レバノン(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

レバノン(ネタバレ)

レバノン



原題:LEBANON
2009/イスラエル、フランス、イギリス 上映時間90分
監督・脚本:サミュエル・マオズ
出演:ヨアヴ・ドナット、イタイ・ティラン、オシュリ・コーエン、ミハエル・モショノフ、ゾハール・シュトラウス
(あらすじ)
イスラエルがレバノンに侵攻した1982年6月、前線に配置されたイスラエル軍の若き戦車兵4人。彼らは戦車のスコープ越しに、砲撃で吹き飛ばされる兵士や無惨に殺される市民たちなど、悪夢のような光景を目の当たりにする。やがて、対戦車弾の直撃を受け敵中に孤立した彼らの身にも危機が迫り、彼らはこの地獄から脱出しようとするが……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




59点


※今回の記事には、残酷な文章が書かれているので、苦手な人は要注意!

昨年、同時期に「戦場でワルツを」「カティンの森」を観たこともあり、「年末、浮かれてるような時こそ、こういう作品を観ておこうかしら (`・ω・´)キリッ」と思って、シアターN渋谷に観に行きました。2009年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品だそうですが、感想は…そこそこ面白い戦車映画でしたよ。


窓の端っこの方に展示がありました。
三角絞めでつかまえて-シアターNの展示

ミリタリーには基本的に興味ないんですが、プラモを見るとテンションが上がってしまうのは男の子だから?
三角絞めでつかまえて-戦車プラモデル

この戦車、北村祥三さんが改造して作ったそうですが…僕はハンパじゃなく不器用なので、超尊敬!
三角絞めでつかまえて-アップ


映画は、1982年に勃発したレバノン戦争の“1日目”のお話でして。あまり事前情報を入れてなくて、「『戦場でワルツを』っぽい感じなのかな~」なんてボンヤリ思ったりしてたんですが、主役は4人の若い戦車兵たちで、冒頭から映画終了まで一歩も外に出ることもなく、ずっと戦車の中にいるんですね。高性能のスコープから外を見られるものの、むさ苦しい&息苦しい感じが全編漂ってました。

戦車内には「戦車は鉄で、人間は鋼鉄でできている」という「鋼鉄ジーグ」を連想させるカッコ良さげな標語が貼ってあったりするんですが、戦車兵たちは全員“単なるフツーの若者”なので、「砲撃をためらう→そのせいで味方兵士が死ぬ→また車が来たので今度は砲撃!→罪のない一般人が片手と両脚が吹き飛んだ状態で絶叫する」という“お題:戦場であったイヤなこと”的なエピソードが連発状態に。ゴア描写自体は好みでしたけど、観ていてかなりブルーになりました。なんか、警察にいたころを思い出しちゃったりもして…。

戦車チームの指揮官がおかしくなったりとか、とにかく軍隊の良い面は1ミリも描かれてないです。正直、「さすがにここまで酷くはないだろ」と思ったんですが、サミュエル・マオス監督は実際に戦車兵だったそうで、かなりリアルに描いてるみたいなんですね(砲撃をためらったエピソードは実話だとか)。いや、本当に恐ろしいなぁと。ファランヘ兵が戦車兵たちには気の良い奴っぽいのに、捕虜のシリア人には「ホテルの部屋に入ったら、まず片目をスプーンでえぐる」「でも、もう一つの目は残しておく。何をされているか見えるようにな」「急所を切りとる」「最後は2台の車を使って引き裂く」みたいなことを笑顔で囁くというシーンも「やめてー (((゜д゜;)))」って感じでした。

最後は、実はお偉いさんも「どうすればよいのやら… (ノДT)」みたいな状態だったことが発覚。四苦八苦した挙げ句、なんとか戦場から脱出して、気がつけば冒頭と同じようなひまわり畑の中にいた…って感じでした。「お母さんに無事だと伝えて」と死亡フラグを立てた感がアリアリだった操縦兵が、案の定、死んじゃったのは可哀想でしたな… (´・ω・`) 

正直、中盤のグダグダ振りとかはあまり好きになれないんですが、戦車の中だけで物語が進む映画なんて初めて観たので、「そんなに嫌いにはなれない作品ですな」「こういう作品こそ宇多丸師匠の批評を聴いてみたいけど、番組的には盛り上がらないだろうな」な~んて思っていたんですが! 「映画秘宝2011年02月号」の紹介記事を読んだら、ミリタリー系の映画評では実に信頼できるライターの大久保義信さんがこんなことを書いていらっしゃったんですね↓


『レッド・アフガン』『戦場でワルツを』と比べると、いまひとつ、というか“いまみっつ”
「“何でも見える照準器”や“何でも聞こえてくる無線機”によって、せっかく戦車内という密閉空間を選んだのに説明過多になってしまい、緊張感とストーリーの練り上げに失敗しているからだ。またここでの『戦車』は、不条理な軍隊の象徴であって『戦車』ではない。ところが、そのアイディアがあまり生かされてないのヨ」
「例えば『白燐弾の使用は国際法で禁止されている』というセリフがあるが、そんな条約はない。それに白燐弾が『なにもかも焼き尽くす』なんてこともありません」



って、結構手厳しい評価。まぁ、「惜しい!」と思っているからこそ、苦言を呈されている感じなんですが、モロに人の影響を受けやすい僕的には「あら、そうなのネ」とアッサリ心の中で点数がダウンしちゃいました(“自分”がない感じ)。

いや、でも、そこそこは面白かったので、興味がある人は観ても良いんじゃないですかね。シアターN渋谷でしか上映されてないっぽいけど、来年の1月7日にはDVDがリリースされるので、地方の人はそれを待っても良いかと。僕的にはとりあえず「レッド・アフガン」を観たいなぁと思っております。




大久保義信さん絶賛の戦車映画。今、スゲー観たかったりします。



アカデミー外国語映画賞を「おくりびと」と争った作品。僕の感想はこんな感じ



昨年のこのころに観たキツめの映画。僕の感想はこんな感じ





※蛇足

ちなみにこの「レバノン」という言葉を聞いた中年男性の3割くらいは、ザ・ドリフターズバージョンの「いい湯だな」の加藤茶さんのパートに「レバノン」を加えた“大して気が利いてないオヤジギャグ”をつい口ずさみたくなる気がするんですが…いかがでしょうか?(「レバノンノン」で検索すると結構引っ掛かる) いや、僕も映画を観る前は「この記事は替え歌の歌詞から始めようかな~」なんて思ったりして、今、「実行に移さなくて本当に良かったなぁ… (`Δ´;)」と心から思っております(まぁ、結局、ここに書いているんですが)。みなさんも気をつけて!


一応、貼っておきますね↓




おしまい (・∀・) レバノンノン