トールマン(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

トールマン(ネタバレ)

トールマン

三角絞めでつかまえて-トールマン

原題:The Tall Man
2012/アメリカ、カナダ、フランス 上映時間106分
監督・脚本:パスカル・ロジェ
撮影:カマル・ダーカウイ
編集:セバスティアン・プランジェール
音楽:トッド・ブライアントン
出演:ジェシカ・ビール、ジョデル・フェルランド、ウィリアム・B・デイビス、サマンサ・フェリス、コリーン・ホイーラー、ガーウィン・サンフォード、ジャネット・ライト、イブ・ハーロウ、ジョン・マン、ティーチ・グラント、フェーン・ダウニー、ジェイコブ・デイビス、スティーブン・マクハッティ
(あらすじ)
6年前に鉱山が閉鎖され、急速に寂れていく炭鉱の町コールド・ロックで、次々と幼い子どもたちが行方不明になる事件が発生。人々は正体不明の誘拐犯をトールマンと名づけ恐れていた。町で診療所を開く看護師のジュリア(ジェシカ・ビール)は、ある夜、自宅から何者かに連れさられた子どもを追って傷だらけになりながらも、町外れのダイナーにたどり着く。しかし、ダイナーに集う町民たちは奇妙な行動をとり、やがて想像を絶する真実が明らかになる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


※正直、そんなにオススメしたいワケでもないんですが、この「トールマン」に関しては間違いなくネタバレを知らない方が楽しめると思うので、興味がある方はこのブログの感想文を読まない方が良いです。
※今回の記事は、「ミッドナイト・ミート・トレイン」のネタバレに触れるので、知りたくない人は気をつけて!
※今回の記事は、知った風なことが書かれているので、そういうのが苦手な人は気をつけて!


パスカル・ロジェ監督の名前は「マーターズ」で知ったんですが、そんなに好きにはなれなくて。「よーし、お父さん、彼の作品をモリモリ観ちゃうぞ!ヘ(゚∀゚*)ノ」なんてつもりは全然なかったんですけど、来月2日に閉館するシアターN渋谷のクロージング作品の1つということでね、「お世話になったし、観ておくか (´・ω・`) シンミリ」と、劇場に足を運んで来ました。「これは問題作!Σ(゚д゚;) ビックリ!」と思いましたよ。予想しないところに着地する映画がすべて面白いとは言いませんが、この「トールマン」に関しては、本当に思ってもみなかったオチで驚いたし、結構考えさせられたりして…。だから、これからネタバレ全開の駄文を書きますけど、興味がある方はとりあえず読まないで、先に映画を観た方が良いと思いますヨ (・ε・) ホントダヨ


一応、看板を撮ってみました。
三角絞めでつかまえて-シアターN渋谷の看板

なんと「とおる」という名前の人は1000円で観られるとか。こういう企画って良いよね。
三角絞めでつかまえて-“とおる”さん割引


舞台は、活気を失った炭鉱の町コールド・ロック(「○○ロック」という地名を聞くと、すぐスティーブン・キングを連想しちゃう安易な僕 (*ノ▽ノ) ハズカシッ)。映画冒頭、顔面に傷を負ったジュリアが、ドッド捜査官(スティーヴン・マクハティ)から「坑道で子どもは見つからなかった…」みたいなことを言われて、そこから映画は36時間前に遡りまして。最初は「夫を亡くした看護婦ジュリアが、ベビーシッター(イブ・ハーロウ)に幼い息子デヴィッド(ジェイコブ・デイビス)を預けながら、小さい診療所を独りで切り盛りしてるんですな (´∀`) ガンバッテ」って感じだったところ、突如、謎の人物に子どもをさらわれてしまうんですね。映画的に考えれば、そりゃあそういう展開になると覚悟はしてましたけど、もうね、同じ子を持つ親としては「おのれ、トールマンめ!ヽ(`Д´)ノ」「子どもを返せー!ヽ(`Д´)ノ」と超憤るワケです。


コールド・ロックでは、なんと18人もの子どもが失踪していて、FBIも絶賛捜査中。
三角絞めでつかまえて-行方不明になった子どもたち

町では「“子とり鬼”トールマンの仕業よ… ( ´д)(´д`)ヒソヒソ」なんて都市伝説が囁かれてたりもしてね。
三角絞めでつかまえて-街にはトールマンのウワサが...

そんな中、ジュリアと息子のデヴィッドは、仲良く暮らしてたんですが…。
三角絞めでつかまえて-仲良し親子

突然、謎の人物にデヴィッドがさらわれちゃう!
三角絞めでつかまえて-トールマン出現!?

ジュリアは必死に後を追い、体を張って戦闘するものの、結局は見失ってしまい… (ノД`) カワイソウ
三角絞めでつかまえて-追ってみたものの...

ケガを負った彼女がダイナーに逃げ込むと、変なムードの町の人たち。もしかしてトールマンとグル!? Σ(゚д゚;) マジ!?
三角絞めでつかまえて-怪しい街の人たち


デヴィッド誘拐犯との戦闘に疲れ果てたジュリアがダイナーで助けを求めてみれば、町の人たちはちょっと変というか、誘拐犯とグルっぽい雰囲気でして。危険を感じて何とか逃げ出すと、廃墟でデヴィッドを見つけるものの、そこで何者かに昏倒させられるんですが…。デヴィッドを拉致したのが実の母親(コリーン・ホイーラー)だったからビックリ! なんと子どもたちをさらってたのはジュリアの方だったと(子どもは洗脳されてた)。となると、「デヴィッドの母親がトールマン風の格好をする必要はないのでは?(゚Д゚)」とか「いろいろ理由を言ってたけど、やっぱり警察に通報するべきだったのでは?(゚Д゚)」とか思わなくもないけど、そこはジャンル映画のミスリードサービスということで目をつむりますよ(偉そうに)。


さらったのは実のお母さん。伏線として、序盤に子どもを失ってションボリしてるシーンがあったりしました。
三角絞めでつかまえて-本当のお母さん

可哀相な母親だと思ってたら、連続誘拐犯だったジュリア。同情して流した涙を返せ!ヽ(`Д´)ノ
三角絞めでつかまえて-捕まってわかった真実


何はともあれ、「犯罪者が捕まって良かったですな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」なんて思ってたら、ジュリアがデヴィッドの母親に反撃。仲良くしていた“言語障害を持つ少女”ジェニー(ジョデル・フェルランド)の助けもあって、デヴィッドを自宅の地下にある坑道に連れて行ってしまって…。で、家に乗り込んできた警察に逮捕され、連行中、顔面にケガを負う→冒頭のシーンに戻るんですけど、ドッド捜査官がジュリアに「坑道で子どもは見つからなかった…」と言うシーンが「どこに子どもを隠したんだ?」って意味だったりと、全然違うように見えるのが非常に面白かったです。


逮捕され、町の人たちの敵意を浴びまくるジュリア。まったく同情できませぬ。
三角絞めでつかまえて-タイーホされました


で、ジュリアに地下坑道へ連れられて行ったデヴィッドは行方不明になっちゃってたんですが、凡庸な発想しかできない僕は、すっかり「ミッドナイト・ミート・トレイン」のオチみたいな超自然的な存在の仕業だと思ってたんですよ。ところが! ラスト、クソのような環境のクソのような日常にウンザリして、どこか別の場所に行きたい→トールマンに連れ去られることを夢見ていたジェニーの前に“本物のトールマン”が登場すると、まったく予想してなかったオチに突入して、口がアングリ状態に。

実はトールマンは“死んだと思われていたジュリアの夫”であり、彼ら夫婦は“ある組織”に属していまして。「低所得の荒れた環境で育つと、残念な子どもしか育たない→物心がつく前にそういう場所から子どもを救い出して、ちゃんとした教育を受けさせてくれる金持ちの里親に預ける」という活動を無償で行ってたというね…。ただ、ジェニーだけはある程度の年齢に達していたため、洗脳できない→迷いを捨てきれず、最後は画面に向かって、「(実の親を捨てて、クソのような環境から脱した)アタシの選択は間違ってないよね?川;´Д`) ネ?」と問いかけて、映画は終わってました(ちなみにジュリアは、事実を隠すためにあえて大量殺人鬼として裁かれる感じ)。


金持ちの家の子どもになったものの、迷いを捨てきれないジェニーなのでした。
三角絞めでつかまえて-金持ちの家の子どもに!


何に感心したって、「ボランティア組織が子どもの幸せを願って誘拐する」という発想ですよ。ハッキリ言って、ジュリアと夫の活動が「倫理的にアウト!(o^-')b」なのはパスカル・ロジェ監督も十分承知してて、彼らのことを“正義”とは扱ってないんですけど(というか、劇中に出てくる“子どもをさらわれる親たち”は、環境は荒れてるけど愛情はあるように描かれてる)、少しだけその行動が正しくも思えちゃうのが恐ろしいというか。幼児虐待のニュースを見たりするとさ、「意外とアリ」な気もしなくはなかったりするじゃないですか…。そういう意味で、結構な問題作だと思ったり。

とは言いつつも! ボランティア活動に従事してる風の写真が部屋に飾られてた→散々頑張ってきた風のジュリア夫婦ですけど、今年、「隣る人」「光の子どもの家」の活動を見た僕からすれば、彼らの行動はやっぱり浅薄な選択ですよ(偉そうな顔で)。彼らも「隣る人」さえ観ていれば、「もう一度、地域社会と連携して頑張ってみよう!( ・∀・)人(・∀・ ) ガンバ!」と思い直したかもしれないので、ぜひ海外でも上映してほしいところですな~(フィクションと現実を混同した文章)。


なんとなく「隣る人」の予告編を貼っておきますね↓ 良い作品!




ってことで、映画をよくよく振り返れば、粗が多い気はしますが(「あんな短期間で子どもをどうやって洗脳するの?」とか)、僕はスゲー驚いたし、「教育格差をなくすために、自分の小遣いを減らして学資保険の額を増やした方が良いかしら… ('A`)」とか、子育てについても考えさせられたし、観て良かったと思いましたよ。そして、トールマンにさらわれないよう、これからはもっと娘を大事に育てようと、冬の夜空に誓ったのでした (・ε・) ナニコノオチ




パスカル・ロジェ監督の名を有名にした前作。僕の感想はこんな感じ



なんとなく思い出したM・ナイト・シャマラン監督作。そんなに嫌いじゃないです。



なんとなく引き合いに出しちゃった北村龍平監督作。僕の感想はこんな感じ