名探偵のままでいて | 作家・神永学公式ブログ「担当さん、〆切り待ってください!!」

今日、紹介するのは小西マサテル「名探偵のままでいて」です。


Re°さんの装画は、本当に美しいですねーー。

 


本作は、レビー小体型認知症を患った老人が、孫娘の持ち込む様々な謎を解き明かす連作ミステリー!!

 

本当に素晴らしい作品でした。

読んでいて、本当に癒やされる作品です。

 

そう感じた要因の一つは、祖父と孫娘のキャラクターにあるでしょう。

お互いに対する、穏やかで温かい愛情に溢れた会話のやり取りは、永遠に聞いていたいと思うほどです。

 

嘲笑的な表現で申し訳ないのですが、読んで頂ければ、皆さんも、この二人が大好きになるはずです。

 

それだけでなく、小西マサテル先生の柔らかく、かつなめらかで、すっと心に染み入るような独特の文体も、本当に素晴らしいです。

 

ただ、本を読んでいるだけで、疲弊しささくれだった精神が癒やされていくような、不思議な感覚に陥ります。

 

どうすれば、こんな素敵な文章が書けるのだろう?

 

私の勝手な推測なのですが、中西先生の持つ人間としての包容力が、作品全体を包み込んでいるからではないでしょうか?

(お会いしたことがないので、本当のところは分かりませんが……w)

 

本作の魅力はそれだけではありません!!

 

古典の名作ミステリーをオマージュしながら展開される推理は、しっかりとした骨組みの上に成り立っていて、読み応えがあります。

 

丁寧に張られた伏線が、するするっと解けていく瞬間は、何とも言えない快感があります。

 

しかし――。

 

この作品には、一つだけ欠点があります。

 

それは――。

 

「読み終わりたくない!!」と思ってしまうことです。

 

私自身がそうでした。

 

先が気になる。

でも、読んだらこの作品世界が終わってしまう……。

 

このジレンマに陥ってしまうのです。

 

続編まだですか?! 刊行したばかりなのに、もう我慢し切れなくなっています!!

(書く大変さを知っている癖に、好き勝手な要望ですねw)


というわけで、皆さんも、癒やしのミステリーに浸ってみてはいかがですか??