谷将太、堀部圭亮、松重豊、小泉今日子、中谷美紀
パンフレット:★★★★(600円/値段の割にはボリュームがあるし、わざわざシールでネタバレを封印する姿勢は好き)
(あらすじ)
浩市(佐藤健)と淳美(綾瀬はるか)は幼なじみで恋人同士だったが、淳美は1年前に自殺未遂で昏睡状態に陥り、いまも眠り続けていた。浩市は淳美を目覚めさせるため、「センシング」という最新医療技術を使って淳美の意識の中へ入り込み、彼女がなぜ自殺を図ったのかを探る。センシング中に出会った淳美は、浩市に「首長竜の絵を探してきてほしい」と頼み、浩市はその絵を探しながら淳美との対話を続ける。しかし、センシングを繰り返すうちに、浩市は見覚えのない少年の幻覚を見るようになり……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




60点


※今回の記事は、黒沢清監督のファンは不快になる怖れがあるので、読まない方が良いです。
※今回の記事は、「ジェイコブス・ラダー」のネタバレに触れているので、気をつけて!


最初はあまり興味がなかったんですけど、「あの黒沢清監督が『主人公が恋人を助けるために精神世界に入っていく』という設定のSF映画を撮った」と聞いて、気になりまして。さらに、今週のムービーウォッチメンの課題映画にもなったので、ユナイテッド・シネマとしまえんレイトショー割引を利用して、観て来ました。「変な映画… (・ω・;) ウーン」と思ったり。ハッキリ言って、黒沢清ファンのYOU伊東くんの記事とか原作との違いも書いてあるカゲヒナタさんのレビューとか読めば十分ではあるんですが、一応、僕なりの感想を残しておきますよ。


レイトショー割引がある映画館って、ありがたいですよね~。
三角絞めでつかまえて-としまえん


黒沢清監督の作品はたまたま6本くらいは観てますけど、正直、そんなにハマる感じではなくて。いや、例えば「CURE キュア」とか「トウキョウソナタ」は面白かったし、「回路」の飛び降りシーンとかは大好きなんですがー。だから、今から書くことについて、黒沢清ファン的に「全然わかってない!ヽ(`Д´)ノ キィィィ!」と思うところがあるかもしれませんが、本当に気にしないでいただけると幸いです m(_ _ )m スミマセン


なんとなく黒沢清監督の出世作「CURE キュア」の予告編を貼っておきますね↓




映画が始まると、浩市が自殺未遂で意識不明の淳美の精神世界に“センシング”を使ってダイブして、何とか彼女を目覚めさせようとする様子が描かれまして。浩市は淳美が15年前に描いた“首長竜の絵”を探すことになり、貸倉庫に行ったり、実家に帰ってみたり、幼いころに2人が出会った飛古根島に行ったりするんですね。「心の中に入る」といえば、近作では「インセプション」などがありますが、僕的には「ミッション:8ミニッツ」っぽいと思いました。


淳美は漫画家という設定。原稿を実際に描いたのはこの方だそうです。
三角絞めでつかまえて-淳美と浩市


この前半、彼女が描く「ルーミィ(ROOMI)」という作品内に出てくる死体が突然出現したり、濡れた少年が現れて不自然なアップになったりと、Jホラーテイスト全開で結構面白いんですよ。想念による人工物=フィロソフィカル・ゾンビの“レタッチしすぎて違和感まみれのデリヘル嬢のプロフ画像”っぽいムードも不気味だったし…って、つい風俗とかよく知らないこと書いちゃった (ノ∀`) シッケイシッケイ あと、センシングするための装置も医療器具っぽくて良かったですね~。


これがセンシング用装置だッ! ひと昔前だったら、エド・はるみさんが宣伝に駆り出されて「センシンぐぅ~ (o´3`)b」とか言いそうな気がします(不要な文章)。
三角絞めでつかまえて-センシング


ところが! 映画中盤で「実は昏睡状態だったのは浩市の方だった!∑(゚Д゚)」ことが明らかになると、ホラー風味は減少して、淳美が浩市を救おうとする純愛SFモノっぽい雰囲気に。で、15年前、2人が飛古根島で暮らしていたころをしっかりと思い出してみれば、「2人の仲に嫉妬したモリオという少年が溺死するのを見殺しにした→罪悪感から首長竜のせいにして絵を描いて現実逃避していた」ことが発覚。連載漫画のタイトルも「MORIO」のアナグラムだったことがわかったりするんですけど…。前半と比べると地味に進行するので、綾瀬はるかさんが演じる淳美の頑張り具合は可愛いんですが、少し退屈だったりもして。


寝たきりだったのは浩市の方でした。ちなみに、自殺したのではなく酔って川に落ちただけというね (゚д゚) バカダナー
三角絞めでつかまえて-実は浩市が寝たきり


そんな中、現実世界での浩市の容態は悪化する一方でして。彼がとうとう心停止状態に陥ってしまうと、淳美は「アタシが何とかするでガース!(゚∀゚し」とレッツ・センシング。精神世界の浩市がモリオと一緒に船に乗って逝ってしまいそうになるところを、「逝っちゃダメ絶対!ヽ川`Д´)ノ」と引き留めたら、浩市ったら意外とアッサリ戻ってきまして。このまま目が覚めて終わるのかと思いきや! モリオが首長竜にトランスフォームするから口がアングリですよ。


まさか首長竜が出てくるとは… (`Δ´;) ヌゥ
三角絞めでつかまえて-首長竜登場!


僕は予告編を観てなかったので、心底ビックリしたというか、ごめんなさい、笑っちゃいました。正直、ここからはあまり真剣に観られなくて、むしろ「“逆に”面白い」というか。“首長竜=淳美に恋をしてたモリオ”だから仕方ないんですけど、淳美に「ダメよ!」とか言われるとスゴスゴ引き下がるし、最後だって彼女がペンダントを渡したら簡単に去って行くしさぁ。いや、首長竜を出しちゃう姿勢は好きだけど、あの「ケガをさせない“甘噛み”な暴れっぷり」は「グエムル-漢江の怪物-」を通過している身としては非常に物足りなくて(「首長竜=浩市の罪悪感の産物だから、造物主には致命的なダメージを与えられない」とも解釈できますが)。結局、浩市の命は助かるワケですが、「よござんしたねー (・ε・)」程度の心境だったんです…がしかし!


「グエムル-漢江の怪物-」の素晴らしすぎる襲撃シーンを貼っておきますね↓




「浩市が病室のベッドで寝ていて、近くに淳美が座っている→浩市が目を覚ます」というラストカットで、「そういうことだったのか!Σ(゚д゚;)」と衝撃を受けたんです。とは言いつつもパンフレットを読んだら黒沢監督ったら全然そんな風なことは言ってなかったので僕の独りよがりなのかもしれませんが、ちくしょう、勝手に解釈を書いておくと、ニュアンスは違うけど「ジェイコブス・ラダー」の終わり方を思い出したというか、「すべては昏睡状態の浩市が見た夢だったのではないか?」と。


なんとなく宮崎吐夢さんの「私事」を貼っておきますね↓(「宮崎吐夢記念館」収録ダヨ!(o^-')b オススメ!)




序盤の「浩市が運転する車の外の風景が変」といった演出は、そこが精神世界であることを現してたワケですが、例えば「中谷美紀さん演じる医師・相原の喋り方」とか「センシング成功後の変な拍手」とか「そもそもセンシングという高度な技術」とか、それらの要素もおかしいと言えばおかしいワケで。劇中の違和感は「すべてが夢」ということを示唆していたのではないか? ラストシーンで現実の淳美が見せる表情の優しさなどから、彼女がずっと側にいてくれたからこそ、浩市はその想いを無意識に感知して、自分を救ってくれる淳美を夢の中に登場させたのではないか? ううむ、「はい、全部的ハズレ!(・∀・) カエレ!」と言われるかもしれませんが、僕的にはね、「ああん、素敵な愛の物語じゃない… ( ;∀;) イイハナシダナー」とスムースに合点がいったんです…がしかし!(2回目)


この相原医師の変な話し方などは、夢の中だったから…って思うんですが、どうですかね (;`∀´) エヘヘ
三角絞めでつかまえて-医師・相原(中谷美紀)


エンドクレジットで流れたミスチルの歌に超ガッカリ ('A`) いや、カラオケでの愛唱歌が「雨のち晴れ」な僕ですよ、ミスチルの歌自体は嫌いじゃないんですけど、流すタイミングが最悪というか、ラストの余韻を台無しにしちゃってるじゃないですか…。エンドクレジット中にどんどん出てくる「首長竜のシルエット」はね、「黒沢監督なりの円谷オマージュなのかしら… (´∀`;) マァイイヤ」くらいに許せたけど、あのタイミングでのこの曲はないと強く思いました。


「REM」のMVを貼っておきますね↓ 歌詞の意味は映画と結構重なるんですけどね…。




ということで、僕的には「Jホラーっぽくて愉快!ヘ(゚∀゚*)ノ ホエホエ!→地味になっちゃったなぁ (´・ω・`) ウーム→首長竜かよ!Σ(゚д゚;) マジ!?→意外と良い話じゃない… (ノω・、) グスン→余韻台無し! (`Δ´) ザケンナ!」という心の変遷があり、最終的には「変な映画だったなぁ… (・ω・;) ウーン」という感想に落ち着いた次第。かなりクセのある作品なので、無闇にオススメはできないけど、黒沢清監督や佐藤健さん、綾瀬はるかさんのファンなら、観に行っても良いんじゃないでしょうか。




乾緑郎先生による原作小説。内容がかなり違うみたいです。



漫画バージョンも貼っておきますね。



サントラです。



黒沢清監督作。観といて損はないと思いますぞ。



ダンカン・ジョーンズ監督作。オチがあまり好きじゃないんだよなぁ。



エイドリアン・ライン監督作。もう20年以上前の映画なのね…。