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「不思議、大好き。」「おいしい生活。」「ほしいものが、ほしいわ」

 

 

 

これらのコピー、どこかで見かけた記憶はないだろうか。取り立てて珍しい単語を使っているわけではない。なのに、なぜか、新鮮でストレートに響く言葉。これらはいずれも80年代に、コピーライター糸井重里が作り、西武百貨店の広告で使われたコピーたちだ。

 




 


『人生を教えてくれた傑作!広告コピー516』は、80年代〜00年代にかけて世の中にでたコピーの数々から、「傑作」とも呼べるコピーを集めた事例集。過去に発行されている『広告コピー傑作選・本読む馬鹿が、私は好きよ』と、『広告コピー傑作選・ちっちゃな本がでかいこというじゃないか。』を一冊にまとめ、再編集、改題したものらしい。

 

 

コピーというのは、短い言葉でありながら、その時代の”匂い“のようなものを写していると思う。

 

その頃好きだったコピーを幾つも覚えている。(解説・穂村弘より)

 

と穂村弘も解説で述べているように、なぜか耳にこびりついて離れなかったり、印象的に記憶に残ったりする。自分の心の奥底に潜む感性に、響く何かをもっているのだろう。その時代だから生まれるもの、同じ時代を生きている者の心に溶け込むもの。

 

 

 

 

 

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これいいな、って思ったものをいくつかピックアップ。コピーの下に載っているのは製作者の情報で、C=コピーライター、P=フォトグラファー、AD=アートディレクター、CL=クライアント。

 

 

 

ハートをあげる。ダイヤをちょうだい。

C=米嶋剛 CL=サントリー/バレンタインギフト(88年)

読んで思わず、はははと笑ってしまった。

すがすがしいほどの女心。

トランプのマークにかけているのも小洒落ている。

 

 

 

一冊、同じ本読んでいれば、

会話することができると思うの。

C=仲畑貴志 CL=新潮社/新潮文庫(80年)

『二十代で得た知見』という本にも紹介されていた。

いいこと言う、って思う。

 

 

 

四十才はニ度目のハタチ。

C=眞木隼 CL=伊勢丹(92年)

そんなこと、思いつかなった。

「アラフォー」なんてありきたりの表現よりも

最強感、増す感じする。

 

 

 

あなたの夏が、

私の夏でありますように。

C=杉山明人 CL=西武セゾングループ/セゾンカード(86年)

胸がキュンとするような、

一途な青春の一コマが目に浮かぶ。

 

 

 

恋が着せ、愛が脱がせる。

C=眞木隼 CL=伊勢丹(89年)

こういうどストレートなの、結構好き。

恋した人間はおしゃれに着飾り、愛し合う人は…ってことね。

 

 

少しずつ、結婚しようよ。

C=中野秀 CL=松屋/ブライダルフェア(83年)

少しずつ…っていう表現がいい。

少しずつなら、結婚するのも悪くなさそうだ。

 

 

仕事をするなら、

遊びなされや。

C=佐々木克彦 P=操上和美 AD=小西啓介 CL=サントリー/サントリーオールド(81年) 

このポスターのイメージキャラクターは

開高健なのだとか…!さっすが〜!

 

 



 

 

「忙しいなら無理して

帰らなくていいよ。」は、

ほとんどの場合、

嘘です。

C=白石大介 CL=東日本旅客鉄道(96年)

遠回しなのに、ハッとさせられる上手い表現だなあ!

子供に気を使わせまいとする親心がいじらしい。

故郷や実家から離れて暮らしている人なら誰しも

「そうだよなぁ」って共感するんじゃないか。

 

 




 

くうねるあそぶ。

C=糸井重里 CL=日産自動車/セフィーロ(89年)

 

イソガシイ時ゃ、夢がヒマ。

C=糸井重里 CL=新潮社/新潮文庫(93年)

どちらも糸井重里さんらしいひらがな・カタカナづかいだ、

シンプルで、言いたいことが伝わってくる。

 

 

 

モノより思い出。

C=小林利行 CL=日産自動車/セレナ(00年)

これなんか、CMでよく見かけたので記憶に残っている。

CMを見た時からいい言葉だなと思っていた。

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

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