今日、紹介するのは小西マサテル「名探偵のままでいて」です。
Re°さんの装画は、本当に美しいですねーー。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230207/09/kaminaga-okokok/fe/84/j/o0509075015239902155.jpg?caw=800)
本作は、レビー小体型認知症を患った老人が、孫娘の持ち込む様々な謎を解き明かす連作ミステリー!!
本当に素晴らしい作品でした。
読んでいて、本当に癒やされる作品です。
そう感じた要因の一つは、祖父と孫娘のキャラクターにあるでしょう。
お互いに対する、穏やかで温かい愛情に溢れた会話のやり取りは、永遠に聞いていたいと思うほどです。
嘲笑的な表現で申し訳ないのですが、読んで頂ければ、皆さんも、この二人が大好きになるはずです。
それだけでなく、小西マサテル先生の柔らかく、かつなめらかで、すっと心に染み入るような独特の文体も、本当に素晴らしいです。
ただ、本を読んでいるだけで、疲弊しささくれだった精神が癒やされていくような、不思議な感覚に陥ります。
どうすれば、こんな素敵な文章が書けるのだろう?
私の勝手な推測なのですが、中西先生の持つ人間としての包容力が、作品全体を包み込んでいるからではないでしょうか?
(お会いしたことがないので、本当のところは分かりませんが……w)
本作の魅力はそれだけではありません!!
古典の名作ミステリーをオマージュしながら展開される推理は、しっかりとした骨組みの上に成り立っていて、読み応えがあります。
丁寧に張られた伏線が、するするっと解けていく瞬間は、何とも言えない快感があります。
しかし――。
この作品には、一つだけ欠点があります。
それは――。
「読み終わりたくない!!」と思ってしまうことです。
私自身がそうでした。
先が気になる。
でも、読んだらこの作品世界が終わってしまう……。
このジレンマに陥ってしまうのです。
続編まだですか?! 刊行したばかりなのに、もう我慢し切れなくなっています!!
(書く大変さを知っている癖に、好き勝手な要望ですねw)
というわけで、皆さんも、癒やしのミステリーに浸ってみてはいかがですか??