昨日、Twitterでもアップしたのですが、5月10日に明正堂書店アトレ上野店さんが閉店になるということで、ご挨拶に行ってきました!
明正堂書店アトレ上野店さんは、私にとって、とても思い入れの深い書店です。
ご存知の通り、私のデビュー作である「心霊探偵八雲」は、自費出版の会社、文芸社から刊行された作品です。
当然、宣伝はほとんどありませんでした。
新人賞を受賞したわけでもなく、大手出版社から刊行されたわけでもない。
全くの無名の新人であった為、もの凄く苦戦しました……。
そんな中、明正堂書店アトレ上野店さんは、「心霊探偵八雲」を面白いと言って下さり、何と1店舗で150冊もの注文をしてくれました。
書店員の方なら、これがいかに異常な数字か分かると思います。
自費出版上がりの新人の本の入荷数ではありません。
そんなに入荷して、大丈夫ですか? と私が不安になったほどです。
明正堂書店アトレ上野店さんは、ただ入稿した本を並べるだけでなく、書棚一つを全て「心霊探偵八雲」で埋め尽くし、手書きで帯を書いて、猛プッシュしてくれました!!
平積みどころか、本を置いてさえもらえない状態だった当時の私は、嬉しさのあまり泣き崩れました。
しかも、150冊売り切っただけでなく、追加の注文まで来たのですから驚きです。
ただ並べるだけでは、こうはなりませんでした。
何度も言いますが、「心霊探偵八雲」は、受賞歴無しな上に、自費出版の会社から刊行された作品なのです。
売れなくて当然なのです。
しかし、書店員さんの工夫と熱意は、そうしたハンデを軽々と乗り越え、「心霊探偵八雲」を大ヒットシリーズに押し上げてくれたのです。
明正堂書店アトレ上野店さんがなければ、私はとっくに作家を辞めていたはずです。
書店員さんの工夫と熱意は、単に売上というだけでなく、一人の作家を救うことにも繋がったのです。
それから、新刊が出る度に、明正堂書店アトレ上野店さんに顔を出すのが、私のルーティンになっていました。
顔を出す度に色々なお話しをして、ときにはアドバイスも頂きました。
あるとき、当時の担当さんにこんなことを言われましたーー。
「普通、作家は何年か経つと、作家の視点になっていく。でも、神永さんは、いつまで経っても読者視点のままだ。とても稀有な存在なので、これからも読者視点のまま本を書いてね」
これは、本当に響きました!!
自分が作家として、どうあるべきかを示してもらった気がします。
原稿に詰まったときなど、この言葉を思い出し、初心に立ち返ることができるのです。
本当に思い入れのある書店だったのに、コロナの影響で、このところ行けていませんでした……。
それが悔やまれる……。
でも、最後にたくさん楽しいお話しができました!!
もっとしんみりするかと思ったのですが、大盛り上がりでした(笑)
長居してしまってスミマセン……(汗)
閉店してしまいますが、私は明正堂書店アトレ上野店の皆さんを、応援し続けます!!
今まで、本当にありがとうございました。