歯医者さんの豆知識:歯列矯正後の歯茎の下がりについて考える! | デンタルケア神谷町の独り言 φ(.. ) Deep breathing of dental care Kamiyacho

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2012年7月よりスタートしました当院ブログ!!これからも歯科の豆知識から雑学!!スタッフの小言などジャンルを問わず気まぐれに記載していきますのでどうぞよろしくお願いします(^ ^)/

☆★☆歯列矯正後の歯茎下がりを改善する方法☆★☆

<歯茎や骨の状態を検査する>

歯茎下がりの状態や歯周ポケット周りの骨の状態を確認するために検査を行います。写真やレントゲン、CTレントゲンなどで現在の状況を確認します。歯茎だけが下がっているのか、周りの骨がなくなっているのかなど精密な検査を行い、治療法を決定します。

<歯石や歯の周りの汚れを徹底的にきれいにする>

歯石や汚れを取り、歯茎からの出血がない状態にしていきます。歯石や汚れの中には細菌が多く棲んでいるため、残したままの状態で処置をすると感染してしまいます。そのため徹底的に歯や歯茎をきれいな状態にします。

<歯茎下がりの部分に歯茎を移植する方法>

歯茎下がりの部分に他の部位から歯茎を移植し、歯の根元を覆います。主に上顎から歯茎を取り、歯茎下がりの部分に移植し、糸で固定します。これを遊離歯肉移植術(ゆうりしにくいしょくじゅつ)といいます。歯茎下がりの部分は歯茎が薄くなっています。強くて厚い歯茎を移植し、歯茎下がりが起きにくい歯茎にしていきます。近年はできるだけ歯茎を傷つけないように手術用顕微鏡(歯科用マイクロスコープ)で行われるようになってきています。そのためより細い糸で歯茎を固定するため、処置後の腫れや痛みの回復が早くなります。

 

 

<抜糸後、柔らかい歯ブラシで磨く>

処置の翌日は消毒を行います。多くの場合、処置した部分には歯茎用の包帯がつけられますので、その部分の歯磨きはできません。7日から10日後に包帯と縫った糸を取り除きます。歯茎はまだ弱いので柔らかい歯ブラシでやさしく磨きます。

<3ヶ月程度で歯茎がなじんでくる>

歯茎は3ヶ月程度たつと周りの歯茎に馴染んできます。徐々に普通の硬さの歯ブラシに変更し、汚れが残らないようにします。半年程度でしっかりとした歯茎になってきます。

☆★☆歯茎下がりの治療を得意とする歯周病専門医とは☆★☆

歯並びを専門的に治す歯列矯正専門医や、歯の根の治療を治す根管治療専門医のように歯茎の治療を専門的に治す歯周病専門医がいます。歯周病専門医は歯周病によって溶けてしまった骨を再生したり、歯周病の進行を抑えたりする専門医です。歯茎下がりや歯と歯の隙間を改善する治療を行っています。

☆★☆歯列矯正後に歯茎下がりが起こる原因☆★☆

<もともと歯茎下がりが起こっていた>

歯列矯正を行う方は歯並びが悪い方です。もともと歯茎から飛び出していた歯はほとんどの場合歯茎下がりが起こっています。歯列矯正によって正しい位置に動かすことはできますが、下がっていた歯茎は歯の位置が変わっても、そのままになってしまうことが多いです。そのため歯列矯正後の歯茎下がりが起こったように見えてしまうのです。

<歯と歯が重なっていた>

重なり合った歯と歯の間の歯茎はもともと歯茎が下がっていて、歯列矯正で重なりを取ると歯茎が下がったように見えてしまいます。また、歯間乳頭(しかんにゅうとう)という歯と歯の隙間を埋めている部分がなくなり、隙間が広がって見えてしまいます。

<顎を広げる治療を行った>

歯を抜かずに歯列矯正を行った場合、歯を並べる隙間を作るために顎を広げます。そのため歯の外側の骨や歯茎が薄くなり、歯茎下がりが起こることがあります。歯列矯正を行う場合、歯を抜くか抜かないかは矯正担当医とよく相談の上治療を行ってください。

☆★☆歯列矯正のときに歯茎下がりが起こらないようにするには☆★☆

<プラークコントロールを徹底する>

歯列矯正の器具が付いているとプラークコントロールが難しくなります。しかし、歯茎が腫れた状態で歯を動かすと、歯茎下がりや歯を支えている骨が溶けやすくなります。自分で毎食後、歯ブラシやデンタルフロスの使用と定期的に歯のクリーニングを行い歯茎下がりを予防してください。

<無理な非抜歯矯正は避ける>

歯列矯正のとき抜歯をしたほうがいいのか、抜歯をせずに治療を行ったほうがいいのかは、矯正専門医がレントゲン等の検査を行いより良い方法をお勧めします。無理に非抜歯にしてしまうと、歯茎の骨から歯が飛び出してしまい歯茎下がりの原因になります。矯正専門医とよく相談の上、治療法を決定してください。

<歯列矯正にも適齢期がある>

歯列矯正には適齢期があります。顎を広げる処置は小学生のときに行います。また、歯茎下がりが起こりにくい時期は中高生ぐらいの歯茎や骨の再生能力が高い時期です。大人になってからも歯列矯正はできますが、若いときよりも歯茎下がりは起こりやすくなります。

☆★☆歯茎下がりは歯列矯正後だけではない☆★☆

歯茎下がりは矯正治療後だけではなく歯周病や歯軋り、強い歯磨きなどによっても起こります。歯茎を再生させる処置はそのような状態でも可能です。ただし、歯茎の下に骨がない場合などはできないこともあるので担当の先生にご確認ください。

 

※ 歯茎下がりを気にしている方は多いのですが、歯茎下がりを気にしている歯医者は少ないのです。なぜなら、歯茎下がりの治療をできる歯医者が少ないからです。特に矯正専門医で歯茎下がりの治療までできる歯科医はごく限られています。歯茎下がりは人によって気になり方が違いますので、気になる方は歯周病の治療に詳しい歯科医院で相談することをお勧めします。