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「動機には興味はない」ライムは答えた。「私が興味を抱くのは、証拠だ」

 

 

 

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 ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女が急然と消えた。やがて生き埋めにされた男が発見されたが、地面に突き出た薬指の肉はすっかり削ぎ落とされ、女物の指輪が光っていた......女はどこに!? NY市警は科学捜査専門家リンカーン・ライムに協力を要請する。彼は四肢麻車でベッドから一歩も動けないのだが......!?【ボーン・コレクター(上)】

 

 

 連続殺人鬼ボーン・コレクターは袚害者の周辺に、次の犯行現場と殺害手口を暗示する手掛かりを残しながら次々と凶悪な殺人を重ねてゆく。現場鑑識にあたるアメリア・サックス巡査は、ライムの目・耳・手・足となり犯人を追う。次に狙われるのは誰か?そして何のために…...。ジェットコースター・サスペンスの道を往く傑作。【ボーン・コレクター(下)】

 

 

 

 

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ジェフリー・ディーヴァーの

シリーズもののミステリ小説が

面白いから読んでみてと

友人に勧められて年始に読んでた。

だいぶん経っているけど感想を。

 

 

 

主人公のリンカーン・ライムは

元ニューヨーク市警中央科学捜査部長。

とある事故がきっかけで

首から下の四肢麻痺になり、

ベッドから動けない体になるも

頭脳明晰さは衰えていない。

 

 

 

二人の男女が空港からのタクシーで誘拐され、

男性は生き埋め死体になって見つかるが

女性の消息が途絶えてしまう。

無惨な殺人事件を防ぐために

ライムは捜査に協力をすることに。

 

 

 

ミッドタウン・サウス分署警官の

アメリア・サックスを相棒に抜擢し、

事件現場に犯人が残した証拠を

彼女に隅から隅まで探させる。

 

 

 

「ボーン・コレクター」という題名から

私は恐竜の骨を発掘するような

考古学的なミステリなのかと思っていたが

骨は骨でも「人骨」…‼︎

 

 

 

(あらすじを読めばわかりそうなものを

勝手に完全に誤解していた)

 

 

 

ただのミステリ小説というよりも

「クライムサスペンス」といった方が

しっくりくるかもしれない。

 

 

 

最初の男女の誘拐を手始めに

正体のわからない犯人側と、

サックスやライムたち捜査側の

様子が交互に描かれながら

事件が進んでいくのだが

容赦ないほど目まぐるしい。

 

 

 

犯人は「捕まえられるものなら捕まえてごらん」と

まるで警察を挑発するように

必ず次の犯行を仄めかすヒントを

現場にさりげなく残していく。

 

 

 

科学捜査に不慣れなサックスは

ライムに悪態をつきながらも

なんとかコンビネーションを組んで

事件解決の糸口を見つけ出す。

 

 

 

ミステリーは好きだけど

どちらかといえばクリスティーのような

「動機」から犯人を炙り出す推理や

横溝正史のような人物相関図が複雑で

どろっとしたミステリを私は普段好んでいるので、

ジェフリー・ディーヴァーの小説は

「証拠」をひたすら捜査していく物語で

まったくタイプが違うので新鮮。

 

 

 

(東野圭吾のガリレオシリーズが

似ているような気がする。

湯川博士と内海刑事のコンビが

ライムとサックスに少し重なる)

 

 

 

正直、ふたつ目の殺人が起きた時

犯人の殺し方があまりに残酷なので

「うえっ」って気分が悪くなって

それ以上読み進めたくなくなった。




おまけにライムは頭が良くて口が達者、

サックスは正義感が強くて気骨ある女、

そんな二人が始終言い合いをするので

会話がギスギスしていて読むのが辛い…

って思いながら読んでいたけど

次第に物語のムードが軽くなっていくので

なんとか耐えて読み切ってよかった。

 

 

 

ネタバレはしないつもりだが

事件を捜査しながら

ライムとサックスに信頼関係が生まれ、

会話や態度が変化していく描き方がいい。

 

 

 

犯人はあまりに意外な人物で

おそらく読者の大半は

まんまと欺かれてしまうのでは

ないのだろうか。

 

 

 

シリーズの次の作品も

読んでみたいところ。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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