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念願の新居に引っ越した僕たち家族は、いきなり隣家の犬・ミリーの鳴き声に悩まされることになった。僕と妹は、仲良しのおじさんと手を組んで、ミリーを誘拐することにしたのだが――。表題作他、宮部ミステリのエッセンスをぎゅっと詰め込んだ、第一短編集の新装版。宮部みゆきが書くと、ミステリはこんなにも愛おしい。ー新潮社サイトより

 

 

 

 

宮部みゆきの作品は

いままでそれほど読んでいなくて

『火車』は読んだけどうろ覚えだし

『長い長い殺人』を読んだのも遥か昔だ。

 

 

 

自分ではあんまり手に取らないけど

本を貸してもらえる機会があり

表紙の雰囲気が素敵だったので

読んでみることにした。

表紙イラストは杉田比呂美さん。

 

 

 

表題作の『我らが隣人の犯罪』は

ライトなミステリを扱った短編集。

 

 

 

・我らが隣人の犯罪

・この子誰の子

・サボテンの花

・祝・殺人

・気分は自殺志願

 

 

 

 

表題作の「我らが隣人の犯罪」は

第26回 オール讀物推理小説新人賞を

受賞した宮部みゆきのデビュー作。

 

 

 

主人公は中学一年の三田村誠。

父・母・妹、毅彦おじさん、

隣に住む女性と愛犬・ミリーといった

周りの人々の様子が彼の視点で描かれる。

 

 

 

ありふれた日常にふと訪れる

ちょっとミステリーな出来事。

短編作品ながらもスリリングな展開が

ぎゅっと詰まっていて文句なしに面白い。

 

 

 

表題作以外の他の作品も軒並みよい。

「この子誰の子」や「サボテンの花」など

ミステリとして読んでも面白いが

人間同士のさりげない温かな交流が

ふと行間に散りばめられていて

読後感がほっこりとする。

 

 

 

超大作だけがミステリの醍醐味とは

限らないなということを感じ取った。

まだデビューしたてだった作者が

読者をどうやって楽しませようかと

あれこれ工夫をしながら

この作品たちを作ったのだと

思いを馳せながら読んだ。