本日オススメするのは、湊かなえ先生の「未来」です。
十歳の少女、章子の許にある日、20年後の自分を名乗る人物からの手紙を受け取る――。
その内容は、20年後の未来は明るいという内容のものだった。
章子は、その手紙を支えに前向きに生きていこうとするのだが、彼女の身に降りかかるのは、手紙で伝えられた明るい未来とはかけ離れた、過酷で無慈悲な現実だった……。
重い。
苦しい。
ページを捲る毎に、「もうやめてあげて!」と叫びたくなるような作品でした。
子どもたちが、劣悪な環境の中で苦しめられていく様は、読んでいて心を削られます。
ただ、これは決して目を逸らしてはいけない現実でもあります。
私自身、本作の登場人物たちほどではありませんが、類似する経験があり、読んでいて幾度となく過去の記憶がフラッシュバックしました。
同級生に目の中に洗剤を入れられたり、椅子で殴られたり、ズボンを脱がされ隠されたり……。
家に帰れば、顔が気に入らないという理由で兄に殴られる……。
他にも、ここには書けないようなことが色々とありました。
助けを求めたこともあります。
しかし、そのとき「周囲に合わせられないあなたに原因がある」と叱責を受けたことを今でも鮮明に覚えています。
それからは、常に自分の存在を否定しながらの日々でした。
大人となった今は、逃げ道もあるし、対処方も分かっています。
しかし、子どもだった当時は、どうしたらいいのかが分からず、ただ、耐えるしかありません。
この生活が一生続くのではないか? ――そう思う度に、最悪の選択が頭を過るのです。
自分には、今とは違う未来が待っていることを信じることこそが、唯一前に進む糧だったように思います。
章子が20年後の自分から届いた手紙を信じたように――。
すみません。感情移入し過ぎて、作品ではなく自分の話になってしまいましたね……。
もし、今苦境に立たされている子どもがいるなら、是非、この作品を読んで未来を信じて欲しい。
そうでない人は、逃げ道がなく、苦しんでいる子どもたちがいることを知り、手を差し伸べて欲しい。
出来れば、本編読了後に湊かなえ先生によるあとがきまで、しっかり読んで頂きたいです。
感情の吐露みたいになってしまいましたが、興味が湧いた方は是非!!