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「夢を『持つ』のと『かなえる』のとは別の話だからな」

 

 

 

 

 

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水野敬也さんの

『夢をかなえるゾウ0』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑2022年の夏休みに

実はすでに一度読んでいる。

面白かった〜と思いつつも

このときに感想を書きそびれていた。

 

 

 

自分で購入した本なので

そのまま手元に置いていた。

せっかくだしと年始に読み直し、

今度こそはと感想を残しておく。

 

 

 

 

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『夢をかなえるゾウ』は

2007年に一作目が出版されて以来

シリーズで何作か続いている。

 

 

 

私は「1」を随分前に読んだことがあって

「コンビニで募金をする」ということを

本に影響されて実行するようになった。

たとえ些細なことであろうとも

読んでお終いでは1mmも意味がない。

自分の行動を変えさせてくれた本だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『夢をかなえるゾウ0』には

人間の体にゾウの顔を持つ、

ガネーシャという神様が

シリーズに共通して登場するけれども、

以前の作品を読んでいなくても

差し支えなく楽しむことができる。

 

 

 

あるとき、仕事にやりがいを見出せず

上司からパワハラを受けている

夢も希望もない「僕」のもとへ

掃除のおじさんに姿を変えた

ガネーシャがやってくる。

 

 

 

聞くところによると、

「何の取り柄もない平凡な男を

歴史に名を刻む偉人に育てる」と

ほかの神様たちの前で豪語して

地上へやってきたらしい。

その対象に選ばれたのが「僕」だ。

 

 

 

しかし「僕」は、夢はおろか

自分が何がやりたいか、

自分が好きなことは何なのか

それすら見失っている始末…。

 

 

 

“本当の夢”はどういうものか?

どうすれば“本当の夢”を見つけられるのか?

本書は、夢を見つけ実現するための方法を

ガネーシャから「僕」(読者)への

課題を通じて教えてくれる物語だ。

 

 

 

この本の面白さは、

物語形式の自己啓発本という点にある。

 

 

 

ガネーシャ(関西弁の自信家神様

凄いけどやっていることはニート)と

僕(職場でパワハラに遭う気弱な男、

ガネーシャに散々振り回される)、

バク(口の悪いガネーシャのペット、

僕のことが気に入らないらしい)

の三人の会話劇がコミカルに繰り広げられ、

あっという間に読み進めてしまう。

 

 

 

 

「まあ確かに、ワシは神様界において、可愛さ、カッコよさ、面白さ、頭の良さ、教えの深さ、あとは……可愛さやな。ま、ありとあらゆる点において完璧で、『ガネーシャって、欠点ないところが欠点だよね』ってまことしやかにささやかれるほどの完全無欠のパーフェクト・ゴッド、略してパゴや。そんな、パゴ散らかしてるワシが、自分みたいな、レールの上を進むだけしか脳があらへん『トコッ子』のもとに降臨するっちゅうのは、アガサ・クリスティちゃんも裸足で逃げ出すミステリーしかないやろな」

 

 

 

 

始終、こんなかんじで

読者の笑いをとりにくる神様。

 

 

 

「僕」が夢をかなえる人間になるよう

鍛え直してくれる立場でありながら

自分はゲームに興じたり

駄洒落が受けないとすねたり、

僕のお金で大量に食事をしたり

やりたい放題のこまった同居人。

 

 

 

一歩間違うと疫病神のような

ガネーシャだけれども

「僕」が自分らしく生き、

夢を見つけられるように

課題をやらせてその意味を考えさせ、

教え諭しながら励ますのだった。

 

 

 

 

 

「夢にはな、ものごとの『意味』をまるっきり変えてしまう力があるんや。これまでは面倒でしかなかった作業、ありふれた風景や出来事……なんの変哲もなかったものが特別な意味を持ち、とてつもない輝きを放ち始める。それはつまり、人生が輝き出す、ちゅうことや」

 

 

 

 

 

「これまで、君の人生には、君から自信を奪い、自分への不信感を募らせる出来事が起きたろう。苦しみ、嘆き、みじめな気持ちになる出来事が起きたろう。それらのすべてに向かって言いなさい。『君たちは、伏線だ』と。これからは自分が夢を見つけるというーーー自分が幸せになるというーーー人生のドラマを最高に盛り上げるための必要不可欠な伏線なのだと!」

 

 

 

 

 

「ブレンド、なんだよ」

 夢を食べ終えたバクは、ソファに飛び乗って続けた。

「“本物の夢”を醸成するには、『自分への愛』と『他者への愛』、両方が必要なんだ。『自分のため』と『人のため』が最も高い次元で交わったときに表れる思いが、“本物の夢”でありーーーその夢を持ったとき、人は、自分の『最高』を引き出すことができるんだ」

 

 

 

 

大人になって、社会人になって

それなりに充実していても、

同じことのような繰り返しで

毎日平和に生きていると、

「自分の夢」なんて

いつしか持たなくなってしまう。

 

 

 

「現状に満足する」ことと

「夢を持つ」ことは

相反することではない。

夢を持ち続けること、

そしてかなえることは

いくつになっても諦めたくない。

 

 

 

 

 

 新しいことを始めるのは、怖い。

 でも、このまま生きているのも、怖い。

 どちらも怖いのなら、今、目の前にあるきっかけに手を伸ばすのも悪くないと思う。

 なぜなら、そこには少なくとも「自分で選んだ」という納得の気持ちが残るはずだから。

 

 

 

 

 

夢を持ち、叶えようと足掻いて

それがもしうまくいかなくて

敗れてしまったとしても

自分で自分を嘲笑うことはない。

なにも行動しないままの自分の方が

よっぽど臆病でカッコ悪いもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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