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2019.07.27
倉敷美観地区へ






「ねえ今度、大原美術館に行かない?」
確か夏が近づいてきた頃に
女友達が甘い声で私を誘った。
いいよ、と答えていた。



気まぐれかしらと思っていたら
どうやら本気だったらしく、
暑いなか汗を流しながら
美観地区へ二人で遊びに行く。






今回の目的は、大原美術館。
まっしぐらに足を運ぶ。
ギリシャ神殿のような外観、
緑のアイビーが塀を取り囲む。



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大原美術館の創設は1970年。



倉敷紡績の経営者、大原孫三郎は
洋画家の児島虎次郎を経済的に支援し
美術の勉強のために渡欧させていたが
同時に西洋の芸術品の収集も任せていた。



残念なことに虎次郎は40代で逝去。
彼を偲んでそれらの収集品と、
虎次郎自身の作品を公開するために
創設されたのが大原美術館の始まりだ。






本館には、西洋絵画がずらり。
エル・グレコの『受胎告知』をはじめ、
クロード・モネの『睡蓮』、
マティス、ピカソ、ゴーギャン、
ルオー、ルノワール、などなど。



セガンティーニの
『アルプスの真昼』が好きなのだが
この日は人が多すぎて
じっくりとは見れないほど。





分館は日本の近代、現代アート。
岸田劉生、草間彌生、荒川修作、
三島喜美代、ヤナギミワ、蜷川実花。
とにかく多種多様な芸術家の
作品が展示されていることに驚く。






工芸館・東洋館には、
棟方志功(版画)や濱田庄司(陶芸)、
民藝運動の有名な作家たちの作品や、
古代アジアの美術品など。
ギシギシと木造の床を鳴らしながら
見応えたっぷりのコースをめぐる。







中庭にはモネの自宅から
株分けされたという睡蓮もある。
ちょうど今が見頃だ。
可憐に咲いた姿に見惚れた。






児島虎次郎の絵が
本館で特集されていた。
柔らかく鮮やかで、光が溢れる絵だ。
どうしたらこんな色使いができるのか。



(『朝顔』のポストカード)



こうなることは予想していたが、
とりとめもない旅日記。
岡山駅から在来線で15分。
旅というにはちと近すぎるか。






横から撮るのがいいと
友人に示唆されながらのかき氷。
その日着ていた服と同じ、
レモンイエロー色、甘酸っぱい。





同じ友人と、
去年も夏の終わりに倉敷に来ている。
二人で来るのが、
私たちの恒例行事になればいい。



何年たっても変わらずに
互いに気ままに。



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