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「こん、だいじょうぶ?」


「だいじょうぶ、だいじょうぶ」



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一番好きな絵本を紹介したい。
林明子さんの『こんとあき』。



『こんとあき』は
小さな女の子あきちゃんと、
きつねのぬいぐるみのこんのおはなし。



こんはさきゅうまちにいる
おばあちゃんに頼まれて、
あきちゃんのおもりにやってきた。
だからふたりはいつもいっしよ、
いつもなかよし。






ところがある日、
ついにこんのうでがほころびてしまった。
さきゅうまちにいるおばあちゃんに
うでを直してもらおうと、
ふたりは電車ででかけることに。






ふたりのはじめての冒険が
丁寧に優しく描かれていて
本当に本当に素敵なおはなし。



私も小さい頃に
くまのクーちゃんというぬいぐるみを
大切にもっていた。
夏に、宮崎の祖父母の家に行ったとき
いつかのお誕生日にもらったプレゼント。



やっぱりお気に入りで、
いつもクーちゃんで遊んでいた気がする。
幼い頃のよき遊び相手だったのだと思う。



あきちゃんとこんのはじめての冒険は
なんだか自分のことのように
子供ながらに小さい頃の私は感じていた。



ふたりで無事にたどり着けるかなと
はらはらしたり、
こんがどんどんぼろぼろになって
どうしようと胸がぎゅっとしたり。



旅の間、いろんな出来事が起こるけど
こんはいつも優しく繰り返す。
「だいじょうぶ」だって。
あきちゃんを心配させないように。



あきちゃんとこんが
ようやくおばあちゃんの家に着くと
よかったよかったと安心する。
心が温かい気持ちになる。



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この本は私や妹が小さい時に
両親が買ってくれたようだ。
ほかにも『はじめてのおつかい』や、
『あさえとちいさいいもうと』など、
筒井頼子さん作、林明子さん作絵の
絵本がいくつか家にはあった。



絵本のおはなし自体も素敵だが、
決まって思い出すのは
両親に絵本を読んでもらった記憶。



はっきりとひとつひとつは
覚えてないのだけれど、
寝る前に布団の中でや、
図書館で本を選ばせてもらって
読んでもらった“感覚”は
不思議とじんわりと残っている。





きっとこんな感じだったのかなぁ。
絵本を読んでもらっているところの
写真は見当たらないけど、
きっとこんな感じだろうと思う。



私達姉妹も大きくなってしまうと
もう読まなくなっていた絵本たちは
祖父の家の押入れに預けていた。



当分の間しまったままだったが、
昨日祖父の家に行ったので、
私のまた読みたいという気まぐれのために
押入れから引っ張り出してもらった。



押入れに入れてあったせいか、
本が少し傷んでしまっていた。
久しぶりに取り出した本たちは
ふーやれやれと、話していそうだ。
この機会に、
私が絵本を引き取らせてもらうことにした。



どの絵本も小さな子供がでてきて
冒険したり、新しい発見をしたりして
ちょっぴり成長するおはなし。
きっと母が私達姉妹のために
選んでくれたのだと思う。



なんだかこれを書いていて、
絵を描いてみて、
胸が熱くなってしまった。
絵本の思い出は、
大人になっても残り続ける。



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