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本を読むことに躍起になって
一ヶ月ほど絵を描くことから
遠ざかっていたのだけど、
潮の満ち引きのように
ひたひたと描きたい気分が寄せてきた。



それですこしほっとする。
そのまま描かずにいたって
なんの不自由もないだろうけど、
なにも描かずにいる日々は
ずっと流されつづける木の枝のように
ふらふらして寄るべない。



自然と絵を描きたくなる時期が訪れて
たとえそれがなにを描きたいのか
わからないまま鉛筆を走らせていたとしても
白い紙にいくつも線が交差していけば、
なにかが形になっていくし、
私の心もどこかしらには漂着する。



最近ブログを書いていて思うのは、
このブログを始めた2017年頃のように
ただ書くことと描くことにすがっていた
そんな状態の私ではないということ。



いつかブログを書くことが
夜を過ごす私に必要無くなったら、
すこし寂しい気もするけれど、
ほかに気を紛らわすなにかを見つけた、
それだけのことであろうし、
変わっていくのは自然なことなのだ、きっと。




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できもしないのわかっているけど、
昔のことをなにもかも
なかったことにしたいと思う。



昔それはそれは好きだった人のことを
二度と忘れないようにしたい思いと
いっそ記憶から消し去りたい思いがあって
どつちつかずで嫌気がさす。



それはなんてことのない、
仕事中に車を運転しているときにすら
急に込み上げてきて、
わたしの口からうめき声を吐かせる。



いいかげん、
もうなにもかもなかったことにしたい。




なかったことにしたいことだらけだ。










ふいに人から優しくされたり

次に期待してしまったり、

うかうかした自分を見つけると、

なんだか急に目が覚めてしまう。




過去はあんなに

鮮明に目に焼き付いているのに、

未来はちっとも見えやしなくて。

ぼんやりと冴えない天気。




いつも二重に自分を着ている気がする。

片方脱ぎ捨ててしまえばいいのに、

どこからどこまでが不要なパーツなのか、

まるで全然わかっていない。






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