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長崎県立美術館で
同館と三重県立美術館との
コレクションを集めた
『果てなきスペイン美術』展を
やっているのに気づき、
会期最終日にギリギリセーフで
観に行ってきた。
 
 
 
日曜日の朝、
美術館を訪れる前に
まずはモーニングを食べたくて、
ATTIC COFFEEへ。
 

 

 

 
 
 
ATTIC COFFEEは
長崎県内に何箇所かあるカフェのようだ。
前は眼鏡橋のそばの店舗に行った。
今回は長崎駅から路面電車で
一駅隣に向かったところにある別店舗へ。
 
 
 

 

 
 
 
 
バターの乗った厚切りトーストに
ミニサラダとゆで卵。
コーヒーをカフェオレに変更。
シンプルでこういうのがいい。
 
 

 

朝ごはんをゆっくり食べて
一時間くらいカフェでまったり。

 

 

 

 
 
 
11時くらいにようやく腰を上げて外へ。
海辺に沿って徒歩で美術館へ向かう。
風が強く、雲は多いけれど
気持ちの良い青空が広がっている。

 

 

 

 
 
 
長崎は街と海とが近い。

何度か遊びにきているけれど

冬から春の間は曇りばかりだったから

こんなに天気のいい日に

巡り合ったのは初かもしれない。

 

 

 

 
 
 
もくもくとした
夏らしい白い雲。
少し歩いて
長崎県美術館へ。
 

 

 

 
 
 
壁一面がガラスで覆われた、

2階建ての綺麗な建物だ。

 

 

 

 
 
 
エントランスが吹き抜けで
窓全体から光が差し込み、

明るく開放的になっている。

 

 

 

 
 
 
『果てなきスペイン美術』の
特大タペストリー。
 
 

 

 
 
 
2階の展示室へつづく廊下。
自然光だけで明るい館内。
 

 

 

 
 
 
 
この企画展に行きたいと思ったのは
スペインにゆかりのある、
様々な画家たちの作品が見れるから。
 
 
 
スペインの画家といえば
果たしてぱっと、
誰が思い浮かぶだろう?
 
 
 
パブロ・ピカソ、フランシス・デ・ゴヤ、
ジュアン・ミロ、サルバドール・ダリ…
 
 
 
なかでも私が最も観たかったのは
サルバドール・ダリの作品。
 
 
 
記憶のある限り間違いなければ
いままでに直に観たことのある
ダリの作品といえば、
広島県立美術館の『ヴィーナスの夢』のみ。
 
 
 
もっと他にも観てみたい、
と思っていたので、
どうしても足を運びたかった。
その一枚のために。
 

 

 

 
 
 
館内は一部作品のみ撮影OKだったので
その中から印象的だった作品を
ほんのすこしピックアップ。
 

 

 

 
 
 
トラルバの画家
<洗礼者ヨハネ>
1430年
会場の最初に飾られた1枚。
 
 
 
1430年といえば、
日本ならば室町時代にあたる。
それほどまでに古い作品が
こうして現存するのがすごい。

 

 

 

 
 
 
写真では伝わらないかもしれないが
金色の背景の模様の部分は
単に描き込まれているのではなくて
こまかに凹凸がついている。
 
 
 
宗教画というのは大抵そうだが
どことなく厳かな雰囲気。
憂いを帯びた表情が
口で語らずとも訴えている。
 
 

 

 
 
 
作者不詳
<聖母と眠れる幼児キリスト>
1600年頃
 
 
 

 

 
 
 
ファン・カレーニョ・デ・ミランダ
<聖アンナ、聖ヨアキム、洗礼者聖ヨハネのいる聖母子>
1646−55年頃

 

 

 

 
 
 
バルロメ・エステバン・ムリーリョ
<アレクサンドリアの聖カタリナ>

1645−50年頃

 

 

 

モデルは3〜4世紀を生きた

アレクサンドリア出身の王女カタリナ。

キリスト教への信仰心の高さが

当時のローマ皇帝の不服を買って処刑される。

足元にあるのは処刑具の車輪と剣。

 

 

 

 
 
パブロ・ピカソ
<ロマの女>
1900年頃
 
 
バルセロナの海岸沿い。
手前にいるのは労働者階級の女。
貧しく孤独かもしれない、
だがこの絵に悲壮感はあまりない。
見つめる先の海の青色が眩しいからか。

 

 

 

 
 
 
ホセ・グティエレス・ソラーナ
<アスファルト作業員>
1930年頃
 
 
 
同じように労働者階級の
日常のワンシーンを描いていても
さきほどのピカソとは
対照的な作品である。
 
 
 
大勢で、暗い時間帯に作業をする。
音と煙と熱気が溢れんばかり。
 
 
 
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<戦争の惨禍>30番

 

 

 

 
 

 

<戦争の惨禍>62番 死の床

 

 

 

 
 
 
<戦争の惨禍>70番
行くべき道を知らない
 

 

 

この三つはすべて

フランシスコ・デ・ゴヤの作品。

 

 

 

ゴヤの絵は、

戦争に囲まれた時代の

不安、恐怖、絶望を

紙にそのまま写し取ったかのように

陰鬱で、風刺の効いた絵ばかりだ。

 

 

 

死の床の1枚が

私の目に焼きついて離れない。

 

 

 

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フアン・バントーハ・デ・ラ・クルス
<フエンテス伯爵>
 
 

 

 

 
 
 
ルイ=ミシェル・ヴァン・ローと工房
左:<フェルナンド6世>
右:<バルバラ・デ・ブラガンサ>

 

 

 

 

 
 
 
パブロ・ピカソ

<鳩のある静物>

1941年

 

 

 

テーブルの上には

瓶、薔薇の花、白い鳩の死骸。

本作はナチス占領下のパリで

描かれた1枚なのだそうだ。

 

 

 

解説を読んで知ったが、

鳩はピカソが生涯を通じて

愛したモチィーフの一つであり

「戦争によって蹂躙された無垢」の

象徴として捉えられる。

 

 

 

ピカソが描くと、

鳩の死骸すらどこか

ユーモラスに見えてしまうが

絵のなかに込められた

思いはいかほどだったろう。

 

 

 

私はこの〈鳩のある静物〉の

ポストカードを買った。

自分用に。

 

 

 

 
 
パブロ・ピカソ
<静物>

 

 

 

 

ちなみに私が一番観たかった

サルバドール・ダリの作品は

残念ながら写真撮影不可だった。

せめてポストカードくらいあればいいのに

売ってなかったので歯軋りしそう。

 

 

 

悔しいけどせめて

チラシ裏の写真でも…

どんな作品だったかというと…

 

 

 

 
 
 
サルバドール・ダリ
<パッラーディオのタリア柱廊>
1937−38年
 
 
 
 
う〜ん、

チラシの裏の写真では到底

この作品の持つ魔力というか

迫力と不気味さが伝わらない。

 
 
 
絵の中央奥に目を向けると
ダリの絵によく登場するような
白っぽいもやもやっとした
人型のなにかが描かれている。
 
 
 
解説を読んだものの、
どういうことかあまり理解できなかった。
何を表している絵なのか
凡人にはわからないのが
不思議な魅力だと思う。
 
 

 

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一通り見終わって

建物の一歩外へ出ると

絵の中とは打って変わった

平和な世界が広がっていた。

 

 

 

 
 
 
 
何百年も前に描かれた絵画が
こうして今も残っている
というだけでも十分すごいのに、
人から人へ渡っていくうちに
こうして日本にたどり着いているなんて
なんだか不思議なことだと思う。
 
 
 
ここにある一作品一作品との出会いは
奇跡的なことなのかもしれない。
だとしたら絵画を鑑賞することを
「綺麗だった」で
簡単に終わらせたくはない。
 
 
 
その絵が描かれた時代のこと、
モデルとなった人物、作者の心境…
ただじっと観察ををするだけでも、
想像することはできる。

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れた日に、美術館へ。

 

 

 

 

 
 
 

ちなみに次の企画展の予告を見ると、

絵本や小説の装丁などで見かける

junaidaさんの作品展が!

これは気になる!!!

 
 
 
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▽広島県立美術館にて、
ダリの『ヴィーナスの夢』。