「たくさんの募金をいただきまして、ありがとうございました。」という文章に出会い、一瞬「ん?」となりました。

 

 「いただきまして」はこのままでいいのか、それとも「頂きまして」と漢字に直すべきなのか、と迷ったのです。

 

 というのも、この文章を書いた方が、「頂戴いたしまして」の意味としたかったのであれば「頂きまして」とすべきであり、そうではなくて、「募金に応じていただいて」という意味で使いたかったのであれば平仮名で書くべきだからです。

 で、この文章はどちらなのか、ということです。

 

 そこで、今回のアドバイスのために、この二つを整理してみます。

 

1 「(物などを)もらう」の謙譲語として使う場合(動詞)

  →漢字で書く。(頂く)

  用例→お中元を頂く、ねぎらいの言葉を頂く

 

2 「(何かを)してもらう」という意味で使う場合(補助動詞)

  →平仮名で書く。(いただく)

  用例→「お越しいただく」「ご覧いただく」「ご足労いただく」「・・・していただく」

       「・・・させていただく」

 

 ということで、動詞の場合は漢字で、補助動詞の場合は平仮名で書くと覚えておけばよさそうです。

 

 では今回の添削対象の文章はどうか。

 「たくさんの募金」(お金)をもらうの謙譲語として使ったのであれば「頂く」と漢字表記するのが正しく、「募金に応じていただき」の意味で使いたかったのであれば平仮名表記が正しいということになります。

 

 いろいろ考えてみたのですが、結局、今回の文章についてはどちらにも解釈できそうです。こういう場合、厳密に添削するなら、書いた方にその意図を尋ねた上で訂正するかしないか判断すべきでしょうが、今回の文章は礼状の類いなのでそこまでする必要はないだろうと考え、訂正もしませんでした。

 

 ちなみに、「お酒を頂く」という場合、お酒をもらったという意味にもなりますし、お酒を飲んだという意味(飲むの謙譲語)にもなります。食事の前の「いただきます」は平仮名です。

 やはり日本語は難しいですね。