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茨木のり子さんの詩集

『倚りかからず』。

二頭の蝶々が載った

表紙の装丁が美しい。

 

 

 

『倚りかからず』は

この詩集に収録されている

作品の一つから付けられた題名。

 

 

 

たったこれだけの短い言葉で

茨木のり子さんが伝えたいこと、

そして世の中のできごとに対する

スタンスが窺い知れるから面白い。

 

 

 

 

倚りかからず

 

 

もはや

できあいの思想には倚りかかりたくない

もはや

できあいの宗教には倚りかかりたくない

もはや

できあいの学問には倚りかかりたくない

もはや

いかなる権威にも倚りかかりたくはない

ながく生きて

心底学んだのはそれぐらい

じぶんの耳目

じぶん二本足のみで立っていて

なに不都合のことやある

 

倚りかかるとすれば

それは

椅子の背もたれだけ

 

 

 

なんというか、

非常に力強い作品だ。

 

 

 

背筋をしゃんと伸ばして、

まっすぐに前を見て、

自分で自分を鼓舞するような

そんな意志の強さを感じる。

 

 

 

他人の思想や世の中の風潮に

安易によりかかっていてはいけない

自分の頭で考えなくては、と

言い聞かせているようだ。

 

 

 

ごてごてと飾り立てず、

無駄のない流麗な言葉遣いがかっこいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽『自分の感受性くらい自分で守ればかものよ』